2025.8.26| 矯正相談集
「歯が1本足りない」「受け口傾向がある」とご相談いただいたH.Kくん(11歳男の子)のケース
「歯が1本足りない」「受け口傾向があると言われた」…お子様の歯並びやかみ合わせで不安を抱えてご相談に来られる親御様は少なくありません。
今回は、左上の側切歯(前から2番目の歯)が先天的に欠損しており、受け口傾向もある11歳の男の子、H.Kくんの初診相談時のやり取りをご紹介します。
成長と将来的な治療方針を見据えた当院の診断とアプローチについてお伝えします。
患者様情報
年齢 | 11歳 |
性別 | 男の子 |
初診時の画像診断



左上の側切歯(前から2番目の歯)が先天的に欠損しています。奥歯の関係性は軽度の受け口傾向があります。
上あごの歯並びは先天欠如の部位があるため、歯並びにスペース(空隙歯列弓)があります。
ご相談のきっかけ
かかりつけの歯科医院で「左上の歯が1本先天的に欠損している」「受け口傾向があるかもしれない」と指摘されたことをきっかけに、不安を感じて当院へご相談にいらっしゃいました。
特に、
- 「このまま放置して大丈夫なのか」
- 「将来的に手術が必要になる可能性はあるのか」
- 「歯を補ったほうがいいのか、今ある歯で並べるのがいいのか」
といった点を知りたいとのことでした。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?
左上の歯が1本足りないって言われていて…。受け口気味だとも言われていて、将来手術が必要になるのかも不安で…。
拝見すると、確かに左上の側切歯が先天的に欠損していますね。レントゲンでも確認できました。
それ自体は珍しいことではありませんが、歯の本数が1本足りないことで、上の歯列のアーチがやや内側に入りやすくなっているのが現状です。また、奥歯のかみ合わせを見ると受け口傾向があります。
このまま放っておくと、何か問題がありますか?
現状では大きな問題はありません。ただ、今後の成長次第では下顎が前方に成長し、受け口が強くなる可能性があります。
もし強い受け口傾向が出た場合は、将来的に外科的な手術を検討することになるケースもありますが、現時点で手術が必要かどうかは決められません。成長を見ながら判断するのが適切です。
歯が1本足りない場合は、やはり歯を補う必要があるんですか?
選択肢は大きく2つあります。
①人工の歯を補う方法
→ 隙間を確保して将来的にインプラントやブリッジで歯を補います。
②今ある歯を全体的に移動して隙間を埋める方法
→ 他の歯を前方に寄せて、人工の歯は入れずに噛み合わせを完成させる方法です。
H.Kくんの場合は、歯列全体を前に動かして自然なかみ合わせをつくる方法を第一選択として考えています。人工の歯を入れるよりも、虫歯リスクや将来のトラブルを減らせるメリットがあります。
手術って、もし必要になった場合はいつ頃考えればいいんでしょうか?
手術が必要かどうかは、高校生で成長が落ち着いた頃に最終判断します。
男の子の場合、15〜17歳頃で顎の成長がピークを迎えるので、そのタイミングで改めて骨格を評価します。もし外科的矯正が必要と判断した場合は、大学病院と連携して行うことになります。
なるほど、そういう理由なんですね!一度、家族で検討してきます。
まとめ
H.Kくんの場合、
- 歯が1本足りないことによる歯列の乱れ
- 軽い受け口傾向
- 将来的な顎の成長の影響
これらを総合的に見て、現時点では積極的な治療よりも経過観察を重視します。
歯並びをきれいに整えるだけでなく、顎の成長と将来のかみ合わせを長期的に考えた治療方針をご提案しました。
小児矯正は、お子様の成長に合わせて「今やるべきこと」と「将来に備えること」をしっかり見極めることが大切です。
気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
