2026.2.4 矯正相談集

「出っ歯が気になって…」とご相談いただいたY.Iさん(10歳・女の子)のケース

「前歯が出ている気がする」「口が開きやすい」「笑うと歯ぐきが見える」…
11歳前後は、前歯の生え変わりが終わって落ち着き、顎の成長のピークが過ぎ始める時期でもあり、「矯正を今やるべき?もう少し待つべき?」と迷う親御様がとても多いタイミングです。

今回は、定期検診に通いながらも「矯正の必要性やタイミングをもう一度確認したい」と来院された、Y.Iさん(10歳女の子)の初診相談時のやりとりをご紹介します。歯並びだけでなく、口元の印象や成長の影響も含めて、長期的な視点でご説明しました。

患者様情報

年齢10歳
性別女性

初診時の画像診断

前歯が出っ歯さん傾向でした。

上下の歯並びにガタガタがありました。

咬み合わせが深いです。

ご相談のきっかけ

Y.Iさんは、かかりつけの一般歯科で3ヶ月に1回のペースで定期検診を受けており、その中で矯正の話を受けることもありましたが、「いつから始めるべきか?」が明確に決まっていませんでした。矯正治療の精密検査はまだ行っておらず、「今の状態がどうなのか?」「今の年齢で何をすべきなのか?」を知りたいという思いから当院に来院されました。

患者様との実際のやり取り

今日はよろしくお願いします。他院さんでも矯正はいつか必要かもと言われたとのことですが、どこが気になっていますか?

はい。出っ歯が気になっています。

わかりました。スキャンした歯並びを見てみると、出っ歯の傾向はかなり強いです。理想は上下の前歯同士が当たって噛み切れる状態なのですが、今は前歯が当たっていません、下の前歯が上の歯ぐきに当たりそうな位置にいます。

そうですか…口が開いてることが多くて、笑うと歯ぐきが出ます。上の唇が短いのかなって思ってました。

上の唇が少し短めなのもありますが、上の前歯が前に出ている分、唇が前歯に乗っかって閉じにくいというのもあると思います。歯が少し後ろに入ると、唇も閉じやすくなるので、ここは整えていきたいポイントですね。
それから骨格についてですが、横顔を見ると上顎と下顎の前後差がやや大きいです。下顎が少し後ろめのタイプで、出っ歯に見えやすい印象ですね。成長方向としても、下顎が前に伸びるより下方向成分がやや強めで、少し面長傾向が出やすいタイプかもしれません

今10歳って、タイミングとしてどうなんでしょう?今やった方がいいのか、待った方がいいのか…。

まさに絶妙な年齢です。上顎の成長は10歳前後がピークで、ここから成長の勢いが落ちていきます。成長だけで出っ歯を大きく改善できるシーズンは残りわずかです。下顎はこれから成長するので多少出っ歯はマシになる可能性はありますが、今の出っ歯の量はかなり大きいので、最終的には歯を内側に引っ込める必要があります。
そのため、前歯を後ろへ動かすにはスペースが必要です。方法はいくつかありますが、いちばん大きくスペースを作れるのが抜歯です。将来的には抜歯を含めて治療計画を検討されることをお勧めします。

抜歯は…言われたことがあります。微妙な時期とも他院で言われました。

そうなんです。なぜ矯正治療を開始するのに微妙な時期と言われるかというと、もし抜歯矯正をするなら、大人の歯が生え揃ったタイミングで一気に歯並びを仕上げた方が治療期間が短くなりやすいからです。今の時期にできることもあるけれど、将来の抜歯矯正が治療の結果の8〜9割を占めます。今できることはごくわずかです。だから今やるメリットと通院負担を天秤にかける必要がある、という意味で絶妙なんです。

なるほど。抜くとしたらどの歯を抜くんですか?

基本は前から4番目の歯を左右で抜きます。前歯ではありません。抜いた隙間は前歯を後ろに動かして、きちんと埋めていきますので安心してください。

わかりました。一回家族と相談したいです。でも定期的に見てもらえるなら安心です。

それがいいと思います。まず定期検診で生え変わりや状態を見ながら、最適な時期にまた矯正の話をしましょう。

はい、お願いします。予約をとって帰ります。

まとめ

Y.Iさん(10歳・女の子)のケースでは、
・「前歯の突出(出っ歯傾向)」と「口が開きやすい(口唇閉鎖のしにくさ)」に対して、成長のタイミングを踏まえた治療方針の整理が必要であること
・出っ歯をしっかり改善し、口元の印象まで整えるためには、将来的に
歯を後方へ移動させるスペース確保(抜歯を含む治療計画)が選択肢となる可能性があること
・ただし、10歳は成長のピークが過ぎ始める“判断が難しい時期”でもあるため、今できること/将来まとめて行うことのバランスを見極めながら計画を立てることが重要であること

という相談結果になりました。

今回の診察では、見た目としての「出っ歯」や「口元の印象」だけでなく、永久歯の生え変わり状況や顎の成長バランスを踏ま今の段階でできる対応と、将来的に必要になり得る治療(抜歯矯正を含む)を整理してご説明しました。
また、口が開きやすい背景として、唇の形態や歯の位置関係が影響している可能性についてもお話しし、口元の改善が見た目だけでなく機能面(口腔内の乾燥など)にも関わる点をご説明しました。

小児〜学童期の矯正では、単に歯を並べるだけでなく、「いつ始めるのが最も効果的か」を見極めることがとても大切です。
Y.Iさんのように、将来的にしっかり口元を引き込みたい可能性があるケースでは、成長を利用できる部分と、最終的に歯を動かして仕上げる部分の割合を考え、無理のない計画を立てる必要があります。

口元や歯並びについて「今すぐ治療すべきか迷う」「将来どうなるか知りたい」という方も、ぜひ一度ご相談ください。
その場で決める必要はありません。現状を整理したうえで、ご本人とご家族にとって無理のない最適な治療法を一緒に考えていきましょう。


この記事の監修者情報

吉田 尚起

日本矯正歯科学会認定医

院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。

自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。

歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。

〒560-0056 大阪府豊中市宮山町1丁目1−47

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