2026.2.18| 矯正相談集
「出っ歯が気になると言われて…」とご相談いただいたM.Hさん(9歳・女の子)のケース
「前歯が出ていると言われた」「口がポカンと開きやすい」…
成長期のお子様の“出っ歯傾向”は、歯だけでなく骨格の影響が関わっていることも少なくありません。
今回は、かかりつけ歯科で「矯正した方がいい」と言われたことをきっかけに来院された 9歳の女の子 との初診相談時のやり取りをご紹介します。
単に歯を並べるだけではなく、成長をコントロールする一期治療の考え方についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 9歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



出っ歯さん傾向があります。
上下の歯並びにガタガタがあります。
お口を閉じるときに唇に力が入ります。
ご相談のきっかけ
M.Hさんは、他院で「出っ歯が気になるので矯正を検討されてはどうですか?」と言われたことをきっかけに矯正歯科を探されて来院されました。
普段から口が開きやすく、閉じると顎に力が入りやすい様子もあり、ご家族としても心配されていました。
患者様との実際のやり取り
初めまして。今、一番気になっているところを教えてもらえますか?
前歯が出ていると言われて…。あと、口が開きやすいのも気になります。
横顔のレントゲンを見てみると、前歯が前にあるだけでなく、上顎の骨格自体が前に成長している傾向があります。
歯だけの問題というより、骨格の前後差が影響している可能性が高いですね。
本来は、奥歯の山と谷が交互に噛み合う形が理想ですが、今は上の歯が前に位置しています。
このまま成長すると、自然と改善されることは残念ながらありません。
歯を引っ込めることはできるんですか?
歯を後ろに下げることは可能ですが、今の年齢では骨格の成長をどうコントロールするかが大切です。
9歳はまだ成長期なので、上顎の前方成長を抑制し、下顎の自然な成長を促すことで、前後差を改善できる可能性があります。
そこでヘッドギアという装置が効果的です。
この装置は、上顎の成長を緩やかに抑えるためのものです。寝る時に装着します。
骨を小さくするわけではなく、これ以上前に伸びるのを抑えるイメージです。
痛みはありますか?
奥歯に力をかける装置なので、前歯全体を並べる矯正治療と違って、痛みは少ないことが多いです。
実際、これまで途中でやめたお子さんはたくさん治療してきた中で一人もいません。
そうですか。それなら続けれそうですね。
それからもうひとつ大事なのが、将来中学生頃になってもっと口元を引っ込めたいという希望が出る場合は、前歯を後退させるために抜歯を検討する必要があります。
やっぱりそうなんですね…。
今すぐ決める話ではありませんが、出っ歯の度合いは大きいタイプなので、綺麗な歯並びとお口元が出た見た目を改善するには抜歯は検討する必要があると思います。
一期治療で骨格を整えたうえで、将来どこまで改善したいかを改めて相談しましょう。
今は一期治療(小児矯正)の段階です。
おおよそ10〜11歳頃まで成長をコントロールし、その後永久歯が生え揃ったタイミングで二期治療(本格矯正)へ移行します。
期間はどれくらいですか?
ヘッドギアは約2年ほど。その後は経過観察を行い、二期治療は中学生頃に検討する形になります。
わかりました。診断の予約を取って帰ります。
まとめ
M.H.さんのケースでは、
・「前歯の突出(出っ歯傾向)」と「口が閉じにくい・口呼吸になりやすい口元の見た目」に対して、歯だけではなく骨格(顎の成長バランス)まで含めて評価したうえで、成長期に上顎の前方成長をコントロールする一期治療(ヘッドギア等)が有効であること
・歯並びを整えるだけでなく、将来的に「口元をどこまで引き締めたいか」によっては、二期治療の段階で抜歯を含めた治療選択肢が出てくる可能性が高いため、顔貌やかみ合わせとのバランスを見極めながら治療計画を立てることが重要であること
という相談結果になりました。
今回の相談では、見た目としての「前歯が前に出ている」「口がポカンと開きやすい」といったお悩みだけでなく、横顔レントゲンから分かる骨格的な前後差(上顎の前方位・下顎の後退傾向)や、奥歯のかみ合わせの位置関係まで含めて総合的に評価しました。
そのうえで、単に歯を並べる治療ではなく、成長期だからこそ可能な“顎の成長コントロール”を優先して行う必要性について、多角的にご説明を行いました。
小児矯正では、今見えている前歯だけを整えるのではなく、成長に合わせて顎のバランスを整え、将来的に噛み合わせや口元が安定しやすい土台を作ることが非常に重要です。
特にM.H.さんのように、歯列のガタガタの悩みというよりも、骨格的な前後差が出っ歯傾向の背景にあるケースでは、ヘッドギアなどを適切に用いて成長を誘導することで、無理なく改善を目指すことが可能です。
また、将来的に「口元をもっと引っ込めたい」「Eラインをより整えたい」といった希望が強くなる場合には、二期治療(中学生以降の本格矯正)で抜歯を含めた選択肢が検討されることもあります。
その際も、歯を引き込みすぎて顔貌のバランスを崩さないように、骨格・口元・噛み合わせの調和を見ながら治療計画を立てることが大切です。
出っ歯や口元の印象でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
成長段階に合わせた“今できる最適な治療”を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
