2025.11.2| 矯正相談集
「受け口が気になる」とご相談いただいた Kさん(8歳・女の子)のケース
「受け口が気になる」「医院によって言われることが違う」──
成長期のお子さまの歯並びについて、どのようなタイミングで治療を始めるべきか迷われる親御さまは多くいらっしゃいます。
今回は、「受け口(反対咬合)」を心配されて来院された8歳の女の子、Kさんとの初診時のやり取りをご紹介します。
複数の医院で異なる説明を受けた中で、当院がどのように診断し、治療方針をお伝えしたのかをまとめました。
患者様情報
| 年齢 | 8歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



前歯の咬み合わせが反対になっています。(反対咬合)
上の前歯の歯の角度が内側を向いているため、上の歯並びのアーチの形が方形になっています。
ご相談のきっかけ
Kさんは、最初にかかりつけの歯科医院で初めて矯正の必要性を指摘されました。
その後、他の歯科医院で診察を受けた際、「将来的に顎の骨を動かす必要があるかもしれない」と言われ、不安に感じて当院を受診されました。
患者様との実際のやり取り
受け口が気になるとのことですが、これまでどんなお話を聞かれましたか?
1件目では“矯正が必要”と言われて、2件目では“将来、顎の骨を動かす必要があるかも”と言われて…。どうしたらいいか分からなくなってしまって。
そうでしたか。実際に拝見すると、Kさんの場合、リラックスした顎の位置で噛み合わせると上下の前歯が先端同士で噛むことができるため、骨格的なズレはまだ大きくないと思われます。
今のうちに上の顎の成長を促してあげれば、顎の骨を動かす必要ないと思います。
受け口は“上顎の成長が足りない+噛み方の癖”で起こる場合があり、Kさんはそのタイプなので、今の時期がちょうど治しやすいタイミングです。
今から始めた方がいいんですね?
はい。8〜10歳の間は、上顎の成長を促すにはベストの時期です。
10歳を過ぎると、上顎の成長スピードが徐々に少なくなるので、今がベストタイミングです。
“上顎を前に導く治療”をこの時期に行うことで、将来的な顎の骨をさわる処置を避けれる可能性が高まります。
どんな治療をするんですか?
マウスピース型の装置かワイヤーを使って、寝ている間に上顎の成長を前に引き出していきます。
必要に応じてお顔にゴムをかけて引っ張る“フェイシャルマスク(上顎前方牽引装置)”を併用することもありますが、寝る時だけの使用で十分です。痛みも少なく、ほとんどのお子さんがすぐ慣れますよ。
本人も怖がりなので、夜だけならできそうです。
そうですね。日中は外して構いません。
最初は8時間、慣れたら10時間ほどつけてもらうとしっかり効果が出てきます。
この時期に頑張ることで、将来的な顎をさわる治療を避けられる可能性が高くなります。
わかりました。夜だけなら本人も頑張れそうです。
将来的なリスクが減るなら、早めに始めてあげたいです。
まとめ
Kさんのケースでは、
・「機能的反対咬合(受け口)」に対して、上顎の成長を促進するマウスピース矯正とフェイシャルマスクによる早期治療が有効であること
・将来的な下顎の過成長を防ぐために、成長期(8〜10歳)のタイミングで上顎を前方に導く治療を行うことが重要であること
が確認されました。
今回の診察では、「将来、外科処置が必要になるかもしれない」と言われて不安を感じていたお母さまに対して、
現時点では矯正治療のみで十分改善が見込めることをご説明しました。
また、装置の使用方法や生活への影響、将来の成長に合わせた治療の流れについても丁寧にご説明し、安心していただけました。
小児矯正では、単に歯並びを整えるだけでなく、顎の成長をコントロールして骨格のバランスを整えることが非常に大切です。
特にKさんのように、上顎の成長がまだ活発な時期に治療を始めることで、手術を避け、自然なかみ合わせと横顔のバランスを得ることが可能です。
お子さまの「受け口」や「噛み合わせのズレ」が気になる方は、ぜひ早めにご相談ください。
成長の力を活かしながら、将来につながる最適な治療方針をご提案いたします。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
