2026.7.11| 叢生(ガタガタ)の矯正相談集
「顎が小さく、歯が並ぶスペースが足りないと言われた…」とご相談いただいたK.Mさん(7歳・女の子)のケース
「顎が小さくて、永久歯が並ぶスペースが足りないと言われた」
「このままだと歯並びがガタガタになりそうで心配」
「小児矯正はワイヤーとマウスピース、どちらがいいのか分からない」…。
お子様の歯並び相談では、今見えている前歯のガタガタだけでなく、これから生えてくる永久歯の位置や、乳歯が抜けるタイミング、奥歯の生え方まで含めて確認することが大切です。
今回は、かかりつけ歯科で「顎が小さく、歯が並ぶスペースが足りない」と指摘され、矯正相談に来院された7歳の女の子、K.Mさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。
単に歯を並べるだけではなく、奥歯の生え方や乳歯が早く抜けるリスクにも注意しながら、将来的な歯並びまで考えた当院の小児矯正についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 7歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



上下の歯並びにガタガタがあります。
上の前から6番目の歯が前に傾いて生えてきています。その結果、前から5番目の乳歯の根っこを吸収しています。
ご相談のきっかけ
K.Mさんは、
「顎が小さく、歯が並ぶスペースが足りないと言われた」
「今後、歯の生え変わりの時にガタガタが強くなりそうで心配」
「小児矯正を始めるなら、ワイヤーとマウスピースのどちらがよいのか知りたい」
とのことでご来院されました。
保護者の方としては、何もしないまま様子を見てよいのか、それとも早めに矯正を始めた方がよいのか迷われていたそうです。
また、女の子ということもあり、見た目や歯磨きのしやすさ、通院期間についても気にされていました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?
かかりつけの歯医者さんで、顎が小さくて歯が並ぶスペースがないと言われました。
このままだとガタガタになりそうで、矯正を考えた方がいいのかなと思っています。
そうですね。
お口の中を確認すると、上も下も少しガタガタがあり、歯が並ぶためのスペースが足りない状態です。
このような場合、小児矯正では歯列の横幅を広げて、歯が並ぶスペースを作る治療を行うことがあります。
広げるというのは、顎を広げるということですか?
はい。上顎は、お子様の時期には真ん中の骨のつなぎ目がまだ完全に固まっていません。
そのため、装置を使って力をかけることで、歯列のアーチを広げ、歯が並ぶスペースを作ることができます。
大人になるとこのつなぎ目が固まってしまうため、お子様の時期だからこそできる治療の一つです。
下の歯も広げるんですか?
下顎は上顎のように骨のつなぎ目が分かれているわけではないため、骨自体を大きく広げることは難しいです。
ただ、下の歯は少し内側に倒れていることがあるので、その歯を起こしてあげることで、ある程度スペースを作ることができます。
K.Mさんの場合も、上下ともにスペースを作りながら歯を並べていく治療が必要になる可能性があります。
将来的に歯を抜くことになりますか?
今の段階でしっかりスペースを作ってあげることで、将来的に永久歯を抜かずに並べられる可能性は高くなると思います。
もちろん成長や生え変わりには個人差がありますが、今できることとしては、歯列を広げてスペースを確保しておくことが大切です。
ただ、もう一つ気になる点があります。
奥歯の永久歯が、手前の乳歯に引っかかるように斜めに生えてきています。
それは前の歯医者さんでも言われました。
斜めに生えているから、手前の歯が早く抜けるかもしれないと言われました。
そうですね。奥の永久歯が手前の乳歯に引っかかっていることで、その乳歯の根が一部吸収されています。
乳歯はいずれ抜ける歯ではありますが、本来は永久歯が生えてくるまでスペースを保つ役割があります。
もし乳歯が早く抜けてしまうと、奥歯が前に寄ってきてしまい、次に生えてくる永久歯のスペースが不足する可能性があります。
その場合、どういう治療をするんですか?
まずは、斜めに引っかかっている奥歯を正しい方向へ起こしてあげる治療を行います。
内側にワイヤーの装置を入れて、バネの力で奥歯を少しずつ後ろの正しい位置へ誘導していくイメージです。
奥歯の位置を整えることで、手前の乳歯をできるだけ長く残し、将来生えてくる永久歯のスペースを守ることができます。
まず奥歯を治して、そのあと歯並びを広げるんですね。
はい。K.Mさんの場合、最初に奥歯の引っかかりを改善し、その後に歯列を広げたり、前歯のガタガタを整えたりしていく流れがよいと思います。
治療の順番としては、まず奥歯の位置を整えることが大切です。
小児矯正は、ワイヤーとマウスピースのどちらになりますか?
どちらも選択肢になります。
ワイヤー矯正は取り外しができないため、装着時間を気にしなくてよいというメリットがあります。
一方で、歯磨きが少し難しくなることがあります。
マウスピース矯正は見た目が目立ちにくく、取り外して歯磨きができるというメリットがあります。
ただし、学校や給食後も含めて、決められた時間しっかり装着できるかが大切になります。
しっかり治すならワイヤーの方がいいのかなと思っていました。
ワイヤーは力をかけやすく、いろいろな動きに対応しやすい装置です。
ただ、今回のガタガタの量であれば、マウスピースでも十分対応できる可能性があります。
どちらが絶対に良いというより、K.Mさん本人が続けやすいか、歯磨きや装置の管理ができるかも含めて考えることが大切です。
マウスピースは自分で管理しないといけないんですね。
食事の時は外して、食後にうがいや歯磨きをしてから再装着します。
装置は定期的に新しいものへ交換しながら、少しずつ歯を動かしていきます。
取り外せることはメリットでもありますが、外している時間が長いと治療が進みにくくなるため、装着時間の管理がとても大切です。
今始めた方がいいですか?
K.Mさんの場合、奥歯が手前の乳歯に引っかかっており、このまま待っていると乳歯が早く抜けたり、スペースが失われたりする可能性があります。
そのため、何もせずに待つよりは、今の時期から治療を始めるメリットは大きいと思います。
分かりました。検査をして帰ります。
まとめ
K.Mさんのケースでは、
・上下ともに歯が並ぶスペースが不足しており、将来的に歯並びのガタガタが強くなる可能性があること
・奥の永久歯が手前の乳歯に引っかかるように生えており、乳歯の根が吸収されているため、早期に奥歯の位置を整える必要があること
・今の時期に歯列を広げて永久歯が並ぶスペースを確保することで、将来的な歯列不正や抜歯のリスクを軽減できる可能性があること
という相談結果になりました。
今回の相談では、「顎が小さく、歯が並ぶスペースが足りない」というお悩みだけでなく、レントゲン画像を用いて奥歯の生え方や乳歯の根の吸収、今後生えてくる永久歯のスペース不足についても詳しくご説明しました。また、奥歯が手前の乳歯に引っかかったまま放置されると、乳歯が早く抜けてしまい、将来的に永久歯が生えるスペースが失われる可能性があることもお話ししました。
小児矯正では、単に今見えている前歯のガタガタを整えるだけではなく、これから生えてくる永久歯のためのスペースを守ることも大切です。特にK.Mさんのように、奥歯の生え方に問題があり、乳歯の根が吸収されているケースでは、まず奥歯を正しい位置へ誘導し、その後に歯列を広げて前歯を整える流れが重要になります。
また、歯列を広げて前歯を整える治療では、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらも選択肢になります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、お子様の年齢や性格、装置の管理のしやすさ、歯磨きのしやすさなどを含めて治療方法を検討することが大切です。
お子様の顎が小さく歯並びがガタガタになりそうで心配な方、奥歯が斜めに生えていると言われた方、小児矯正をいつ始めるべきか迷っている方は、ぜひ一度ご相談ください。成長や生え変わりのタイミングを見ながら、今できることと将来的に必要な治療を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
