2026.5.8| 矯正相談集
「前歯が反対になっている気がする…」とご相談いただいたA.Kさん(7歳・女の子)のケース
「前歯が反対に噛んでいる」「将来的に受け口にならないか心配」…お子様のかみ合わせについて、不安を感じて来院される親御様は少なくありません。
今回は、「前歯の反対咬合(受け口傾向)」を気にされて来院された7歳の女の子、A.Kさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。単に歯並びだけを見るのではなく、顎の成長や呼吸への影響まで考えた当院の治療方針についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 7歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



上下の前歯にガタガタがあります。
上下の前歯の噛み合わせが反対です。
ご相談のきっかけ
A.Kさんは、学校健診で「反対咬合(受け口傾向)」を指摘されたことをきっかけに来院されました。
「前歯の噛み合わせが反対になっている」「歯並びがガタガタしてきている気がする」と感じられており、インターネットや他院で小児矯正について調べたうえで、一度専門的な相談を受けたいとご相談に来られました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?
前歯が反対になっていると言われて、このまま受け口になるんじゃないかと心配で…。
そうですね。実際に拝見すると、前歯が上下で反対に噛んでいる「反対咬合」の状態です。特に今の年齢では、反対咬合が上顎の前への成長を妨げてしまう可能性があるので、比較的早めの対応が大切な状態です。
どうして早めの治療が必要なんですか?
上顎は6〜10歳頃に大きく前に成長するのですが、前歯が反対に噛んでいると、上顎の成長が下顎に抑制されてしまい、本来前に成長したい上顎の発育を抑えてしまうことがあるんです。
そのままにすると、どうなりますか?
将来的に受け口傾向が強くなったり、顎の成長バランスが崩れる可能性があります。また、上顎の成長不足によって気道が狭くなり、口呼吸傾向につながるケースもあります。
どんな治療をするんですか?
まずは、プレオルソという機能的矯正装置を使用して、反対咬合を改善しながら、口周りの筋肉や舌の使い方を整えていきます。日中1時間と寝る時に装着することで、顎の成長を正常な方向へ導いていきます。
ワイヤー矯正とは違うんですね。
はい。今の段階では、まず「反対咬合を改善すること」と「顎の成長を正しい方向へ導くこと」が目的になります。その後、永久歯が生え揃ってきたタイミングで、必要に応じてワイヤー矯正やマウスピース矯正へ移行する流れになります。
できればワイヤーは避けたいなと思っていて…。
そのお気持ちはよく分かります。実際、早期に反対咬合へアプローチすることで、将来的な矯正治療をシンプルにできる可能性もあります。ただし、永久歯が並ぶ段階では、歯を一本ずつ細かく動かす装置が必要になるケースもありますので、成長を見ながら最適な方法を選んでいきましょう。
なるほど、今はまず成長を整える段階なんですね。
そうですね。今は「歯を並べる」というより、「顎の成長環境を整える」ことが一番重要な時期です。
よく分かりました。一度家族で相談してみます。
まとめ
A.K.さんのケースでは、
・「前歯の反対咬合(受け口傾向)」によって、上顎の成長が抑制される可能性があること
・成長期のタイミングで機能的矯正装置(プレオルソ)を用いて、顎の成長方向や口周りの筋機能を整えていくことが重要であること
という相談結果になりました。
今回の相談では、見た目としての「前歯の反対咬合」や「歯並びのガタつき」といったお悩みだけでなく、顎の成長バランスや口呼吸との関連性、さらに将来的な歯並びやかみ合わせへの影響まで含めて、多角的なご説明を行いました。
小児矯正では、単に歯を並べるだけではなく、顎の成長を適切な方向へ導き、呼吸や舌・口周りの筋肉のバランスまで整えていくことが重要です。特にA.K.さんのように、成長途中で反対咬合の傾向が見られるケースでは、早期にアプローチすることで、将来的な本格矯正の負担を軽減できる可能性があります。
また、成長段階に応じて機能的矯正装置や拡大装置、必要に応じたワイヤー矯正・マウスピース矯正を適切に組み合わせることで、無理のない自然なかみ合わせと顎の成長を目指すことが可能です。
お子様の受け口や歯並び、口呼吸などが気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。成長に合わせた最適な治療方法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
