2025.9.26| コラム
うちの子、ガミースマイルかも?原因・治療法・子どものガミースマイルの考え方まで徹底解説します

目次
【認定医(日本矯正歯科学会)が解説】ガミースマイルとは?原因・治療法・子どもの対処法まで徹底解説
笑ったときに歯茎が見える「ガミースマイル」は若さの象徴でもあります。本記事では、原因・治療法・年齢別の考え方や注意点を詳しく解説します。
ガミースマイルとは?「歯茎が見える笑顔」は本当に悪いこと?
「ガミー(Gummy)」は英語で“歯茎”という意味です。
ガミースマイルとは、笑ったときに上の歯茎が過剰に見える状態を指します。
見た目が気になると感じる方もいますが、実はガミースマイルは“若さの象徴”とも言えます。

若さとガミースマイルの関係性
口まわりの筋肉は、加齢とともに少しずつ動きが弱くなります。
年齢を重ねるほど唇は上がりにくくなり、結果として歯茎の見える量も自然に減少していきます。
つまり、若い時期に歯茎が見えることは自然な現象とも言えるのです。
どこからが「治療すべき」?ガミースマイルの目安
私の臨床経験上、笑ったときに歯茎が5mm以上見える方は気にされるケースが多いです。
一方、2〜3mm程度であればあまり気にならない方が大半です。
ただし、「〇mm以上で治療が必要」といった明確な定義はありません。
重要なのは、数字よりも“ご本人が気になるかどうか”という感覚です。
- 重度でも「気にならない」と感じる方
- わずかでも「恥ずかしい」と感じる方
どちらもいらっしゃいます。
なお、リラックス時に上の前歯の先端が上唇から約2mm見えているのが、審美的な目安とされています。

【注意】幼児〜小学校低学年のガミースマイルは心配不要
幼稚園〜小学校低学年までのお子さんのガミースマイルは、深刻に考える必要はありません。
- 乳歯は永久歯より小さく短いため、歯茎が多く見えやすい
- 永久歯への生え変わりとともに歯の形や大きさが変わり、見え方が自然に変化
また、永久歯が生えそろう過程や骨格の発達によって歯茎が下がったように見えるため、「前より気にならなくなった」という声も多く聞かれます。
したがって、小学校低学年の段階で「ガミースマイルだ」と断定するのは早すぎます。
“傾向がある”程度に受け止めて、経過を見守る姿勢が大切です。
下の写真は乳歯の歯並びなので、ガミースマイルを気にしすぎる必要はありません。

ガミースマイルの主な原因と治療法
ガミースマイルには複数の原因があり、それぞれに適した治療法があります。
① 歯の位置が下にある
歯が本来より下方に伸びていると、笑ったときに歯茎が多く見えます。
→ 矯正治療で歯を上方向に移動させ、理想的な位置に整えることで改善できます。

② 歯茎のボリュームが多い
歯に対して歯茎のかぶさりが多いと、歯が短く見えることがあります。
→ 外科的処置で歯茎の形を整えると、本来の歯の長さが見えてきて、自然な見た目になります。

③ 上顎の骨が縦に長い
骨格的な要因で上顎骨が縦方向に成長しすぎると、歯と歯茎が下がって見えます。
→ **外科的矯正治療(顎骨の一部を切る手術)**が必要になることがあります。
④ 唇が上がりすぎる(筋肉の過活動)
笑ったときに唇が過剰に上がるケースもあります。
→ ボトックス注射で筋肉の働きを一時的に抑え、唇の動きをコントロールすることで歯茎の露出を軽減できます。

治療か、見守りか?大切なのは“バランス”
ガミースマイルは若さの象徴でもあるため、「完全に見えなくすること」が必ずしも正解ではありません。
将来的に歯茎の露出は自然と減っていくため、子どものうちから“見えないレベル”まで治療すると、むしろ大人になってから老けて見える可能性もあります。
重要なのは、
- “今の自分を好きになれること”
- “将来も違和感のない笑顔でいられること”
この2つのバランスをとることです。
当院の考え方:一人ひとりに合わせた最適な治療提案を
当院では、「今すぐ治療が必要か」「将来どう変化するか」という点まで含めて、包括的な視点で一人ひとりのガミースマイルに向き合います。
見た目だけでなく、成長の見通しやご本人の気持ちも大切にしながら、矯正専門医として最適な治療のタイミングと方法をご提案いたします。
「ガミースマイルかもしれない」と感じたら、お気軽にご相談ください。。