2025.11.27| 矯正相談集
「前歯のスペースが足りない気がする…」とご相談いただいたY.Mさん(7歳・女の子)のケース
「前歯が生えてきたけれど、並ぶスペースがなさそう」「将来ガタガタにならないか心配」――小学生のお子様の“生え変わり期の歯並び”は、保護者の方が特に不安を感じやすい時期です。
今回は、前歯の生え変わりが始まり、「下の前歯のスペース不足が気になる」とのことで来院された7歳の女の子、Y.Mさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。
生え変わり期における歯並びの変化と、矯正治療を始める適切なタイミングについて解説します。
患者様情報
| 年齢 | 7歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



右上の前から1番目の歯が、まだ生えてきていません。
上下の歯並びにガタガタがあります。
ご相談のきっかけ
Y.Mさんは、「前歯のスペースがないように見える」「このままで大丈夫?」とのことで、お母様と一緒にご来院されました。
お姉さんも同じ時期に似た状況だったことから、「妹も同じようにガタガタが進むのでは」と心配されていたとのことです。お姉さんよりも歯の生え替わりの時期が少し早いため、矯正治療を開始する時期を心配されていました。
患者様との実際のやり取り
こんにちは。今日はどんなところが気になっていますか?
前歯が生えてきたんですが、下の歯のスペースが全然なくて…。お姉ちゃんと似ている気がして心配で。
確かに、下の前歯のスペースがとても少ない状態ですね。このまま大きな永久歯が生えてくると、ガタガタが出てきやすい状況です。ただ、骨格的には問題がなく、前後の噛み合わせも良いので、歯並びのスペースを確保してあげればきれいに並ぶ可能性が高いですよ。
治療は今すぐ始めたほうがいいんでしょうか?
今すぐでも始められますが、“一番良いタイミング”という意味では、もう少し待つのも良い選択です。
上の前歯4本が生えそろう頃、つまり約半年〜1年後くらいが、歯の大きさや生え方が見えて治療計画を立てやすくなります。
治療するとしたら、どんな方法になりますか?
歯が並ぶスペースを作るために、上の歯列を少し横に広げる“拡大装置”を使う方法が一般的です。
その後、必要に応じてワイヤーやマウスピースで前歯を整えていきます。どちらの装置でも効果は同じで、お子さんの性格や取り扱いのしやすさで選んでいけますよ。
お姉ちゃんと同時に矯正を始められたら助かるんですが…。
それも可能だと思います。3ヶ月に1度くらい定期的に様子を見ながら、2人が“ほぼ同じタイミングで始められる時期”を見極めていきましょう。
わかりました。タイミングを見ながら、小児矯正のスタートを検討していきたいです。
まとめ
Y.Mさんのケースでは、
・「下の前歯のスペース不足」と「今後生えてくる永久歯の大きさに対してアーチが狭いこと」に対して、成長に合わせた歯列の拡大(横幅を広げる治療)が有効であること
・治療開始のタイミングを誤らないよう、前歯4本が生えそろう時期まで経過を見ながら、歯の大きさ・並び方を正確に評価したうえで治療計画を立てることが重要であること
という相談結果になりました。
今回の診察では、見た目としての「前歯のガタつき」だけでなく、永久歯が生える順番や、下の歯のスペース不足が将来の歯並びに及ぼす影響、さらに治療の適切な開始時期、拡大装置の種類(固定式・取り外し式)や通院頻度に至るまで、成長期特有の変化を踏まえたご説明を行いました。
小児矯正では、ただ歯を並べるだけでなく、歯が正しく生えてくるための土台づくりがとても重要です。
特にY.M.さんのように、骨格的な問題が少なく、歯列の幅や生え変わり状況がポイントとなるケースでは、適切な時期に拡大治療を取り入れることで、無理なくきれいな歯並びへ導くことが可能です。また、お姉さんと同じタイミングで治療を進めることも視野に入れられるため、通院や負担の面でも効率よく進められます。
お子様の歯並びや生え変わりで不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。成長のタイミングに合わせて、無理のない最適な治療法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
