2025.10.16| 矯正相談集
「八重歯が変なところから生えてきた…」とご相談いただいたK.Mさん(14歳・女の子)のケース
「八重歯が変なところから生えてきた」「口を閉じにくい気がする」――思春期に差し掛かるお子様の歯並びに不安を感じてご相談くださる方が増えています。
今回は、「右上の犬歯(八重歯)がずれて生えている」「全体的に歯がガタついている気がする」とのことで来院された14歳の女の子、K.Mさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。
永久歯が生え揃った後の歯列不正への対応や、口元とのバランスを考えた矯正治療の考え方についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 14歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



右上の前から3番目の歯(犬歯)と前から4番目の歯(第一小臼歯)の前後の位置が入れ替わっています。(移転)
右上の前から3番目の乳歯(乳犬歯)が永久歯の歯並びに残っています。
上下の歯並びにガタガタがあります。
ご相談のきっかけ
K.Mさんは、「右上の歯がずれているように見える」とお母様と一緒にご来院されました。
以前、小学生の頃に一度矯正相談を受けたことがあったそうですが、その後しばらく経っており、今回は久しぶりの受診とのことでした。
最近、歯並びのガタつきだけでなく「口を閉じにくい」「いつも少し口が開いている」といったことも気になるようになり、将来的に本格的な矯正をすべきか相談に来られました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今日はどんなところが気になっていますか?
右上の歯が変なところから生えてきて、ガタガタしてる気がします。
全体的に整えた方がいいのかなと思っていて…。
そうですね。今見せてもらうと、右上の1本が本来の位置ではなく、隣の歯のさらに後ろから生えてきています。歯の移転という状況です。抜けるべき乳歯もまだ残っています。ここまでずれて生えるのは少し珍しいパターンです。
レントゲンで見ると、この乳歯の根が短くなっていて、上に生えるはずの永久歯が後方に位置しているのが分かります。この位置から本来の位置まで歯を移動させるには、歯の根っこを大きく動かす必要があり、距離が長く難易度が高くなります。
また、矯正を行う場合、歯並びだけでなく「口元の状態」も一緒に考えることが大切です。K.Mさんは少し口を閉じづらいようですが、ご自身でも気になりますか?
あんまり気にしたことなかったけど、よく「口を閉じなさい」って言われます。
なるほど。実は、歯が少し前に出ていることで、自然に口を閉じにくくなっているんです。本来はリラックスしている状態で唇が閉じているのが理想ですが、歯が前に出ている分だけ閉じる距離が長くなってしまい、閉じにくくなっています。
矯正で前歯を整えて、口元をすっきりさせることで、リラックスした時でも自然に閉じられるようになります。
治療の方法って、どんなものがありますか?
大きく分けて2つです。
1つは、歯を抜かずに並べる方法。もう1つは、歯を抜いてスペースを作り、歯を後ろに下げて口元を引く方法です。
歯を抜かずに並べると、歯並び自体はきれいになりますが、口元の突出感は残り、口元が閉じやすくはあまりなりません。
一方で、歯を抜いて並べると、よりすっきりとした横顔になり、唇のラインも整いやすいです。口もリラックスしている時に自然と閉じられるようになります。
歯を抜くのはちょっと怖いです…。
そうですよね。麻酔はインフルエンザの注射よりも細い針で行いますし、痛みはほとんどありません。
もちろん、今すぐ決める必要はありません。抜かずに治す方法も検討できますので、どちらがご希望に合うかを次回の検査結果をもとに一緒に考えましょう。
わかりました。検査の予約をお願いします。
まとめ
K.Mさんのケースでは、
・右上の犬歯が大きく後方にずれて生えていること
・やや上下顎前突傾向(口元の突出感)と口の閉じにくさ
が確認されました。
このため、抜歯を伴う矯正治療によって口元をすっきり整える方法と、非抜歯で歯列を拡げて並べる方法の両方を比較しながら、最適な治療方針を検討することとなりました。
単に歯を並べるだけでなく、横顔のラインや唇の位置関係(Eライン)を考慮し、自然な口元に導くことが重要なポイントです。
今回の診察では、歯を抜く・抜かないによる見た目の違いだけでなく、
かみ合わせの変化・顎の成長バランス・リテーナーによる後戻り防止など、将来的な安定性と審美性の両立を意識したご説明を行いました。
中高生の矯正治療では、骨格の成長をある程度活かせる最後のタイミングです。
K.Mさんのように、歯並びと同時に口元や横顔の印象を整えたい方には、今の時期にしっかりとした診断を受けておくことをおすすめします。
口を閉じにくい、前歯が少し前に出て見える――そんなお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。
お顔全体のバランスを大切にしながら、無理のない最適な治療法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
