2025.12.22 矯正相談集

「親知らずを抜いてから、噛み合わせがズレた気がして…」とご相談いただいたH.Tさん(25歳・女性)のケース

「親知らずを抜いた後から、噛む位置が定まらない」「顎をずらさないと当たらない感じがしてストレス」…
親知らずの抜歯をきっかけに、噛み合わせの違和感を訴えて来院される方がいらっしゃいます。

今回は、「親知らず抜歯後に噛み合わせが変わった気がする」とご相談いただいた、H.Tさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。単に歯並びを整えるだけでなく、抜歯前の“噛む誘導”がなくなったことで顎位が変化した可能性も含めて、長期的に考えた当院の相談内容についてお伝えします。

患者様情報

年齢25歳
性別女性

初診時の画像診断

上下の歯並びにガタガタがあります。

出っ歯の噛み合わせをしています。

ご相談のきっかけ

H.Tさんは、親知らずを抜歯した後から

  • 以前と噛む位置が違う気がする
  • どこで噛めばいいのか分からず、顎の位置を探すように噛んでしまう
  • 食いしばりたい時に歯がしっかり当たらずストレス

といった症状が出てきたため、「矯正が必要かどうか判断してほしい」と遠方からご来院されました。

患者様との実際のやり取り

親知らずを抜いてから状況が変わった、ということですね。実はこれ、たまにあるんです。

そうなんです。噛む位置が決まらなくて、すごいストレスです。

おそらくですが、以前親知らずが完全に埋まっていたわけではなく、少し生えていて、噛む時に最初に当たる場所、つまりかむ位置の誘導になっていた可能性があります。
そのガイド(誘導)が親知らずの抜歯で突然なくなると、顎が『どこで噛めばいいんだ?』となって、別の位置で噛むように変わってしまうことがあるんです。

まさにそんな感じです。噛みにくくて、力が入らないです。

実際、レントゲンで噛んでもらった時と、スキャンで噛んでもらった時で、奥歯の見え方とあたり方が違っています。
つまり、噛む位置が親知らずの抜歯前からズレている可能性が高いです。
さらに診ると、今は左右にずらしているだけでなく、顎が後ろに下がった位置で噛んでいる感じもあります。リラックスした時ほど前歯の見え方が大きくなっていて、ズレが強く出ていますね。

自分の中では、かなり大きなストレスです。

そうですよね。ここで大事なのはこのズレを許容できるかと、今後ずっとそのストレスを抱えるかなんです。
矯正をするなら、今いちばん自然に噛めている顎の位置を新しい位置として基準にし、噛み合わせを作り直すのが良いです。
だから、矯正としてはやる意味があると思います。
ただし、今の状態で生活できないわけではない。けれども、勝手には良くならない
そこをどう考えるかは、ご本人の感覚が一番大きいです。

そうですか。やはりストレスなので治したい気持ちがあります。
あと全然違う話なんですけど、歯がねじれていているところは治りますか?

もちろん治ります。ねじれも含めて、矯正でしっかりきれいになりますよ。

よかったです。治療期間はどのくらいかかりますか?

期間は平均で2-3年くらいです。
治療計画は精密検査の分析が必要ですが、出っ歯の改善をどこまで狙うかによっては、歯を抜く必要があるか検討しましょう
一方で、下の歯が1本少ない背景がある場合、バランス的に上の抜歯が理にかなうケースもあります。ここは精密検査をした後に根拠を持って判断してご説明します。

そうですか。やるならマウスピースとワイヤーどちらがいいですか?

マウスピースもワイヤーも可能です。
マウスピースは1日20時間以上必要で、仕事中も装着しますが、数日で慣れる方が多いです。ワイヤーは歯磨きが難しいですが、装置は固定なので確実に進んでいきます。
マウスピースは歯磨きしやすいですが、付け忘れがあると進まないという違いがあります。

腑に落ちました。検査の予約をお願いしたいです。

まとめ

H.T.さんのケースでは、
「親知らず抜歯後に生じた噛み合わせのズレ(顎位の変化による咬合の不安定)」に対して、現在の顎の位置を正しく評価したうえで、新しい顎位に合わせて噛み合わせを作り直す矯正治療が有効であること
・見た目だけを整えるのではなく、“どの顎位で噛むのが最も自然か”を見極め、違和感の原因となっている接触や噛み癖を整理しながら治療計画を立てることが重要であること

という相談結果になりました。

今回の診察では、単なる「歯並びの乱れ」や「前歯のねじれ」といったお悩みだけでなく、
親知らずが抜歯前に噛む誘導(ガイド)として働いていた可能性、抜歯によってその誘導が失われたことで顎の位置が変化し、噛み合わせが不安定になった可能性、
さらに、リラックス時と噛みしめ時で噛む位置が変わっている点(顎が後方へ下がる傾向)まで含めて評価し、「なぜ噛みにくくなったのか」「どの位置で噛み合わせを再構築すべきか」を多角的にご説明しました。

成人矯正では、単に歯を並べるだけでなく、**噛み合わせの安定性や顎の使い方(機能)**まで含めて全体のバランスを整えることが重要です。
特にH.T.さんのように、抜歯をきっかけに顎の位置が変化し、日常的に強いストレス(噛めない・食いしばれない感覚)が出ているケースでは、
マウスピース矯正や必要に応じた追加の固定源(矯正用アンカースクリュー等)の選択肢も含め、
生活スタイルに合わせながら無理なく“ストレスのない噛み合わせ”を目指すことが可能です。

親知らずを抜いた後の「噛み合わせの違和感」や「噛む位置のズレ」でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
原因を整理したうえで、ご自身にとって無理のない最適な治療法を一緒に考えていきましょう。

この記事の監修者情報

吉田 尚起

日本矯正歯科学会認定医

院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。

自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。

歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。

〒560-0056 大阪府豊中市宮山町1丁目1−47

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