2026.3.16| 矯正相談集
「前歯のガタガタや出っ歯が気になる…」とご相談いただいたY.Sさん(8歳・女の子)のケース
「前歯が少しガタガタしてきた気がする」「少し出っ歯っぽく見えるのが気になる」…
お子様の歯並びが生え変わりとともに変化してくると、矯正治療が必要なのかどうか不安に感じる親御様は少なくありません。
今回は、前歯のガタつきや口元の見た目についてご相談に来られたY.Sさんの初診相談時のやり取りをご紹介します。
単に歯を並べるだけではなく、お子様の成長や治療を始めるタイミングまで含めて考える、当院の小児矯正の考え方についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 8歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



上下の歯並びにガタガタがあります。
咬み合わせに出っ歯の傾向があります。
ご相談のきっかけ
Y.Sさんは、以前から歯並びについて歯科クリニック相談されたことがあったものの、当時はまだ乳歯の時期で大きな問題が目立たず、治療の実感が持てなかったそうです。
その後、永久歯への生え変わりが進むにつれて、前歯のガタつきや少し出っ歯気味に見えることが気になり、「やはり矯正が必要なのでは」と感じてご相談に来院されました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?
前歯が少しガタガタしてきていて、ちょっと出っ歯っぽい感じもあるのが気になっています。
そうですね。今ちょうど永久歯への生え変わりが進んでいる時期なので、乳歯のころはきれいに見えていても、大人の歯が生えてくることでガタつきが出てくることはよくあります。
Y.Sさんの場合も、これからさらに横の歯が生えてくることで、今よりさらにスペース不足が目立ってくる可能性があります。
やっぱり、このガタガタは自然には治らないんですか?
残念ながら、今見えているガタつきが何もしなくても自然にきれいに並ぶ可能性は低いです。
ただし、今の時点で歯並びのズレは重度というわけではなく、骨格や歯の位置そのものは比較的良い状態です。
そのため、成長を利用して顎の幅を広げ、歯が並ぶためのスペースを作ってあげることで、無理のない形で整えていける可能性があります。
今すぐ始めた方がいいのでしょうか?
年齢としては小児矯正を始めるのにとても良い時期ですが、歯の生え変わりの進み方を見ると、Y.Sさんは少し年齢に対してゆっくりめです。
そのため、「今では遅い」ということは全くありませんし、むしろもう少し生え変わりを待ってから始めても十分に間に合うタイミングです。
治療法によっても違いはありますが、半年から1年ほどの間に前から2番目の歯がしっかり生えてきた頃が、矯正治療をスタート時期になると思います。
矯正をするなら、どんな方法になりますか?
大きく分けると、ワイヤー矯正とマウスピース矯正があります。
どちらも歯を並べることはできますが、その前にまず「顎を少し広げてスペースを作る」ことが必要になる可能性が高いです。
小児矯正では、成長を利用して顎を広げられる時期があるので、将来的に歯を削ったり抜いたりする可能性を減らせるのが大きなメリットです。
将来的に歯を抜くことになる可能性はありますか?
現時点では、必ず抜歯が必要という印象はありません。
ただし、将来的に「もっと口元を引っ込めたい」「見た目をさらに整えたい」というご希望が強くなった場合には、成長後の治療方針として抜歯を検討する可能性はあります。
まずは今の成長期の治療で、できるだけきれいに、そして将来の選択肢を広げる方向で考えるのがよいと思います。
中学受験も考えているので、治療の時期が気になります。
それはとても大事なポイントですね。
もし治療を始めるなら、小学校3〜4年生のうちに進めておくと、ある程度歯並びが整った状態で高学年を迎えやすいと思います。
本格的に毎月調整が必要になる時期を早めに終えておければ、その後は数か月ごとの経過観察中心になるので、受験期への影響も抑えやすいと思います。
わかりました。前歯が生える時期に再度相談したいと思います。
まとめ
Y.Sさんのケースでは、
・前歯のガタつきや軽い出っ歯傾向に対して、成長期を活かしながら顎の幅を広げ、歯が並ぶスペースを確保していくことが有効であること
・ただし、歯の生え変わりの進み方がややゆっくりなため、今すぐではなく、永久歯の萌出状況を見極めながら治療開始のタイミングを判断することが重要です
という相談結果になりました。
今回の診察では、見た目としての「前歯のガタガタ」や「少し出っ歯っぽく見えること」といったお悩みだけでなく、今後生えてくる永久歯のスペース不足、顎の成長とのバランス、さらに将来的にどこまで整えるかという審美面まで含めて、多角的にご説明を行いました。
小児矯正では、単に今見えている歯を並べるだけでなく、これからの生え変わりや顎の成長を利用しながら、将来的に無理のない歯並びへ導くことが大切です。特にY.Sさんのように、骨格には大きな問題がなく、成長をうまく活かせる可能性が高いケースでは、適切な時期に矯正を始めることで、歯を抜かずにきれいな歯並びを目指せる可能性があります。
お子様の前歯のガタつきや生え変わりのタイミングでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。今すぐ始めるべきか、少し待ってよいのかも含めて、お子様にとって無理のない最適な治療法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
