2026.3.2 矯正相談集

「前歯が反対になっていて…」とご相談いただいたA.Hさん(9歳・男の子)のケース

「前歯が反対に噛んでいる」「このまま受け口が強くなるのが心配」…
前歯が反対(受け口・反対咬合)になっている場合は、見た目だけでなく、顎の成長や歯の生え方も含めて早めに状況を整理しておくことが大切です。

今回は、「前歯が反対に噛んでいる」と気にされて来院された 9歳の男の子との初診相談時のやり取りをご紹介します。
当院では、前歯の反対咬合だけでなく、CTで見つかった 過剰歯や、永久歯の本数(欠損の可能性)まで含めて、長期的に考えた治療方針をご説明しました。

患者様情報

年齢9歳
性別男性

初診時の画像診断

前歯が反対に噛んでいて、反対咬合です。

レントゲンで確認すると、骨格的に受け口であり、過剰歯、先天欠如の歯も確認されました。

ご相談のきっかけ

A.Hさんは、前歯が反対に噛んでいることが気になり来院されました。
また、以前から「歯が足りないかもしれない」という話を聞いたことがあり、矯正が必要かどうかも含めて一度きちんと診てほしい、というご希望でした。

患者様との実際のやり取り

気になっているのは“前歯が反対”のところでお間違いないですか?

はい。前歯が逆に噛んでいて心配です。

前歯は確かに反対になっています。下あごをリラックスして噛んだ時に上下の前歯がなんとか当たるので、骨格的に受け口は重度ではなく中程度だと思います。
奥歯の関係も見てみると、下の歯が少し前で噛んでいます。受け口の傾向ですね。
せっかくCTも撮ったので、大事なところを確認します。まず“歯が全部あるかどうか”です。

歯が足りないって言われたことがあって…。

はい。前から5番目(第二小臼歯)が足りない可能性があります。
それに加えて、上の奥歯の永久歯が見当たらないところがあります。今9歳なので、まだ作られていない可能性もゼロではないですが、位置と形を見る限り“もともと無いタイプ”の可能性が高いです。
ただ、もし歯が足りないタイプであれば、逆に“親知らずがあれば使える”こともあるので、そこも将来的にチェックしていきます。
もう1つ、CTで分かったことがあります。上の前歯の間に、小さな“余分な歯”が埋まっています。これを“過剰歯”と言います。

えっ、そんなのがあるんですね…。

珍しいですが、一定数の確率で“上の前歯の真ん中ににできやすい”症状です。
これ自体が大きな悪さをすることは少ないですが、放っておくと歯の動きの邪魔になることがあるので、どこかのタイミングで抜歯するのが良いです。
虫歯治療と同じ麻酔で、裏側からアプローチして1日で終わる処置です。

そうですか。びっくりしました。矯正するならどのような流れになりますか?

受け口は大きく分けて、“骨格(顎の位置)の問題が強いタイプ”と、
“歯の傾きが原因で反対に噛んでいるタイプ”があります。
A.Hさんは、歯の傾きを整えればある程度改善できそうな要素があります。ただ、受け口は成長で変化するので、下顎がどれだけ伸びるかは100%予測できません。だからこそ、今できることはやっておいた方がいいです。

どういう治療になりますか?

上顎の成長を“前に引っ張ってあげる”装置を使います。お面みたいな装置で、ゴムで上顎を前方へ誘導します。
“下顎を止める”より、上顎を伸ばす方が効果が出やすいことが研究的にも分かっています。
年単位で経過を見ながら進めます。

今すぐ始めたほうがいいですか。

今の段階で、前歯を反対のまま放置して勝手に良くなることは基本ありません。
なので、今の成長期にできる限りの改善を狙っておくことが、将来的に“手術の可能性を減らす”意味でも大切です。
今日は無料相談なので、今のデータから“こういう可能性がある”という説明をしています。
次回、分析して治療計画を資料にまとめ、装置の使い方・期間・通院頻度も含めて、もう一段詳しくご説明します。

よくわかりました。予約を取ってかえります。

まとめ

A.H.さんのケースでは、
・「前歯の反対咬合(受け口傾向)」に対して、歯の傾きの修正だけでなく、成長期のうちに上顎の前方成長を促し、噛み合わせの土台を整える治療(成長誘導)が有効であること
・さらに、CTで確認された
永久歯の欠損の可能性(小臼歯・大臼歯)や、上顎前歯部に存在する過剰歯(余分な歯)の管理も含めて、将来的な噛み合わせの安定性を見据えながら治療計画を立てることが重要であること
という相談結果になりました。

今回の診察では、見た目としての「前歯が反対に噛んでいる」というお悩みだけでなく、受け口が骨格由来なのか歯の傾きが主因なのかという評価、そして成長によって下顎がさらに前方へ伸びる可能性も踏まえたうえで、早期介入の意義について多角的にご説明しました。
特に受け口は「放置すれば自然に治る」ケースが多くないため、成長期にできる限りの改善を狙っておくことが、将来的な治療の選択肢を広げる上で大切になります。

また、CTで上顎正中部に上向きの過剰歯が確認されており、これが将来の歯の動きの妨げになる可能性があるため、適切なタイミングでの抜去を検討する必要があることもお伝えしました。加えて、永久歯欠損が疑われる部位があるため、単に受け口を治すだけでなく、今後の歯の本数と噛み合わせの設計を含めた長期的な管理が重要になるケースです。

小児矯正では、単に歯を並べるだけではなく、顎の成長を利用して噛み合わせの土台を整えることが非常に重要です。
特にA.H.さんのように、成長期のうちに上顎の成長を引き出す余地があるケースでは、適切な装置を用いることで無理なく改善を目指すことが可能です。将来の状態によっては追加治療が必要になる可能性もゼロではありませんが、現時点でできる最善の介入を行うことで、そのリスクを減らしていくことが治療の目的になります。

お子様の「受け口っぽい」「前歯が反対」「歯が足りないと言われた」「過剰歯があると言われた」などのお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
成長段階と将来の安定性を踏まえた、無理のない最適な治療法を一緒に考えていきましょう。

この記事の監修者情報

吉田 尚起

日本矯正歯科学会認定医

院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。

自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。

歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。

〒560-0056 大阪府豊中市宮山町1丁目1−47

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