2026.2.9| 矯正相談集
「ガタガタと出っ歯が気になって…」とご相談いただいたS.Iさん(10歳・女の子)のケース
「前歯がガタガタしてきた」
「少し出っ歯っぽいのも気になる」
成長とともに歯並びの悩みがはっきりしてくる10歳前後は、矯正相談が増える時期です。
今回は、歯科医院で「いずれ矯正が必要かも」と言われたことをきっかけに来院された、10歳の女の子との初診相談時のやり取りをご紹介します。姉妹の歯並びの違いも踏まえながら、当院でお伝えした治療の考え方をまとめました。
患者様情報
| 年齢 | 10歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



上下の歯並びにガタガタが見られます。
お口を閉じた時に唇に少し力が入っています。
ご相談のきっかけ
S.Iさんは定期的に歯科医院へ通院しており、クリーニングの際に「歯並びのガタガタがあり、将来的に矯正が必要かもしれない」と言われたとのこと。
「いつ始めるべきか」「どこまで治せるのか」を知りたいという思いで、インターネットから当院を知り、初診相談に来院されました。
患者様との実際のやり取り
今日はよろしくお願いします。気になっているところ、まず教えてもらえますか?
前歯がガタガタしてるのが気になります。
今の状態を見てみると、ガタガタは上下ともにあります。特に上あごの歯並びがスペースが足りなくて、歯が並びきれていない印象です。
出っ歯って言われたこともあって…。
S.Iさんの歯が並ぶ場所が足りない量は中程度〜重度です。
さらにもう一つ、上下の前歯の前後差があり、少し出っ歯傾向もあります。
前歯の噛み合わせが浅いことも将来的には整えてあげたいポイントですね。
真ん中のズレも少し気になっていて…これって治るんですか?
真ん中のズレは、左右のガタガタ量が違うことが原因で起きている可能性が高いです。
歯を並べていくと、真ん中も自然に揃ってくるケースが多いので、今の段階では過度に心配しなくて大丈夫ですよ。
奥歯の噛み合わせも確認すると、少し出っ歯傾向があります。
ガタガタを治すにはどうしたらいいんですか?
ガタガタを治すには、基本はスペースを作ることが必要です。
子どもの時期は顎を広げられるので、顎を広げてスペースを作って歯を並べる、という流れが基本の治療方法となります。
大人でも広げられるんですか?
上のあごを広げる場合は、上顎は12歳くらいまで広げることが可能です。
10歳はまだ間に合います。今のうちに広げておくと、将来抜歯や歯を削る量を減らせる可能性が高いです。
装置ってどんなのを使うんですか?
大きく分けて2つの種類があります。ワイヤー矯正かマウスピース矯正です。
マウスピースは見た目が目立ちにくく、広げる+並べるを同時に進めやすいのが良いところです。
学校での管理が心配で…歯磨きもできるかなって。実際どちらがいいですか?
歯磨きに関しては、理想は給食後に歯磨きして再装着ですが、難しい場合はうがいして装着でも構いません。帰宅後に丁寧に歯磨きをしていただいても大丈夫です。
痛みは小児矯正では強く出にくいので、そこは安心してもらっていいと思います。
今回の場合は、マウスピースとワイヤーのどちらでも治せます。
ただ治療期間を短くしやすいので、当院としてはマウスピースの方が相性は良さそう、と考えています。
わかりました!検査の予約をして帰ります。
まとめ
S.Iさんのケースでは、
・「歯のガタつき(スペース不足)」が上下ともに見られ、特に上顎は永久歯が生えるスペースが足りない可能性が高いこと
・「軽度の出っ歯傾向(前歯の前後差)」と「奥歯の噛み合わせのズレ」もあり、単なる見た目だけでなく噛み合わせの安定を見据えて治療計画を立てる必要があること
という相談結果になりました。
今回の診察では、「前歯のガタガタが気になる」という主訴に加えて、真ん中のラインのズレや、奥歯の噛み合わせが“理想の位置(半歯分ずれた噛み合わせ)”より前方で噛みやすくなっている点まで確認しました。これらは成長とともに変化する可能性があるため、歯を並べるだけでなく、顎の成長や噛み合わせの変化も含めて総合的に判断することが重要です。
小児矯正では、成人矯正と違い、「顎を広げてスペースを作れる時期」が限られています。S.Iさんは10歳で、まだ顎の成長を利用できる可能性があるため、将来的に抜歯や歯の削合など別の手段に頼らずに済むよう、早い段階で“スペース確保”の選択肢を検討できる状態でした。治療手段としては、ワイヤー・マウスピースいずれも対応可能ですが、生活面(学校での管理、装置の扱い)も含めて、相性の良い方法を選ぶことが大切です。
「ガタガタが気になる」「出っ歯っぽい」「このまま様子を見ていいの?」と感じた時点で、一度現状を整理しておくと、治療のタイミングや選択肢が見えやすくなります。お子様の歯並びで気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
