
日々、赤ちゃんから大人の方まで、幅広い患者さんの歯と向き合っていますが、子育て中の親御さんからよくいただく質問の一つが、
「歯みがきって、赤ちゃんのうちから必要なんですか?」
というものです。
答えは「はい、できるだけ早いうちから“慣れ”を始めましょう」。
今日は、赤ちゃんの歯ブラシデビューをいつ・どのように始めたらよいかについて、歯科医師の立場から、お話ししたいと思います。
🍼 いつから始める?目安は「生後4〜6ヶ月ごろ」
赤ちゃんの口に最初の乳歯が顔を出すのは、一般的に生後6〜9ヶ月ごろですが、歯が生える前から「お口に慣れる」練習はスタートできます。
たとえば、生後4ヶ月ごろになると、赤ちゃんが自分の手を口に入れることが増えてきますよね。それがサインのひとつ。
このタイミングで、ガーゼや指サック型のブラシを使って、やさしく口の中を触ることから始めてみましょう。
🪥 歯ブラシ選びのポイント
当院でおすすめしているのは、以下のタイプです:
- 毛先がやわらかく、ヘッドが小さい歯ブラシ
- 赤ちゃんが自分で持ちやすい、太めの柄
- 誤飲防止の安全プレート付きタイプ
歯みがきに抵抗を感じる赤ちゃんには、最初は「見る・触る・噛む」だけでもOK。遊び感覚で歯ブラシに慣れるのが第一歩です。
🙅♂️ 嫌がるときは?無理は禁物です
よくあるのが「磨こうとすると全力で泣かれてしまう…」というお悩み。
この時期の赤ちゃんにとって、「口の中に物を入れられる」という行為は、本能的に怖いものでもあります。
そんな時は、
- 歯みがきタイムを「遊び」にする
- お気に入りのぬいぐるみと“ごっこ遊び”
- まずはお子さん自身に持たせてみる
- 無理に開けさせず、軽く唇のスキマから磨く
など、「できたこと」に目を向けて、少しずつステップアップしていきましょう。
🌙 最低限、夜だけは磨きましょう
乳歯は永久歯に比べてとても虫歯になりやすいのが特徴です。
昼間が難しい日も、寝る前の1回だけはしっかりと磨くことをおすすめします。夜間は唾液の分泌が減るため、虫歯リスクが高まります。
フッ素入りの歯みがき粉は、米粒大程度の量からでOK。飲み込んでしまうのが心配な場合は、まずは使用せず、ブラッシングの習慣だけつけても十分です。
💡 歯並びにも影響する“お口のケア習慣”
矯正歯科医の視点からお伝えしたいのは、幼児期の「お口まわりの習慣」が将来の歯並びに大きく関わるということです。
歯みがきを通して、
- 口を開ける・閉じる力
- 頬や舌の動かし方
- 呼吸(鼻呼吸 vs 口呼吸)
など、さまざまな発達が促されます。
「歯ブラシを好きになること」は、将来の健康な歯並びへの第一歩でもあるんですね。
✍️ まとめ:歯みがきは、愛情コミュニケーションのひとつ
赤ちゃんにとって、歯みがきはただの「お手入れ」ではなく、大好きなパパ・ママとスキンシップをとる楽しい時間でもあります。
泣かれても、拒否されても大丈夫。少しずつ、一緒に笑顔で慣れていけば、それが一番の予防になります。
困ったことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
皆さんの赤ちゃんが、歯みがき大好きっ子になりますように🦷✨