2025.9.8 矯正相談集

「前歯の出っ歯が気になって…」とご相談いただいたS.Rさん(24歳・男性)のケース

「前歯が出ている気がして気になる」「マウスピースかワイヤーか迷っている」…大人の方でも矯正治療への不安や疑問をお持ちの方は少なくありません。

今回は、結婚式を控えたタイミングで「出っ歯を治したい」と来院されたS.Rさんとの初診時のやり取りをご紹介します。審美的な要望だけでなく、かみ合わせや治療計画、装置の種類まで丁寧に検討した当院のご相談内容をご覧ください。

患者様情報

年齢24歳
性別男性

初診時の画像診断

前歯は上顎前突(いわゆる「出っ歯」)の傾向が見られ、歯列全体がV字状にやや前方へ尖っているアーチをしています。前歯の傾斜角は前方への傾きが顕著でした。

また、奥歯のかみ合わせにもズレが見られ、上顎歯列全体が前に位置していることが根本的な原因と考えられました。

ご相談のきっかけ

以前から前歯の出っ張りが気になっており、1年後に控えた結婚式をきっかけに矯正治療を本格的に検討されて当院にご相談いただきました。

すでに他院でも一度カウンセリングを受けられており、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の両方の選択肢について説明を受けたとのこと。ただ、「どちらが自分に合っているのか」「抜歯が必要かどうか」「結婚式までにどこまで治るのか」など、より具体的な説明を希望されて来院されました。

患者様との実際のやり取り

はじめまして。以前にも矯正の相談をされたことがあるとお伺いしましたが、今日はどんなことをお聞きになりたいですか?

はい。前歯が出ているのが気になっていて…以前別の医院ではワイヤーかマウスピースのどちらでも対応可能と言われました。ただ、どちらがいいのか迷っていて。どちらかというとマウスピースでの治療を希望しています。

ありがとうございます。拝見したところ、S.Rさんのケースは確かにどちらの方法でも対応できます。ただ、見た目や日常生活での使いやすさを考えると、マウスピースの方が合っているかもしれませんね。

そうなんですね。マウスピースの方がいいかなとは思ってました。

はい。それに加えて、今回の出っ歯の原因は、前歯だけでなく奥歯のかみ合わせにもあると考えられます。上下の奥歯の噛み合わせ位置がずれていて、理想とされる奥歯の関係(1級)ではなく出っ歯(2級)の状態になっています。つまり、奥歯も前に出ていて、それにより前歯も出っ歯になっている構図ですね。

なるほど、前歯だけが原因じゃないんですね。

そうなんです。治療方針としては、前歯をしっかり後ろに下げる必要があるので、上下の小臼歯(前から4番目)を抜歯してスペースを作るのが最も確実な方法だと考えています。

前の医院でも「抜歯になるかも」と言われました。

おそらく同じ4番の抜歯提案だったと思います。抜歯しない選択肢もありますが、その場合は奥歯を大きく後方に動かす必要があり、現実的には限界があります。

治療期間はどれくらいかかりますか?

平均的には約2年を見ていただければと思います。歯を抜いてスペースを作ることで、しっかりと前歯を下げて整えることができます。特に結婚式が1年後ということですが、その頃には今よりは前歯は引けていると思います。

結婚式で抜いたところに隙間が見えたら…と心配していて。

それは大丈夫です。マウスピース装置に少しレジン(樹脂)を盛るなどの工夫で隙間を目立たなくすることもできます。当日は目立つアタッチメントを一時的に外すことも可能です。

そうなんですね。安心しました。検査の予約をとって帰ります。

まとめ

S.Rさんのケースでは、

  • 現時点での課題は「前歯および奥歯の出っ歯の傾向(上顎前突)」と「歯列弓のV字状の狭窄」であり、前歯を適切な位置に戻すために抜歯によるスペース確保が有効である
  • ワイヤー・マウスピースの両方で治療可能な状態だが、ご本人のライフスタイルや審美的配慮からマウスピース矯正が適している

という相談結果になりました。

今回の診察では、「出っ歯が気になる」という見た目のお悩みにとどまらず、奥歯の噛み合わせや歯列全体のバランスといった根本的な要因を踏まえて、当院の治療方針をご説明しました。特に「抜歯」という選択についても丁寧にお伝えし、ゴールまでの現実的な道筋をご理解いただけたことが印象的でした。

成人矯正は、見た目の美しさだけでなく、かみ合わせや口元全体の調和も整える治療です。結婚式などのイベントを見据えたタイミングでの治療開始は、日常生活と治療成果の両立が図れる大きなチャンスとなります。今後も患者様のご希望を大切にしながら、理想的な歯並びに向けてサポートしてまいります。

この記事の監修者情報

吉田 尚起

日本矯正歯科学会認定医

院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。

自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。

歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。

〒560-0056 大阪府豊中市宮山町1丁目1−47

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