2026.1.10| 矯正相談集
「前歯が大きい・ガタガタが心配で…」とご相談いただいたT.Nさん(9歳・男の子)のケース
「前歯が大きくて目立つ」「歯がガタガタしてきた」「このままだと抜歯になるのかな…」
9歳前後は歯の生え変わりが進み、歯並びの乱れがはっきりしてくる時期です。不安を感じてご相談に来られる親御様は少なくありません。
今回は、前歯の大きさとガタガタを気にされて来院された9歳の男の子、T.Nさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。歯並びだけでなく、口呼吸の背景や将来的な治療選択肢まで含めてご説明しました。
患者様情報
| 年齢 | 9歳 |
| 性別 | 男性 |
初診時の画像診断



上下の歯並びに大きなガタガタがありました。
上の歯並びにはガタガタの悪化を防ぐ目的でバンドループが装着されていました。
ご相談のきっかけ
T.Nさんは、かかりつけの歯科医院で「将来的には矯正が必要」と言われていたものの、歯並びが全て大人の歯に生え変わってから詳しい検査や具体的な治療をしていきましょうと言われ、このまま放置していていいのか不安という状況でした。
またお母様からは、
- 小さい頃から口を開けたまま寝る(口呼吸)があった
- 口呼吸は治療により改善してきているが、鼻炎が出ると口呼吸に戻りやすい
という背景もあり、口腔環境も含めて心配とのことでご相談くださいました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今日は前歯が大きいのとガタガタが気になる、ということでご相談に来ていただきました。
はい。前歯が大きくて、歯もガタガタしてきて…。それに、口呼吸の癖もあったので心配で。
口呼吸は歯並びに影響することもあるので、そこも含めて考えていきますね。
まず歯並びですが、ガタガタは軽度ではなく、重度のタイプに入ります。
すごくガタガタしていますもんね…
見た目だけだと分かりにくいのですが、上の犬歯がまだ生えていないので、これからここに歯が生えてくることを考えると、スペースがかなり足りません。下の歯も本来あるべき位置より、2番目の歯が後ろ側に入ってきていて、全体として左右それぞれで歯が1本分足りないくらいのスペース不足になっています。
やっぱりそうなんですね…
歯の本数は足りています。レントゲンでも永久歯は揃っていました。ここは安心してください。
ただ、このスペース不足の大きさを見ると、将来的に抜歯矯正が現実的になるケースが多いです。
無理に抜かずに並べようとすると、前歯が前に押し出されて口元が出やすくなるからです。
抜歯って、すぐするんですか?
実はすぐはできません。一般的に抜くのは前から4番目の歯ですが、まだ生えていないので、11〜12歳頃に生えてからになります。
それまで何もしないってことですか?それはちょっと…かわいそうというか…。
そうですよね。だから今できることがあります。
それが、顎の横幅を広げてスペースを稼ぐ治療すなわち拡大です。
これで必ず抜歯を回避できると断言はできませんが、少なくとも抜歯しない選択肢を残すことができます。
矯正って、今から全部きれいにするものだと思ってました…。
矯正は大きく分けて、一期治療の小児矯正と二期治療の成人矯正の2段階があります。
一期治療では、成長を利用してスペースを作り、土台を整えていきます。そして二期治療では、永久歯が揃ってから100点の歯並びに仕上げていきます。
一期治療では前歯はかなり良くできますが、奥歯まで完璧に仕上げるのは二期治療の役割です。
友達がめっちゃ痛いって言ってたみたいで、本人もすごく気にしてて…。
拡大装置は、そこまで痛みが強く出るタイプではないです。最初は違和感が出ますが、多くは数日で慣れる方がほとんどですよ。
そうですか、よくわかりました。検査の予約をとって帰ります。
まとめ
T.Nさんのケースでは、
・「上下顎の歯列スペース不足によるガタガタ(叢生)」に対して、成長期を活かした顎の横幅拡大(一期治療)が有効であること
・将来的に抜歯矯正が必要になる可能性を見据えつつ、今の時期にスペースを確保することで「抜歯を回避できる選択肢」を残すことが重要である
という相談結果になりました。
今回の診察では、「歯がガタガタしてきた」「前歯が大きく見える」といった見た目の変化だけでなく、永久歯の大きさと顎の成長バランス、今後の生え変わりの流れを踏まえた治療タイミングについても詳しくご説明しました。
小児矯正では、今すぐ歯を完璧に並べることが目的ではなく、将来すべての永久歯が生えそろったときに、無理なくきれいに並べられる「土台」を整えることが最も重要です。
特に9歳前後は、顎の成長を利用できる貴重な時期であり、このタイミングで適切な治療を行うことで、治療の選択肢を広げることが可能になります。
お子様の歯並びや生え変わりについて少しでも気になることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
成長段階に合わせた無理のない治療計画を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
