2025.10.15｜矯正相談集

「反対咬合（受け口）が気になる」ご相談をいただいたT.Kさん（４歳・男の子）のケース

「下の歯が前に出ている」「口が開きやすい」「口呼吸が心配」──
お子様の“受け口”や“お口の癖”に不安を感じてご相談に来られる親御様は多くいらっしゃいます。
今回は、反対咬合（受け口）を気にされて来院された4歳の男の子、T.Kさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。
単に歯並びを整えるだけでなく、お口の筋肉の使い方や顎の成長を考慮した当院の相談内容についてもお伝えします。

患者様情報
初診時の画像診断
ご相談のきっかけ
患者様との実際のやり取り
まとめ
この記事の監修者情報
- 吉田尚起

患者様情報

年齢	４歳
性別	男性

初診時の画像診断

下の前歯が上の前歯より前にあり、反対咬合になっています。

上の前歯は反対に噛むことが原因で、後ろに傾いています。

ご相談のきっかけ

T.Kさんのお母様は、「かかりつけの歯科医院で“受け口の傾向がある”と指摘され、
プレオルソという装置を勧められた」とのことでご来院されました。
他院でも説明を受けたものの、「もう少し詳しく話を聞いて比較したい」との思いから、
セカンドオピニオンとして当院にご相談くださいました。

患者様との実際のやり取り

はじめまして。今日はどんなことが一番気になっていますか？

前歯が反対に咬んでいて、下の歯が前に出ているように見えるんです。
あと、普段から口が開いていて、寝ているときも口呼吸っぽくて…。

なるほど。T.Kさんのように“受け口”と“お口ポカン”が同時に見られるお子さんは少なくありません。
実際にお口を拝見すると、上の歯がやや内側に傾いていて、下顎をそれに合わせて前に出して噛んでいる状態ですね。
このタイプは、上顎の成長や歯の角度を正しい方向に導くことで、自然な咬み合わせに改善できるケースが多いです。

プレオルソという装置を勧められましたが、どんな装置なんでしょうか？

プレオルソは、お口にくわえるタイプの柔らかいマウスピースで、
舌や唇の筋肉のトレーニングも兼ねた“機能的矯正装置”です。
装着すると舌が自然と上顎（スポット）に位置するようになり、口呼吸の改善にも効果があります。また、上顎の前歯を前方に誘導しながら、下顎を前に出して噛む癖を治してくれる作用もあります。
T.Kさんのように、上下の前歯の生え替わりの少し前に始めるのは良いタイミングなんです。

寝ている間しかつけない装置でも、効果はありますか？

はい。就寝時と日中1時間ほどの装着で十分効果が出ます。
夜寝ている間に咬むことで、歯に優しい力がかかり、徐々に前歯が正しい角度へ誘導されます。また、日中は口を閉じる練習にもなり、唇や舌の筋肉を自然に鍛える“お口の筋トレ”にもなるんです。

装置をつけるのは嫌がりませんか？

最初は少し違和感があると思いますが、数週間〜数ヶ月で慣れてくるお子さんがほとんどです。
当院では、まず“お風呂の時間だけ練習”といったステップから始めて、
徐々に寝る時の装着へ移行する形で無理なく進めています。

わかりました。ありがとうございます。進めていこうと思います！

まとめ

T.Kさんのケースでは、
・「反対咬合（受け口）」と「口呼吸・舌の位置異常」に対して、プレオルソによる機能的矯正装置を用いた早期治療が有効であること
・顎の成長期に合わせて装置を使用し、歯の角度や舌の位置、口唇の筋肉バランスを整えていくことが、将来的なかみ合わせの改善につながること
を説明しました。

今回の相談では、見た目としての「下の歯が前に出ている」というお悩みだけでなく、
呼吸習慣・筋肉の使い方・顎の成長方向など、将来の骨格発育を見据えたご説明を行いました。

小児期の反対咬合治療は、単に歯を動かすだけでなく、
「顎の成長を正しい方向に導く」「口腔機能を育てる」ことが大切です。
T.Kさんのように成長期の早い段階で治療を始めることで、
将来的な矯正負担を軽減し、自然で調和のとれた笑顔を目指すことが可能です。

お子様の「受け口」や「口が開いてしまう」などの症状が気になる方は、
ぜひお早めにご相談ください。
お子様の成長に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。