2026.2.2| 矯正相談集
「上の歯のガタガタと口呼吸が気になって…」とご相談いただいたR.Tさん(9歳・男の子)のケース
「上の歯が並びきらない気がする」「口が開きやすい(口呼吸)」「今からできることがあるならやっておきたい」…
小学校の中学年になると、歯の生え変わりが進み、歯並びの不安に加えて“口呼吸”も気になって相談に来られる親御様は少なくありません。
今回は、かかりつけ歯科で「生えそろってからでも良い」と言われつつも、ネットやお友達からプレオルソ等を知り「今できることがあるなら」と来院された9歳の男の子、R.Tさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。
患者様情報
| 年齢 | 9歳 |
| 性別 | 男性 |
初診時の画像診断



上下の歯並びにガタガタがあります。
口呼吸の習慣があり、お口が開きやすいとのことです。
ご相談のきっかけ
R.Tさんは、かかりつけ歯科で「矯正はもう少し歯が生えそろってからでも」と言われていたとのことでした。
ただお母様は矯正経験がなく、
「口呼吸も気になるし、プレオルソなどが口呼吸の改善に効果的なら、今できることをやっておきたい」
というお気持ちから、当院へご相談にお越しくださいました。
患者様との実際のやり取り
今日はよろしくお願いします。今、いちばん気になっているところはどんなところでしょうか?
上の歯が少しガタガタしてきたのと、口が開きやすくて口呼吸が気になっています。かかりつけの歯医者さんではもう少し生えそろってからでいいかもと言われたんですが、今できることがあるなら知りたくて…。
なるほど。実際見てみると上の前歯は、強いガタガタではないですが、少しスペースが足りずに斜めに生えてきていますね。下の歯は比較的きれいなので、大きく乱れてガタガタになる可能性は低そうです。
主人が顎が細くて、上の歯がガタガタなので、似てくるのかな…と少し心配で。
そうですね。レントゲンを確認したところ、永久歯の本数や向きに問題はありません。変な方向を向いて埋まっている歯もなく、これは矯正を考えるうえでは良い状態です。ただ、上の歯はこれから乳歯より大きな大人の歯が生えてくるので、今のままだと並ぶスペースは少し足りなくなりそうですね。
今すぐ矯正を始めないと間に合わない、という感じでしょうか?
いえ、R.Tさんの場合今すぐ本格矯正をしないと手遅れという状態ではありません。ただ、何もしないで様子を見るよりも、将来の選択肢を残すために今できることはあります。
それはどういうことですか?
大きく分けて2つあります。
ひとつは、成長期の今だからできる上顎を横に広げて、歯が並ぶスペースを作ることです。お子さんの顎の骨はまだ柔らかく、12歳頃までは広げる治療が可能です。大人になってからだと、これはかなり難しくなります。
もうひとつは、歯そのものではなく、お口の使い方を整える方法です。
口呼吸や舌の位置、唇の筋肉の使い方は、歯並びに大きく影響します。プレオルソのような装置は、歯を綺麗に並べる力は少ないですが、歯並びが悪くなりにくい環境を作る役割があります。
口呼吸が改善されるなら、そこはすごく気になります。
そうですよね。R.Tさんの場合、ガタガタがとても強いわけではないので、まず環境を整えながら経過を見るという選択も十分ありだと思います。
その間に、歯の生え変わりや顎の成長を定期的にチェックして、ここが治療のタイミングですというところで、しっかりご提案できます。
本格矯正を行うかは今すぐ決めなくてもいい、ということですね。
はい。今日はやる・やらないを決める日ではなくて、状況を整理する日です。
まずは定期検診やプレオルソで経過を観察しながら様子を見て、歯がもう少し生えそろった段階で、改めて本格矯正の話をしていく流れが現実的だと思います。
それなら、本人にも無理がなさそうですね。
そうですね。お子さん自身が気になってきた、やってみたいと思えるタイミングも大切です。必要な時期が来たら、こちらからもきちんとお伝えしますので、まずは定期的に見ていきましょう。
わかりました。今日はすごく整理できました。次回の予約をお願いします。
まとめ
R.Tさんのケースでは、
・「上顎の歯列スペース不足による軽度のガタつき」と、「将来的に歯並びが悪化する可能性」に対して、成長期を活かした早期の経過観察と適切なタイミングでの介入が重要であること
・現時点で無理に本格矯正を開始するのではなく、顎の成長や永久歯の生え変わりを見極めながら、口呼吸の改善を図り、本格治療開始の最適な時期を判断していくことが大切である
という相談結果になりました。
今回の診察では、見た目としての「上の前歯のガタつき」だけでなく、今後生えてくる永久歯の大きさや位置、顎の成長バランスを踏まえ、このまま様子を見た場合に起こり得る歯並びの変化についても詳しくご説明しました。
そのうえで、将来的な矯正治療の選択肢を狭めないためにも、定期的なチェックを行いながら、必要に応じて顎を広げる治療や矯正治療へ移行できる体制を整えておくことが重要であるとお伝えしています。
小児矯正では、「今すぐ治療を始めるかどうか」だけでなく、いつ・どのように治療を始めるのがそのお子さまにとって最適かを見極めることが非常に大切です。
R.Tさんのように、歯や顎の状態が比較的良好なケースでは、定期的な経過観察を行いながら成長を見守ることで、将来的に無理のない矯正治療につなげることが可能です。
お子さまの歯並びや将来の矯正についてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
今の状態を正しく把握したうえで、お子さまにとって最適なタイミングと治療方法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
