2025.12.8 コラム

【早期治療がカギ】子どもの受け口(反対咬合)はプレオルソでどこまで改善できる?


子どもの「受け口(反対咬合)」に気づいたとき、
「このまま様子を見ていいのかな…?」
「早めに何か対策をした方がいいの?」
と、不安を抱かれる保護者の方は少なくありません。

最近は、歯を無理に動かすのではなく、“お口の成長そのもの”を整えていく マウスピース型の小児矯正「プレオルソ」 を選ぶご家庭が増えています。
プレオルソは、顎や舌・お口まわりの筋肉のバランスを整え、自然な発育を助けることで、将来の歯並びがきれいに並びやすい土台づくりを行う治療法です。

本記事では、受け口で悩むお子さまにプレオルソがどこまでできるのか、どんな場合に向いていないのか、治療を始める適切なタイミングや注意点 を、保護者の方にもわかりやすく解説します。
「できれば本格矯正を避けたい」「子どもの成長に合わせて負担の少ない治療を選びたい」と考えている方に、安心して判断いただける内容をまとめています。

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目次

プレオルソとは — 小児向けマウスピース矯正の基本

お子さまの成長期に合わせて、顎や舌、お口まわりの筋肉のバランスを整えながら、“きれいな歯並びの土台” をつくるために使われるのが プレオルソ です。取り外し式のマウスピース装置で、痛みや負担が少なく、小さなお子さまでも始めやすい点が特徴です。とくに「受け口(反対咬合)」のように、成長の方向づけが大切になるケースでは、早期にアプローチしやすい方法として当院でも採用しています。

プレオルソの目的は、単に歯を動かすことではなく、顎の発育・舌の位置・口腔機能の調和を整えること。これにより、永久歯が正しい方向へ生えやすくなり、将来の矯正治療の負担を軽減できる可能性があります。

ここでは、まずプレオルソがどのような装置なのか、その仕組みや使用時期、そして“なぜこれは矯正ではなく咬合誘導と呼ばれるのか” を順に解説していきます。

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プレオルソの概要と仕組み

プレオルソは、柔らかい素材でできた取り外し式のマウスピース型の小児矯正装置です。装置そのものが歯を強い力で動かすのではなく、着けている間に 舌・唇・頬の筋肉の使い方を整え、顎の正しい成長を促す しくみになっています。

とくに幼児〜小学生のお子さまは、顎の骨がまだ柔らかく、お口まわりの筋肉の癖が歯並びに大きく影響します。たとえば、舌が常に下がっている「低位舌」や、口呼吸の習慣がある場合、上顎が十分に成長できず、受け口が進行しやすくなることがあります。
プレオルソは、このような“発育の乱れを招く要因” を整え、永久歯が並ぶためのスペースとバランス を確保しやすくする点が大きな特徴です。

また、歯科医院ではお子さまの口の大きさや噛み合わせに合わせて装置を微調整するため、無理のないフィット感で使用できます。取り外して洗えるので衛生的で、装置に慣れるまでの負担も比較的少なく、小児向け矯正の導入として取り入れやすい治療法です。

対象年齢と使用時期の目安

プレオルソは、4〜8歳ごろの「永久歯が生えそろう前の時期」 に最も効果を発揮するとされています。これは、顎の成長が活発で、お口まわりの筋肉や舌の使い方がまだ変わりやすい時期だからです。

とくに受け口は、上顎の成長が十分に追いつかないことで進行しやすいため、早い段階で成長方向を整えてあげることが非常に重要です。
たとえば、4〜6歳頃であれば、お口の癖(口呼吸・舌の位置など)が整いやすく、顎の骨も柔らかいため、装置の効果が出やすくなります。小学生中学年〜高学年でも改善を期待できるケースはありますが、成長のピークを逃す前にアプローチすることが望ましいとされています。

また、年齢だけでなく、お子さまの口腔機能・顎の発育状況・乳歯と永久歯の生え変わりの段階によって適切な開始時期は変わります。
「早すぎるのでは?」「まだ様子を見るべき?」と迷われる保護者の方も多いため、まずは一度、成長段階に合わせた評価を受けることが安心につながります。

なぜ「矯正」ではなく「咬合誘導」か

プレオルソは、一般的なワイヤー矯正のように“歯を直接大きく動かす”治療ではありません。
そのため、歯科ではプレオルソを 「矯正」ではなく「咬合誘導(こうごうゆうどう)」 と呼びます。

咬合誘導とは、成長期のお子さまが本来持っている 顎の発育力を正しい方向へ導く治療 のこと。
つまり、「歯並びを無理やり変える」のではなく、発育のズレを整えて、自然な成長の軌道に戻す のが目的です。

たとえば——

  • 上顎の成長が弱く受け口傾向がある
  • 舌が下がっており、下顎を前に押してしまう癖がある
  • 口呼吸によって顎が狭くなりやすい

こうした要因は、歯そのものではなく 機能の偏りや成長のアンバランス によって起きています。
プレオルソは、この“根本原因”である 筋肉・舌・呼吸・顎の成長バランス を整えることで、噛み合わせが自然に正しい方向へ向かうようサポートします。

そのため、プレオルソは
「治す」ための治療というより、将来の歯並びを良くするための“土台づくり”
と表現する方が近いといえます。

そして、この“成長を利用できる幼少期”こそが咬合誘導の最大のチャンスであり、プレオルソが選ばれる理由でもあります。

子どもの受け口(反対咬合)とプレオルソ — 適応と期待できる効果

お子さまの「受け口(反対咬合)」は、見た目だけでなく、噛む力・発音・顔立ちの成長にも影響することがあるため、保護者の方にとって大きな心配ごとのひとつです。とくに成長期の受け口は、そのまま放置すると下顎がどんどん前に成長してしまい、将来的にワイヤー矯正や外科治療が必要になるケースもあります。

プレオルソは、こうした“成長によるズレ”が起こりやすい幼少期に、お口の機能と顎の発育を整えながら受け口の改善を目指す治療法です。歯を強い力で動かすのではなく、お子さまの自然な成長を利用するため、負担が少なく、やさしく取り組める点が特徴です。

ここからは、まず「受け口とはどんな状態なのか」を整理し、そのうえで プレオルソがどこまで改善できるのか、どんな効果が期待できるのか、限界はどこにあるのか を具体的に解説していきます。

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受け口(反対咬合)とは

「受け口(反対咬合)」とは、下の前歯が上の前歯より前に出て噛み合っている状態を指します。見た目の問題だけでなく、噛む力のバランスや発音、将来の顎の成長にも大きく影響することがあるため、幼少期から注意が必要な不正咬合のひとつです。

受け口が起こる理由はひとつではなく、

  • 上顎の成長が弱い(上顎が小さい)
  • 下顎の前方成長が強い
  • 舌の位置が低く、下顎を前に押してしまう「舌癖」
  • 口呼吸や頬・唇の力のバランスなど 口腔習癖の影響
  • 家族性の 遺伝的な骨格の特徴

など、複数の要因が複雑に関係して起こります。

とくに幼児〜小学生の時期は、顎の骨が成長途中のため、上顎の育ち方やお口の癖が受け口を進行させることがあります。「乳歯だから大丈夫」と思われる方もいますが、実際には永久歯の生え方にも影響し、将来の治療の難易度を左右することが多いため、早めのチェックが大切です。

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このような背景を踏まえ、次ではプレオルソが受け口にどんな改善をもたらせるのかを具体的に見ていきます。

プレオルソで期待できる改善点

受け口のお子さまに対してプレオルソが期待できる最大の効果は、顎の成長方向を“正しい位置”へ誘導することです。歯を強制的に押し戻すのではなく、装置を使いながらお口の機能を整えることで、自然な発育の力を活かして受け口が改善する可能性があります。

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具体的には、次のような点が期待できます。

◆ 上顎の成長をサポートし、バランスのよい噛み合わせへ

受け口の多くは「上顎の成長が弱い」ことが背景にあります。プレオルソは舌の位置を改善し、鼻呼吸しやすい環境を整えることで、上顎が本来の成長力を発揮しやすくなるとされています。

◆ 下顎の過度な前方成長を抑える

舌が下がり気味だったり、口がポカンと開く癖があると、下顎が前へ成長しやすくなります。プレオルソは、

  • 舌の正しい位置(上あご側)
  • 唇の力のバランス
  • お口周りの筋肉の使い方
    を整えることで、下顎が過度に前へ伸びてしまうのを抑える効果が期待できます。

◆ 前歯の噛み合わせが改善し、見た目の変化も期待できる

装置を使うことで、噛み合わせの接触が適正な方向へ変わり、
「下の前歯が前に出ている状態」から「自然に上の歯が前にくる状態」
へと近づくケースも少なくありません。

痛みの少ない治療でありながら、成長期の“タイミングが合えば”見た目にも機能的にも大きな変化が期待できる点が、プレオルソの大きなメリットといえます。

永久歯への誘導と将来の矯正の可能性軽減

プレオルソの大きな役割のひとつが、**「これから生えてくる永久歯が正しい位置に並びやすい環境をつくること」**です。
永久歯が十分なスペースや正しい成長方向を確保できれば、将来の矯正治療が必要にならなかったり、治療の規模を小さくできる可能性があります。

◆ 成長期にこそできる“発育のコントロール”

4〜10歳ごろは、上顎の骨が大きく成長する大切な時期です。このタイミングでプレオルソを使うと、

  • 上顎の成長を促し、
  • 下顎の前方への成長を適度に抑え、
  • 舌や口周りの筋肉の使い方を整えることで、

永久歯が正しい位置に生えやすくなる土台づくり が可能になります。

これは“歯を直接動かす矯正”ではなく、将来の歯列を整えるための準備 にあたります。

◆ 抜歯や大がかりな矯正を回避できる可能性

永久歯が生えるスペースが狭かったり、噛み合わせのズレが大きいと、
中学生以降に「抜歯を伴うワイヤー矯正」や「外科的矯正」が必要になることがあります。

しかし、成長期にプレオルソで発育バランスを整えることで、

  • 将来の歯列が自然に整いやすくなる
  • 矯正で抜歯を避けられる可能性が高まる
  • 本格矯正が必要になっても、治療が軽い内容で済むことがある

など、長期的なメリットが生まれます。

◆ 歯並びの“長期安定性”にもつながる

咬合誘導によって舌の位置・呼吸・筋肉バランスを整えることで、
「後戻りしにくい歯並びの土台」 をつくれる点も大きな利点です。

将来を見据えた矯正のステップとして、プレオルソはお子さまにとって負担の少ない選択肢と言えるでしょう。

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プレオルソのメリット — 子どもや家族にやさしい理由

プレオルソが小児矯正の選択肢として広く支持されている理由には、**「お子さま本人の負担が少ないこと」と、「ご家庭で無理なく続けられること」**という2つの大きなポイントがあります。成長期に合わせてお口の機能を整える治療であるため、痛みが少なく、生活のリズムを大きく変える必要がないのが魅力です。

また、取り外しができて衛生的で、学校に持っていく必要もなく、保護者の方にとってもサポートしやすい治療法です。初めて矯正を検討するご家庭でも「これなら子どもが嫌がらずに続けられそう」と感じやすく、安心して取り組める点が大きなメリットです。

ここからは、プレオルソが持つ具体的な利点について、日常生活の視点から順に解説していきます。

取り外し可能で日常生活に負担が少ない

プレオルソは 取り外し式のマウスピース装置 のため、食事や歯磨きのたびに装置を外すことができ、お子さまの日常生活への負担が非常に少ない点が大きなメリットです。

固定式のワイヤー矯正では、食べ物が詰まりやすかったり、ブラッシングが難しく虫歯リスクが上がることがあります。しかしプレオルソなら、

  • 食事のときは外して自由に食べられる
  • 歯磨きも普段どおりしっかりできる
  • 装置自体も外して洗えるため清潔を保ちやすい

と、ストレスの少ない使い方ができます。

さらに、学校に持っていく必要がないため、
「落としたらどうしよう…」
「友達に見られるのが恥ずかしい…」
といった心配を抱く必要もありません。自宅と寝る前の時間だけで取り組めるため、生活リズムに負担をかけずに続けやすい治療法 といえます。

とくに小さなお子さまの場合、負担の少なさは治療を継続できるかどうかの大きなポイントになるため、「がんばれる矯正」として選ばれやすい装置です。

痛みや不快感が少ない/金属アレルギーの心配が少ない

プレオルソは、柔らかい弾性素材でできたマウスピース型の装置です。ワイヤー矯正のように“歯を強く押して動かす”構造ではないため、痛みや不快感が非常に少ない ことが特徴です。

装着した瞬間に強い力がかかるわけではなく、

  • 舌の位置が整う
  • 唇や頬の筋肉の使い方が変わる
  • 顎の成長方向が整っていく
    といった 自然な変化の積み重ね によって効果を発揮します。

そのため、お子さまが「痛くてつけられない…」と感じる場面が少なく、矯正が初めてのお子さまにも始めやすい治療法です。

また、プレオルソは 金属を使用していないため、金属アレルギーの心配がほとんどありません。
ワイヤーやブラケットが口の中でこすれて傷ができたり、装置が口内炎の原因になるといったトラブルも起こりにくく、快適に続けられます。

「子どもにとって痛くないか」「嫌がらないか」が気になる保護者の方にとって、安心して選びやすいポイントです。

口腔習癖(舌の位置・口呼吸など)の改善が期待できる

受け口や歯並びの乱れは、歯そのものの問題だけでなく、舌の位置・口呼吸・頬や唇の力のバランス といった“お口の癖(口腔習癖)”が深く関わっていることが少なくありません。
プレオルソは、この「癖」を改善しやすいように設計された装置で、歯並びの土台である口腔機能そのものを整えることができます。

◆ 舌の位置が整うことで、上顎の成長をサポート

舌は通常、上あご(口蓋)の内側に軽く触れているのが正しい位置です。
しかし、舌が下がっている「低位舌」の状態では、

  • 上顎が広がりにくい
  • 下顎を前に押す力が働きやすい
    ため、受け口が進行しやすくなります。

プレオルソは舌を正しいポジションへ導く形状になっており、自然と上顎の成長を助ける環境づくりにつながります。

◆ 口呼吸から鼻呼吸へ誘導し、顎の発育に良い影響

口がいつも開いている「口呼吸」も、受け口の原因の一つです。
口呼吸のままだと、

  • 上顎が十分成長しにくい
  • 顔の下半分が長くなる“口呼吸顔貌”になりやすい
    など、発育に影響を与えることがあります。

プレオルソを付けることで自然と口が閉じやすくなり、鼻呼吸の習慣づけが期待できます。

◆ 指しゃぶりや頬杖などの悪癖改善のきっかけに

お口の筋肉のバランスが整うと、

頬杖
などの癖も改善しやすくなり、長期的に歯並びが安定しやすい環境がつくられます。

指しゃぶり

唇を噛む癖

プレオルソのデメリット・注意点 — 期待どおりにならないケースとは

プレオルソには多くのメリットがある一方で、「万能な装置ではない」 という点も正しく理解しておくことが大切です。とくに受け口(反対咬合)は、原因が骨格・筋肉・癖など複数にまたがるため、すべてのお子さまに同じ効果が得られるわけではありません。

また、プレオルソは“成長を利用する治療”であるため、装着時間や日々の習慣づけが治療成果を大きく左右します。
どれだけ装置が適していても、使い方が不十分な場合には期待した改善が得られないことがあります。

ここからは、プレオルソが効果を発揮しにくいケースや、使用時に注意したいポイントについて、保護者の方が事前に知っておきたい内容をわかりやすくお伝えします。

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すべての受け口/不正咬合に対応できるわけではない

プレオルソはお子さまの受け口改善に有効なケースが多い一方で、すべての受け口に適しているわけではありません。
とくに、原因が「骨格そのものの大きなズレ」にある場合、マウスピース型の咬合誘導だけでは改善が難しく、より本格的な矯正治療や別の装置が必要になることがあります。

具体的には、次のようなケースです。

◆ 顎の骨格に大きな前後差がある場合

上顎が極端に小さい、または下顎が著しく大きい場合、成長の誘導だけでは噛み合わせを整えきれないことがあります。
このようなケースでは、成長のピークに合わせて

  • 上顎を前方に導く装置
  • 下顎の成長を抑制する補助装置
    など、他の治療法を組み合わせることが必要になることもあります。

▶️骨格に大きな前後差があるときに使う装置についてはこちら

◆ 歯の並びが重度に乱れている場合

叢生(ガタガタ)が強い、歯が大きく傾いて生えているなど、歯並び自体の問題が大きい場合には、将来的にワイヤー矯正が必要になる可能性があります。

◆ 成長が進みすぎている場合

受け口は、早期治療で大きな改善が期待できる一方、

思春期以降で骨格の固定が進んでいる
といった場合は、プレオルソ単独での改善が難しくなります。

成長がほぼ終わっている

装着時間・継続性が治療成果に直結する

プレオルソは、お子さまの成長を利用して噛み合わせを整える“咬合誘導”の装置であるため、決められた装着時間を守ることが、治療の成否に大きく影響します。
どれほど適した装置でも、使用する時間が足りなければ本来の効果を十分に発揮できません。

◆ 基本は「日中1時間+就寝時」

プレオルソの標準的な使用時間は、

  • 日中に1時間
  • 寝ている間の装着(就寝中)
    とされています。

学校に持っていく必要がなく、ご家庭の生活リズムの中で取り入れやすい反面、毎日継続することが不可欠です。

◆ 「今日はやめたい…」となりやすい時期こそサポートが大切

はじめの数日は違和感があり、お子さまが装着を嫌がることもあります。
しかし、この時期を乗り越えられるかどうかが、治療成果を左右します。

よくあるつまずきとしては——

  • 遊びに夢中でつけ忘れてしまう
  • 装置を外したまま寝てしまう
  • 違和感を理由に途中で外してしまう

といった“習慣化の壁”です。

◆ 保護者の協力が成果を大きく左右する

プレオルソは痛みが少ないため続けやすい反面、取り外しが自由である分、サポートなしでは習慣になりにくい側面があります。

そのため、

  • 声がけのタイミングを決める
  • 装置の置き場所を固定する
  • カレンダーにチェックする習慣を作る

など、「続けやすい仕組み」をご家庭で整えていただくことが、治療効果を最大限に引き出す鍵となります。

あくまで「咬合誘導」であり、歯を動かす矯正ではない点

プレオルソは、一般的なワイヤー矯正のように“歯そのものを直接大きく動かす装置”ではありません。
そのため、プレオルソによる治療は 「矯正治療」ではなく「咬合誘導(こうごうゆうどう)」 と位置づけられています。

◆ 歯を動かすのではなく「将来の歯並びが整うための準備」をする装置

ワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを使って歯を強い力で動かし、ミリ単位で位置を調整します。
一方、プレオルソが目指しているのは、

  • 顎の成長方向を整える
  • 舌の位置や口の使い方を正しくする
  • 永久歯が生えるスペースとバランスを確保する

といった、“成長の土台づくり”です。

つまり、**プレオルソは歯を動かすのではなく「動きやすくなる環境を整える装置」**といえます。

◆ 永久歯の生え方や顎の成長によっては追加治療が必要になることも

咬合誘導は、成長を活かした治療である反面、

  • 永久歯の生え方
  • 成長のスピード
  • 骨格の特徴
    など、個々のお子さまの発育によって結果が左右される面があります。

そのため、

  • プレオルソだけで十分に整うケース
  • 1期治療としてプレオルソを行い、後に軽い矯正が必要になるケース
  • 骨格的ズレが大きく、別の治療を併用する必要があるケース

など、将来の方向性はお子さまによって異なります。

◆ 「プレオルソ=すべてが治る装置」ではなく、”成長を味方にする第一歩”

大切なのは、プレオルソを “治療の入口” として理解することです。
幼少期にお口の機能と顎の発育を整えておくことで、

  • 将来の矯正がいらなくなる可能性
  • 矯正が必要になっても負担が少なくなる可能性
    の両方が高まります。

プレオルソは、歯を無理に動かすのではなく、子どもの成長力を正しく方向づけるやさしい治療 として位置づけられています。

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プレオルソ治療の流れと、ご家庭でのサポートのポイント

プレオルソによる治療は、装置を作って終わりではなく、**「検査 → 装置作成 → 装着練習 → 日々の継続」**という流れを経て進んでいきます。とくに、成長期の子どもにとっては“どれだけ自然に習慣化できるか”が治療効果に直結するため、ご家庭でのサポートがとても重要になります。

初診では、お子さまのお口の状態や顎の成長バランスを丁寧に確認し、必要に応じて装置を作成します。ワイヤー矯正のように複雑な準備がいらず、比較的スムーズにスタートできるのも特徴です。

ここからは、プレオルソ治療の具体的な進み方と、保護者の方が知っておきたいサポートのポイントを順に解説していきます。

初診〜検査〜装置作成/調整

プレオルソ治療は、まず 現在のお口の状態を正確に知ること から始まります。受け口の原因は、歯並びだけでなく、顎の成長バランス・舌や口の癖など複数の要素が関わるため、最初の診査がとても大切です。

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◆ 初診相談(カウンセリング)

まずは、保護者の方のお悩みや気になる点を丁寧に伺い、お子さまのお口の中を確認します。
「どの程度受け口が進んでいるか」「成長に影響する癖があるか」などをチェックし、プレオルソが適しているかどうかを判断します。

◆ レントゲン・口腔内スキャナーなどによる精密検査

必要に応じて、

  • 顎の大きさや位置関係を見るレントゲン
  • 噛み合わせや口腔内を詳細に確認する検査
    を行い、成長方向を正確に評価します。

この段階でお子さまの状態に合わせた治療計画が立ち、無理なく取り組めるかどうかが明確になります。

◆ 装置の作成:既成品を熱で調整してフィットさせる

プレオルソは既成サイズの装置を お子さまのお口の形に合わせて熱で調整 します。
ワイヤー矯正のように精密な模型づくりや複雑な工程は必要なく、比較的スムーズに装置をお渡しできます。

◆ 装着練習とフィッティング調整

装置をはめた際に

  • 痛みがないか
  • 苦しくないか
  • 適切に口が閉じられるか
    を確認し、お子さま自身が安心して着けられるよう丁寧に練習します。

使い始めの不安をなくすことが、継続につながる大切なステップです。

装着方法と頻度 — 日中1時間+就寝中

プレオルソの装着時間は、効果を引き出すためにとても重要なポイントです。基本は 「日中1時間+就寝中」の使用とされており、このリズムを習慣にできるかどうかが治療成果に直結します。

◆ 日中1時間:自宅で無理なく取り入れられる

日中の1時間は、

  • テレビを観ているとき
  • 宿題の時間
  • ゲームや読書の時間
    など、自宅で落ち着いているタイミングに合わせると続けやすくなります。

学校へ持っていく必要はないため、ご家庭の生活動線で完結できる点が大きなメリットです。

◆ 寝ている間は装置を長時間キープできる

就寝時の装着は、プレオルソの効果を最大限に発揮するための重要な時間帯です。
寝ている間は口の動きが少なく、舌の位置や口の閉じ方を安定させやすいため、お口の機能を整えるには最適な時間といえます。

「夜だけでもいいの?」という声もありますが、
日中の1時間が“装置に慣れる時間”となり、夜間の安定した装着につながるため、両方が大切です。

◆ 継続のコツ:ご家庭でルール化すると誰も無理しない

毎日続けるためにおすすめなのが、

  • 「装着する時間」を固定する(例:夕食後〜入浴前)
  • カレンダーやアプリでチェックする
  • 保護者が最初の数週間だけ声かけを行う

といった “続けやすいルーティンづくり” です。

プレオルソは痛みが少ないため、お子さまが習慣にさえできれば自然と継続しやすい装置です。

ご家庭での口腔機能トレーニング(MFT)や習慣改善の重要性

プレオルソは「お口の機能を整える装置」ですが、装置だけで治療が完成するわけではありません。
もっとも大切なのは、お子さま自身が正しい舌の使い方・呼吸・口の閉じ方を身につけ、それを日常生活の中で維持できるようになることです。

この“機能の土台づくり”をサポートするのが MFT(口腔筋機能療法) です。

◆ なぜ MFT が必要なの?

受け口や歯並びの乱れは、舌・唇・頬の使い方などの「癖」が原因になっていることが非常に多く、装置を外してしまうと元の癖に戻る可能性があります。
そのため、

  • 舌を正しい位置に置く
  • 鼻呼吸を習慣化する
  • 唇をしっかり閉じる力を育てる
  • 噛む・飲み込む動作を適切に行う

といった“正しい機能の再学習”が欠かせません。

プレオルソはこの機能改善を助ける形状になっていますが、日常生活の中でも繰り返し練習して定着させることが効果につながります。

◆ ご家庭でできる代表的なトレーニング例

歯科医院の指導に基づいて行う MFT には、以下のような簡単なトレーニングがあります。

  • ポッピング(舌を上顎に吸いつけて鳴らす練習)
  • 鼻呼吸の意識づけ(風船、吸う・吐くのリズム練習など)
  • 唇の閉鎖力トレーニング(口を閉じて鼻で呼吸する習慣)
  • 嚥下(飲み込み)練習(舌を正しい位置に置いて飲み込む)

「毎日1〜2分」レベルでも続けることで効果が積み重なり、装置の成果を安定させるうえで非常に有効です。

◆ 習慣が変わると、治療結果の安定性が大きく上がる

プレオルソで受け口が改善したとしても、

  • 口呼吸
  • 舌が下がる癖
  • 頬杖・指しゃぶり
    などが戻ってしまえば、噛み合わせも後戻りしやすくなります。

逆に言えば、生活習慣が整ったお子さまは、治療後の安定性が格段に高くなる傾向があります。

装置 × MFT × 習慣改善
この3つが揃うことで、プレオルソの効果がしっかりと発揮され、将来の歯並びに良い影響を与えることができます。

保護者向け Q&A — よくある疑問とその答え

プレオルソは、成長を利用しながら歯並びや噛み合わせを整える装置であり、従来の矯正とは考え方や進め方が大きく異なります。そのため、初めて検討される保護者の方は「本当に治るの?」「いつまで続ければいいの?」「やめたら戻らない?」など、多くの疑問を抱かれます。

ここでは、特にご相談の多い質問を取り上げ、治療のメリットと限界を正しく理解していただけるよう、わかりやすく回答していきます。
「うちの子に合っているのかな?」と迷われている方の不安が少しでも軽くなるよう、実際の治療現場でよく聞かれるポイントを中心にまとめました。

本当に受け口が治るの?

「プレオルソだけで本当に受け口が治るの?」
これは最も多く寄せられる質問です。

結論としては、
・成長期の適切なタイミングで開始できた場合
・装着時間と習慣改善ができている場合

には、受け口の改善が期待できるケースが多くあります。

プレオルソは、歯を直接動かすのではなく、

  • 上顎の成長を正しい方向へ促す
  • 下顎が前へ過度に出ないよう機能バランスを整える
  • 舌の位置や呼吸の癖を改善する
    といった “発育そのものを整えるアプローチ” のため、幼児〜小学生の時期と相性が良い治療法です。

当院でプレオルソにより受け口を直した治療例です。1ヶ月で反対咬合が治りました。今後もさらに歯並びが良くなるようにプレオルソを調整していきます。下の歯並びも改善しました。

◆ 改善しやすいケース

  • 低位舌・口呼吸など機能的な要因が大きい受け口
  • 顎の骨格的ズレがまだ軽度の段階

このようなケースでは、プレオルソだけで見た目や噛み合わせが大きく改善することも少なくありません。

◆ 注意が必要なケース(改善が難しいことがある)

  • 骨格的なズレが大きい
  • 下顎が強く前方成長している
  • 成長がほぼ完了している年代
  • 装着時間が守れない、習慣改善が難しい

このような場合には、プレオルソ単独では十分な効果が出ないことがあり、
別の装置やワイヤー矯正を併用する必要 があります。

大切なのは、
「治るかどうか」は装置だけでなく、成長時期・習慣・顎の状態の3つで決まる
という点です。

早めに状態を確認し、適切な時期にスタートできれば、将来の大掛かりな矯正を回避できる可能性が高まります。

何歳ごろまで続けるべき?

プレオルソは、永久歯が生えそろう前(おおむね10歳前後) を目安に使用されることが多い装置です。
これは、上顎の成長が活発で、舌や呼吸などの口腔機能がまだ柔軟に変わりやすい時期だからです。

▶️受け口の治療時期については詳しくはこちら

◆ 一般的な期間の目安

  • 開始時期:4〜10歳頃
  • 継続期間:半年〜2年ほど(個人差あり)
  • 終了目安:永久歯がある程度生えそろう時期

しかし、この期間はあくまでも目安であり、実際にはお子さまの成長ペースや噛み合わせの状態によって大きく変わります。

◆ 年齢よりも「発育状態」で判断することが大切

たとえば——

  • 成長が早い子:8〜9歳で咬合誘導が完了することも
  • 成長がゆっくりな子:10歳を過ぎてもプレオルソが有効な場合がある
  • 乳歯の抜ける順番・舌の癖が改善しているかどうかによっても変動

というように、体の成長段階を見ながら柔軟に調整していきます。

◆ 歯科医師の定期チェックが重要

終わりのタイミングは「年齢」で決めるのではなく、

  • 顎の成長バランスが整ってきたか
  • 舌の位置や口呼吸などの癖が改善してきたか
  • 永久歯が正しい方向に生え始めているか
    といった“変化の質”で判断します。

そのため、「何歳まで続けるべき?」という疑問には、
→ お子さまの口の成長次第で最適な終了時期が変わるため、歯科医師と定期的に相談しながら決めるのが安心です。
という回答が最も正確です。

装置をやめたら後戻りしない?

プレオルソでせっかく受け口が改善しても、「やめたら元に戻ってしまうのでは?」と心配される保護者の方はとても多いです。

結論として、
✓ 正しい口腔機能が身につけば後戻りしにくい
✓ ただし、癖が戻ると再発する可能性がある
という、2つの側面があります。

◆ 後戻りしにくい理由:機能が整うことで「自然に安定」するため

プレオルソは、歯を無理に動かす治療ではなく、

  • 舌の正しい位置
  • 鼻呼吸の習慣
  • 顎の成長方向
  • 唇や頬の筋バランス
    といった「歯並びを支える機能」を整えるアプローチです。

この“お口の使い方”が身につけば、
歯を安定させる力が自然に働くため、後戻りが起きにくい という特徴があります。

◆ 後戻りするケース:口呼吸や舌癖が戻った場合

一方で、

  • 口呼吸に戻ってしまう
  • 下がった舌の癖が再発する
  • 頬杖などの悪習癖が続く
    といった場合には、噛み合わせが再びずれてしまう可能性 があります。

これはワイヤー矯正でも同じで、歯並びを安定させるためには生活習慣がとても重要です。

◆ 後戻りを防ぐために大切なこと

  • 定期的な歯科チェック
  • MFT(口腔筋トレーニング)の継続
  • 正しい舌の位置・鼻呼吸の習慣化
  • 生活習慣(頬杖・指しゃぶりなど)の見直し

これらができているお子さまは、治療終了後も安定した状態を維持しやすくなります。

まとめ:プレオルソは子どもの成長を味方につける“やさしい受け口改善”

プレオルソは、子どもの受け口(反対咬合)に対して、顎の発育・舌の位置・呼吸など“歯並びの土台”を整えることで改善を目指す咬合誘導です。痛みが少なく、生活への負担も小さいため、初めての矯正として取り組みやすい装置といえます。

ただし、すべての受け口を治せるわけではなく、

  • 骨格的なズレが大きい場合
  • 装着時間が守れない場合
  • 口腔習癖が改善しない場合

には、十分な効果が得られにくいこともあります。
だからこそ、適切な開始時期の見極め と ご家庭でのサポート がとても重要になります。

プレオルソは、将来の抜歯や大がかりな矯正を避けられる可能性もあり、子どもの成長を最大限に活かせる治療法です。
「うちの子に合っているのかな?」「いつ始めるのが良いの?」と感じたら、まずは早めの矯正相談で、お子さまの成長に合った最適な時期と治療の選択肢を知ることが安心につながります。

お口の機能や歯並びは、将来の健康にも大きく関わる大切な部分です。
気になる症状がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。お子さまにとって無理のない、最適なサポート方法をご提案いたします。

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この記事の監修者情報

吉田 尚起

日本矯正歯科学会認定医

院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。

自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。

歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。

〒560-0056 大阪府豊中市宮山町1丁目1−47

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