2025.12.27| 矯正相談集
「矯正が途中で終わってしまって…」とご相談いただいたS.Sさん(17歳・男の子)のケース
「昔矯正をしていたけれど、最後まで仕上げきれなかった」「今、噛めていない場所がある気がする」「このまま放置して大丈夫?」…
小児矯正や思春期の治療で“途中まで進んだけれど、忙しくて中途半端な状態で終わってしまった”という方はいらっしゃいます。
今回は、過去に矯正治療歴がある17歳の男の子、S.Sさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。単に見た目を整えるだけではなく、噛み合わせの完成(仕上げ)と親知らずの管理まで含めた当院の相談内容についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 17歳 |
| 性別 | 男性 |
初診時の画像診断



ある程度歯並びは整っていますが、軽度のガタガタと噛み合わせが不十分なところが残っています。
ご相談のきっかけ
S.Sさんは、過去に矯正治療を受けており、
- 最初に固定式の装置で拡大と排列を行った。
- その後、就寝時中心の取り外し式装置(マウスピース様の装置)で経過観察を続けた。
- 中学途中で通院が途切れ、結果的に“仕上げが中途半端”な状態になった。
という経緯がありました。
高校生になり、「噛めていないところがある」「歯並びが少し戻ってきた気がする」という不安から、改めて矯正が必要かを相談したいと来院されました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。以前、矯正治療をされていたとのことですが、どんな装置をどれくらい使っていましたか?
最初は、広げる固定の装置をつけて、そのあと寝るときにパカッとはめるような装置をつけてました。
そのまま経過観察みたいになって、途中で行けなくなって…。
なるほど。いわゆる矯正治療の途中の段階で終わってしまった状態ですね。
今の噛み合わせを見ると、全体的に奥歯も噛めていて生活に支障はないと思います。しかし、当たっていない、浮いているところが残っているのが分かります。
上下の歯が最後まで噛み合い切っていない状態です。
ここが八重歯だったんですかね?
犬歯である前から3番目の歯や、その後ろの前から4番目と5番目の歯に段差やねじれが残っているので、当時そこが気になっていた可能性はありますね。
治療の途中で止まった感じは確かにあります。
このまま治療しないとどうなりますか?
結論としては、今の状態から大きくトラブルになる可能性は高くありません。
この状態から勝手に歯並びが良くなることもありませんが、今の状態をある程度キープできると思います。
ただ、5年10年の単位で見ると、歯は少しずつ動くので、
将来的に“段差”や“ガタつき”が増えてくる可能性はあります。
噛めていない歯があると、将来抜けやすくなりますか?
噛めていないことで歯の寿命が大きく下がる”ということはないです。
ただ、せっかくある歯が使えていないのはデメリットで、噛み合わせを完成させた方が機能的には良いですね。
過去に頑張って矯正をしてきた分、最後の仕上げまで行い70〜80点を100点に近づける価値はあると思います。
それからレントゲンも確認すると、親知らずが年齢的にこれから動いてくる時期です。今は骨の中に隠れている状態なので、すぐに処置する必要はないですが、将来生えてきたときは親知らずの抜歯を検討した方がいい位置ですね。
やるとしたら、期間はどれくらいかかりますか?それから、費用はどのくらいですか?
しっかり進めれば1年くらいで終われる可能性が高いです。
装置はマウスピースでもワイヤーでも可能ですが、年齢的にも自己管理ができるので、私はマウスピースがおすすめです。
通院頻度も、2〜3ヶ月に1回くらいで進められることが多いです。
費用については、S.Sさんは過去に矯正をされていたことから、大きな移動は不要だと考えられます。マウスピースは枚数が少ないほどコストを下げやすいので、精密検査後にシミュレーションをして、必要枚数に応じた価格をできるだけ抑える提案ができると思います。
わかりました。一度うちに持ち帰って家族で検討します。
まとめ
S.S.さん(17歳男の子)のケースでは、
・過去の矯正治療により歯列はある程度整っているものの、現在の状態では**「噛み合わせが完成しきっておらず、当たっていない(浮いている)歯が残っている」**ため、全体の咬合を仕上げる“再矯正(仕上げの矯正)”が有効であること
・仕上げを行う際は、見た目の並びだけではなく、どの歯でしっかり噛めているか/噛めていないかを確認しながら、上下の噛み合わせを安定させる計画を立てることが重要であること
という相談結果になりました。
今回の診察では、見た目としての「段差」「ねじれ」「噛み合っていない感じ」といったお悩みだけでなく、過去の治療経緯(拡大装置→取り外し式装置→通院中断)を踏まえ、**“途中で止まってしまった状態をどこまで完成させるか”という視点でご説明を行いました。加えて、年齢的に親知らずが動き始める時期であるため、親知らずの将来的な管理(生え方によっては抜歯が必要になる可能性)**についてもお伝えし、長期的に噛み合わせを安定させるためのポイントを整理しました。
成人矯正では、単に歯を並べるだけでなく、噛み合わせの完成度(機能)と将来の安定性を含めて全体を整えることが重要です。特にS.S.さんのように、骨格的な大きな問題はなく「仕上げ不足」が主な課題であるケースでは、マウスピース矯正等を適切に用いることで、通院負担を抑えつつ、短期間(目安1年程度)で“最後の仕上げ”を目指すことが可能です。
「矯正を途中でやめてしまった」「昔より少し戻ってきた気がする」「噛めていない歯がある」などでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。今の状態を整理したうえで、ご本人の生活スタイルやご家庭の希望に合わせた、無理のない最適な治療法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
