2026.7.10 叢生(ガタガタ)の矯正相談集

「将来、ガタガタになりそうで心配…」とご相談いただいたM.Hさん(6歳・女の子)のケース

「乳歯の段階で歯がびっちり詰まっている」
「永久歯が生えてきた時に、きれいに並ぶスペースがあるのか心配」
「口呼吸もあり、歯並びに影響しないか気になる」…。

お子様の歯並び相談では、今見えている歯並びだけでなく、これから生えてくる永久歯の大きさや、顎の成長、舌の位置、口呼吸などのお口周りの環境まで含めて確認することが大切です。

今回は、将来的な歯並びのガタガタと口呼吸を気にされて来院された6歳の男の子、M.Hさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。

単に歯を並べるだけではなく、プレオルソを用いてお口周りの環境を整えながら、将来的な小児矯正まで見据えた当院の考え方についてもお伝えします。

患者様情報

年齢6歳
性別女性

初診時の画像診断

上下の歯並びに将来的にガタガタ出てきています。

歯並びの横幅が狭いです。

ご相談のきっかけ

M.Hさんは、

「歯がびっちり詰まっていて、将来ガタガタになりそうと言われた」

「永久歯がきれいに並ぶスペースがあるのか心配」

「口呼吸があり、歯並びに影響しないか気になる」

とのことでご来院されました。

保護者の方としては、矯正を始めるにはまだ早いのか、それとも今からできることがあるのか判断が難しく、一度専門的な立場から相談したいと考えられたそうです。

また、当院のホームページでプレオルソについてご覧になり、今の時期に始める意味があるのかも気にされていました。

患者様との実際のやり取り

はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?

前の歯医者さんで、歯がびっちり詰まっているので、将来ガタガタになるかもしれないと言われました。
口呼吸もあると言われていて、矯正を考えた方がいいのかなと思っています。

そうですね。
永久歯は乳歯よりも大きいため、乳歯の時点で隙間が少ない場合、永久歯が生えてきた時にスペースが足りなくなることがあります。
その場合、将来的には歯列を広げる「歯列拡大」という治療を行うことがあります。

顎を広げるということですか?

はい。上顎は、お子様の時期には骨のつなぎ目がまだ完全に固まっていません。
そのため、装置を使って力を加えることで、自然な成長以上に歯列の幅を広げられることがあります。
一方で、下顎は上顎のように大きく骨を広げることは難しいため、内側に倒れている歯を少し起こすようにしてスペースを作っていくことがあります。

今すぐその拡大をするんですか?

M.Hさんは6歳なので、本格的に歯を並べる矯正治療を始めるには少し早い時期です。
前から2番目の永久歯が生えてくる頃、だいたい1年から1年半後くらいが、小児矯正として歯列を広げたり前歯を整えたりするタイミングになりやすいです。
今の時期にできることとしては、プレオルソでお口周りの環境を整えておく方法があります。

プレオルソは、どういう装置ですか?

プレオルソは、取り外し式のマウスピース型の装置です。
基本的には、寝ている時と日中1時間ほど装着して使います。
この装置の主な目的は、歯を1本ずつきれいに動かすことではなく、舌の位置や口呼吸、口を閉じる筋肉の使い方を整えることです。

口呼吸にも関係するんですね。

はい。舌は本来、上顎の「スポット」と呼ばれる位置にあるのが理想です。
舌が上にあることで上顎の成長を助けたり、口が閉じやすくなったり、鼻呼吸につながりやすくなります。
反対に、舌が下がっていたり、口がポカンと開いていたりすると、歯並びや顎の成長にも影響することがあります。
プレオルソは、舌が上に上がりやすい形になっているので、正しい舌の位置を覚える手助けになります。

プレオルソだけで歯並びがきれいになりますか?

プレオルソで自然に少し広がったり、口呼吸や舌の位置が改善されたりすることで、歯並びに良い影響が出る可能性はあります。
ただし、プレオルソは歯を1本ずつつかんで動かす装置ではありません。
そのため、ガタガタをしっかり整える必要がある場合は、将来的に拡大装置やワイヤー、マウスピース型の装置を使った小児矯正に進む必要があります。

小児矯正では、ワイヤーを使うんですか?

小児矯正では、まず歯列を広げる装置を使い、その後に前歯を整えるために部分的なワイヤーを使うことがあります。
ただ、最近はお子様でもマウスピース型の矯正装置を選ぶケースもあります。
ワイヤーは取り外しができない分、装着時間の管理がしやすい一方で、歯磨きが少し難しくなります。
マウスピースは取り外しができる反面、学校や給食後も含めて、しっかり装着できるかが大切になります。
どちらが合うかは、年齢や性格、生活習慣を見ながら判断していきます。

今始めるべきか、もう少し待つべきか迷っています。

本格的に歯を並べる治療だけで考えると、もう少し永久歯が生えてからでも間に合うことがあります。
ただ、今プレオルソを始めるメリットは、歯を並べる前に口呼吸や舌の位置、口を閉じる筋肉など、お口周りの環境を整えられることです。
将来的に矯正治療を行った時の後戻りや治療の難しさを減らすためにも、環境づくりは大切です。

転居の可能性もあるので、通院のタイミングも少し悩んでいます。

プレオルソは取り外し式の装置なので、始めた後に生活環境が変わっても使い続けやすい装置です。
一方で、本格的な小児矯正に入ると、ある程度の期間通院が必要になります。
そのため、プレオルソでお口周りの環境を整えながら、前歯の生え変わりの時期に合わせて、どのタイミングで本格的な治療に進むかを相談していくのがよいと思います。

分かりました。一度家族で相談してみます。

まとめ

M.Hさんのケースでは、

・乳歯の段階で歯と歯の隙間が少なく、永久歯が生えてくる際にスペース不足が起こり、将来的にガタガタが出る可能性があること

・本格的に歯を並べる小児矯正を始めるにはまだ少し早い時期であり、まずはプレオルソを用いて舌の位置や口呼吸、お口周りの筋肉の使い方を整えることが有効な選択肢になること

・今後、前歯の生え変わりや顎の成長を見ながら、必要に応じて拡大装置やワイヤー、マウスピース型装置を使った小児矯正へ移行する可能性があること

という相談結果になりました。

今回の相談では、「将来、歯並びがガタガタになりそうで心配」というお悩みだけでなく、永久歯が生えるためのスペース、顎の成長、口呼吸、舌の位置についても詳しくご説明しました。また、プレオルソは歯を1本ずつきれいに動かす装置ではなく、鼻呼吸や舌の正しい位置、口を閉じる筋肉の使い方を身につけるための“お口周りの環境づくり”を目的とした装置であることもお伝えしました。

小児矯正では、単に歯をきれいに並べるだけでなく、永久歯が生えてくるスペースや顎の成長、お口の使い方まで含めて全体のバランスを整えることが重要です。特にM.Hさんのように、乳歯の段階で隙間が少なく、口呼吸の傾向もあるケースでは、いきなり歯を並べるのではなく、まずお口周りの環境を整えることで、将来的な矯正治療を進めやすくできる可能性があります。

もちろん、プレオルソだけで全ての歯並びがきれいに整うとは限りません。前歯の生え変わりや顎の成長を見ながら、必要に応じて歯列の拡大や前歯の配列を行う小児矯正へ移行するかどうかを判断していくことが大切です。

お子様の歯並びが将来ガタガタになりそうで心配な方、口呼吸や舌の位置が気になる方、プレオルソを始めるべきか迷っている方は、ぜひ一度ご相談ください。成長や生え変わりのタイミングを見ながら、今できることと将来的に必要な治療を一緒に考えていきましょう。

この記事の監修者情報

吉田 尚起

日本矯正歯科学会認定医

院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。

自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。

歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。

〒560-0056 大阪府豊中市宮山町1丁目1−47

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