2025.12.26| 矯正相談集
「ガタガタが気になってきて…」とご相談いただいた9歳・男の子のケース
「前歯が少しガタガタしてきた」「このまま並ぶのか心配」「子どもの矯正と大人の矯正の切り替わりがよく分からない」…
初めての矯正相談では、いつ始めるべきか/どこまでやるのかが分からず不安になる親御様は少なくありません。
今回は、かかりつけの歯医者で「今のタイミングで矯正を考えた方がいい」と言われ、当院にご相談いただいた9歳男の子との初診相談時のやり取りをご紹介します。ただ歯を並べるだけではなく、永久歯の生え変わりと将来の治療段階まで見据えた当院の治療方針についてお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 9歳 |
| 性別 | 男性 |
初診時の画像診断



上下の歯並びにガタガタがあります。
ご相談のきっかけ
近隣の歯科医院で定期的に診てもらっている中で、
以前は矯正の話が出ても「生え変わりを待ちましょう」と言われていましたが、担当医が変わったタイミングで「今の時期から矯正を考えた方がいい」と言われ、他院での意見も聞いてみたいとのことで当院に来院されました。
お母様は、
「顎を広げて、その後ガタガタを治して、必要なら大人の矯正になる…という話は聞いたけど、何歳が切れ目なのか分かりにくかった」
という点を特に不安に感じ、専門的に説明を聞きたいと来院されました。
患者様との実際のやり取り
ガタガタが気になるとの事ですが、ガタガタは“すごく目立つ”わけではないですが、口の中を見ると重なりは大きいですね。歯の半分くらい重なっているところもあります。
見た目より中がガタガタなんですね…。
そうなんです。前歯の噛み合わせと奥歯の噛み合わせは、極端な出っ歯や受け口ではなく、全体としてバランスは悪くありません。
CTで骨格も確認すると、上顎と下顎の前後バランスは良く、骨格的な出っ歯や受け口も強い問題はなさそうです。
だからこそ、今いちばん優先して治すべきなのはガタガタの原因であるスペース不足です。
土台は悪くないので、歯列のスペースを整えることで改善が狙えるタイプです。
そうなんですね。子どもの矯正と大人の矯正の切り替わりって、何歳なのかわからなくて…
大人の矯正の目安は永久歯が生えそろう頃で、だいたい12歳前後です。
今は前歯4本が生え変わっていて、これから3番目・4番目・5番目が順に生え変わります。
最後に一番奥から12歳臼歯という奥歯が生えて永久歯がそろったところが、一つの区切りになります。
今から始めるべきですか?
メリットは多いです。子どもの時期は、顎の骨がまだ成長途中で“広げやすい”ので、大人より負担が少なくスペースを作れるのが大きなメリットです。
ガタガタの原因はスペース不足なので、小児矯正では顎の幅を広げてスペースを作り、その作ったスペースの中に歯を並べるという2ステップで行います。
なるほど。どんな装置を使うんですか?
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2つのうちどちらかを選択します。
どちらも広げたり並べることはできますが、今回のケースならマウスピースでも十分対応できます。
そうですか。まずは検査を受けて、きちんと方針を聞きたいです。予約をとって帰ります。
まとめ
今回の患者様のケースでは、
・「前歯部〜臼歯部にかけての叢生(ガタガタ)」に対して、成長期のうちに顎の幅を適切に拡大して歯が並ぶスペースを確保し、その後に歯列を整える小児矯正が有効であること
・骨格的な出っ歯・受け口といった大きな問題は強くないため、土台(骨格)を無理に動かす治療ではなく、“スペース不足の改善”を中心に、噛み合わせとのバランスを見極めながら治療計画を立てることが重要であること
という相談結果になりました。
今回の診察では、見た目として歯の重なりが大きく、今後の生え変わりの進行によってさらに歯が生えるスペース不足が顕在化する可能性がある点を丁寧にご説明しました。また、CT所見からは骨格的な大きな異常は認めにくく、永久歯の本数も揃っていることが確認できたため、“成長を利用してスペースを作る”ことが最も合理的な治療方針であると判断しました。
小児矯正では、単に今あるガタガタを整えるだけでなく、これから生え変わる永久歯(3〜5番目や12歳臼歯)が正しい位置に並ぶための土台を作ることが重要です。特に9歳は、拡大治療によってスペースを確保しやすく、将来的な抜歯リスクを減らす可能性を高められる時期でもあります。
また、治療方法についても、ワイヤー矯正・マウスピース矯正それぞれの特徴を踏まえ、生活スタイルや管理のしやすさも含めて無理のない選択ができるようご案内しました。
お子さまの歯並びが「少しガタガタしてきた」「このまま並ぶのか心配」と感じた場合は、ぜひ一度ご相談ください。成長段階と将来の生え変わりを見据えながら、ご家庭にとって無理のない最適な治療法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
