2026.1.31| 矯正相談集
「ガタガタと出っ歯、顎の痛みもあって…」とご相談いただいたNさん(14歳・女の子)のケース
「歯がガタガタしている」「前歯が出ていて口が閉じにくい」「顎が痛いことがある」…
中学生〜高校生にかけては、見た目だけでなくスポーツ中のケガ(唇が切れる等)や、歯磨きのしにくさ・顎の違和感など、生活の中で困りごとが増えて相談に来られる方も多いです。
今回は、以前から歯科医院で「矯正が必要かも」と言われていたものの、費用面などもあり踏み切れず、改めて当院へご相談に来院されたNさん(14歳女の子)の初診相談時のやり取りをご紹介します。単に歯を並べるだけでなく、口元の印象・噛み合わせ・虫歯リスク・親知らず・顎の違和感まで含めた長期的な視点でお話ししました。
患者様情報
| 年齢 | 14歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



出っ歯の傾向が見られました。
右下の一番奥の歯と左下の前から5番目の歯が内側に傾いていて、上下でうまく噛み合っていませんでした。
歯並びにガタガタがありました。
口元が出て、お口が開きやすいお顔立ちをしていました。
ご相談のきっかけ
Nさんは小学校の頃から「矯正した方がいいかも」と言われていたものの、詳しい説明までは受けていなかったとのこと。
最近はご本人も
- 歯のガタガタ
- 前歯の出っ歯感
- 顎の痛み
が気になり始め、「ちゃんと相談したい」とのことで当院に来院されました。
患者様との実際のやり取り
今日は、ガタガタと出っ歯が気になるということでした。顎が痛いというお話も伺っています。
そうです。検診で小学校の頃から矯正治療をした方がいいとは言われてたんですけど、治療の詳しい話をあまり聞いたことがなくて…。大きく口を開けた時に顎もたまに痛いです。
まず歯並びを見ると、下の歯が何本か内側に入っていて上下の歯で噛めていないところがあります。ここは歯の傾きを変えて上下で歯を噛ませてあげたほうがいいです。
内側に入っている歯は歯磨きもしづらいので、磨き残しで汚れが溜まり、“虫歯の手前”で黄色くなっている部分があります。矯正とは別に虫歯治療も行ったほうがいいと思います。
あと、出っ歯も気になっています。バスケ中にボールが当たると唇が切れたりして…歯が出ているから当たりやすいのかなと。どのような治療をしたら改善しますか?
前歯が出ていると、ぶつかった時に唇が切れやすかったり、当たり方が悪い場合には前歯が折れてしまうこともあります。一度折れてしまうと取り返しがつかないので、起きていなくて良かったですね。
出っ歯をしっかり引っ込めたい場合、歯を後ろに動かすためのスペースが必要です。
そのスペースを作る方法として、一般的には前から4番目の歯を抜いてそのスペースを作る、という選択肢があります。
えっ、歯を抜くんですか…?
びっくりしますよね。今日この場で決める話ではないですが、出っ歯を治してお口元の改善も目指すなら、抜歯は必要です。
抜くのって、痛いですか…?
今回の矯正治療で抜く4番目の歯は綺麗に生えている歯なので、虫歯治療で使用する麻酔を行えば痛みはほぼありません。
抜いた後もあまり痛みが出ないことが多いです。抜歯を行う場合は左右2本を同日に抜くこととなります。
矯正するなら、どんな治療になりますか?
治療法は大きく2つで、ワイヤー矯正とマウスピース矯正があります。
管理面でいうと、ワイヤーは付けっぱなしなので確実に進みますが、歯磨きが難しくなります。
マウスピースは目立ちにくく歯磨きしやすいですが、付け外しの自己管理が必要です。
生活や性格も含めて続けやすい方法を一緒に選びましょう。
わかりました。それから顎の痛みは、矯正で治りますか?
矯正で顎関節の痛みが治るわけではありません。
ただ、噛み合わせが変わることで噛みしめが減って、楽になる人もいます。
今の痛みは食いしばりが関係していそうなので、まずは経過観察しつつ、自分が歯軋りをしているから控えようと意識するだけでも症状が軽くなることもあります。ぜひ意識してみてください。
わかりました。次回の検査の予約をお願いします。
まとめ
Nさんのケースでは、
・前歯の突出(出っ歯傾向)と歯列のガタつきにより、口元が閉じにくく、スポーツ時に唇を切りやすい状態であること
・上下の噛み合わせのズレや、内側に入り込んだ歯による清掃不良が見られ、将来的な虫歯・歯周トラブルのリスクが高いこと
・前歯をしっかり引き込み、口元の印象を改善するためには、抜歯を含めた矯正治療が有力な選択肢になる可能性があること
・ただし、歯を引き込みすぎてしまうと表情のバランスを崩す恐れがあるため、横顔(Eライン)や噛み合わせ全体との調和を見極めた治療計画が重要であること
といった点を中心にご説明しました。
今回の診察では、「歯がガタガタしている」「前歯が出ていて気になる」といった見た目のお悩みだけでなく、
・歯磨きがしづらい部位のリスク
・スポーツ時の外傷(唇を切りやすい)
・顎の違和感や噛みしめの可能性
まで含めて、将来を見据えた総合的な視点でお話ししました。
14歳という年齢は、永久歯がほぼ生えそろい、成人矯正に近い考え方で治療計画を立てていく時期です。
単に歯を並べるだけではなく、
・口元の印象
・横顔のライン
・噛み合わせの安定性
・治療後の後戻りリスク
まで含めて全体のバランスを整えることが、非常に重要になります。
Nさんのように、骨格的な条件が比較的整っているケースでは、
抜歯矯正やワイヤー矯正を適切に組み合わせることで、無理なく自然な仕上がりを目指すことが可能です。
「本当に抜歯が必要なのか」「どこまで改善したいのか」「自分に合う装置はどれか」など、
矯正治療にはいくつかの選択肢があります。
口元や歯並びでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
無理に決める必要はありません。
ご自身のライフスタイルや価値観に合った、最適な治療方法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
