2026.5.27| 受け口の矯正相談集
「受け口が気になる…」とご相談いただいたF.Hさん(7歳・女の子)のケース
「前歯の噛み合わせが反対になっている気がする」「このまま様子を見ても大丈夫?」…お子様の受け口に不安を感じている親御様は少なくありません。
今回は、「前歯の反対咬合(受け口)」を気にされて来院された7歳の女の子、F.Hさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。ただ歯を並べるだけではなく、成長期だからこそできる“骨格へのアプローチ”を含めた当院の小児矯正治療についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 7歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



前歯の噛み合わせが上下反対に噛み合っています。
上の歯並びにガタガタが出ることが予想されます。
ご相談のきっかけ
F.Hさんは、「小さい頃から前歯が反対になっていて、自然に治るのか心配だった」とのことでご来院されました。
保護者の方も幼少期に受け口傾向があったそうで、「遺伝も関係するのではないか」「今のうちに相談した方がいいのでは」と感じ、矯正相談を希望されたとのことでした。
また、永久歯への生え変わりが始まり、歯が並ぶスペース不足やガタつきも気になっていたそうです。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?
前歯が反対になっていて、このままで大丈夫なのかなと思っていて…。
そうですね。受け口の場合、自然に改善するケースは実はあまり多くありません。特にF.Hさんの場合は、歯だけでなく、下顎の骨格が少し前に成長している受け口傾向が見られます。
歯だけの問題じゃないんですね…。
はい。受け口には「歯の位置」の問題と、「骨格の成長」の問題があります。F.Hさんは、上顎の成長が少し弱く、下顎の成長が前に出やすいタイプだと思われます。
このまま成長すると、思春期以降にさらに下顎が前に出て、症状が強くなる可能性もあるんです。
今の時期に治療するメリットはありますか?
とてもあります。上顎の成長のピークは、ちょうど7〜10歳頃なんです。この時期であれば、上顎を前に引っ張る治療がしやすく、成長を利用して骨格バランスを整えられる可能性があります。
逆に10歳以降になると、上顎の成長はかなり落ち着いてくるため、同じ治療効果を得にくくなります。
どんな装置を使うんですか?
まず、上顎を横に広げる装置を使って、歯が並ぶスペースを確保します。その後、フェイスマスクという装置を夜間に使用して、上顎を前方へ成長誘導していきます。
これによって、「前後方向」と「横方向」の両方から改善を目指していきます。
治療期間はどれくらいですか?
顎を広げる治療が半年〜1年程度、 同時に成長を見ながら前方への成長誘導を行っていきます。全体としては、2〜3年程度を目安に考えていただくことが多いですね。
将来的にまた受け口になる可能性はありますか?
可能性がゼロとは言い切れません。下顎の成長は遺伝の影響も受けるため、思春期に再び下顎の前方成長が大きくなるケースもあります。
ただ、今の時期に上顎の成長をしっかり促しておくことで、将来的に手術が必要になるリスクを大きく下げられる可能性があります。
なるほど…。早めに相談して良かったです。検査の予約を取って帰ります。
まとめ
F.Hさんのケースでは、
・「骨格性の受け口(反対咬合)」に対して、成長期を利用した上顎前方牽引治療が有効であること
・上顎の成長不足と歯が並ぶスペース不足の両方に対して、早期にアプローチすることが重要であること
という相談結果になりました。
今回の相談では、見た目としての「前歯の反対咬合」や「受け口の印象」といったお悩みだけでなく、骨格的な成長バランスや永久歯が並ぶスペース不足、さらに将来的な下顎成長のリスクまで見据えた多角的なご説明を行いました。
小児矯正では、単に歯を整えるだけでなく、成長を利用して顎の発育バランスを整えることが非常に重要です。特にF.Hさんのように、上顎の成長を促すタイミングが重要なケースでは、拡大装置や上顎前方牽引装置を適切に取り入れることで、将来的な外科矯正のリスクを軽減しながら、無理のない改善を目指すことが可能です。
また、永久歯が並ぶスペース不足も認められたため、前後的な改善だけでなく、横方向への顎の拡大も併せて行うことで、将来的な歯列の安定性にも配慮した治療計画をご提案しました。
お子様の受け口や歯並びでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。成長期だからこそできる治療を、一人ひとりに合わせて丁寧にご提案いたします。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
