2026.7.23 出っ歯の矯正相談集

「顎が小さく、永久歯がガタガタにならないか心配…」とご相談いただいたI.Eさん(6歳・女の子)のケース

「顎が小さいと言われた」「今はきれいに並んでいるけれど、永久歯に生え変わるとガタガタになるかもしれない」「矯正相談はいつ頃から始めればよいの?」――。

乳歯から永久歯への生え変わりが始まると、今後の歯並びや矯正治療を始める時期について悩まれる保護者の方は少なくありません。

今回は、顎の大きさと将来的な歯並びについてご相談に来られた6歳の女の子、I.Eさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。

本格的に歯列を広げる治療を始めるタイミングや、6歳の今から取り組めるプレオルソによる治療についてもお伝えします。

患者様情報

年齢6歳
性別女性

初診時の画像診断

歯並びにガタガタがあります。

口呼吸傾向があります。

ご相談のきっかけ

I.Eさんは、以前から通院している歯科医院で「顎が小さく、永久歯に生え変わると歯並びがガタガタになる可能性がある」と指摘されていたそうです。

前歯が抜け始めたことをきっかけに、「そろそろ矯正歯科へ相談した方がよいのでは」と考え、当院へご相談くださいました。

保護者の方は、

「現在はきれいに並んでいるのに、本当にスペースが足りないのか」
「6歳の今から本格的な矯正を始めた方がよいのか」
「顎を広げる治療は、どのような装置を使うのか」
「今の年齢でできる治療はあるのか」

といった点について詳しく知りたいと考えていらっしゃいました。

患者様との実際のやり取り

はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?

顎が小さいと言われました。今は大丈夫だけれど、永久歯に生え変わるとガタガタになるかもしれないので、前歯が抜けたら矯正の相談をしましょうと言われていました。

実際にお口の中を見ると、現在の歯並びは比較的きれいで、目立ったガタつきはありません。ただ、乳歯の間に隙間があまりない状態ですね。

今きれいに並んでいても、スペースが足りないことがあるんですか?

はい。永久歯は乳歯よりも大きいため、乳歯の時期にはある程度の隙間がある方が、永久歯が並びやすいと考えられます。
乳歯が隙間なくきれいに並んでいる場合、永久歯へ生え変わったときにスペースが不足し、重なって生えてくることがあります。I.Eさんも、今後ガタつきが出てくる可能性はあると思います。

レントゲンでは、永久歯はどうなっていますか?

抜けた乳歯の下には、これから生えてくる永久歯が確認できています。現在は前歯の生え変わりが始まったばかりなので、もう少しすると永久歯が見えてくると思います。

今すぐ矯正治療を始めた方がよいのでしょうか?

顎や歯列をしっかり広げる本格的な小児矯正については、永久歯の前歯が上下それぞれ4本ほど生えてから始めることが多いです。年齢では、8歳前後が一つの目安になります。

なぜ、前歯が4本生えるまで待つのですか?

永久歯の前歯が生えそろうと、実際にどの程度スペースが不足しているのか、どれくらい歯列を広げる必要があるのかを判断しやすくなるためです。
また、8歳頃になると装置を使うことへの理解が進み、ご本人が治療に協力しやすくなるというメリットもあります。

6歳の今から始めると、早すぎるのでしょうか?

本格的に歯列を広げる治療については、現時点で急いで始めなくても間に合う可能性が高いと思います。
顎の骨のつなぎ目を利用して歯列を広げる治療は、一般的に12歳頃まで検討できます。I.Eさんの場合は、前歯の生え変わりをもう少し確認してからでも、治療時期として遅くはありません。

顎を広げる治療は、どのように行うのですか?

歯列を横方向へ広げる装置をお口の中に入れ、少しずつ幅を広げていきます。歯列のアーチが広がることで、永久歯が並ぶためのスペースを確保する治療です。
ただし、必要以上に大きく広げるのではなく、歯並びや顎の状態を確認しながら、必要な範囲で調整します。

では、今の年齢では何もすることはないのでしょうか?

今からできることもあります。当院では、プレオルソという取り外しのできる装置をご提案することがあります。

プレオルソは、どのような装置ですか?

柔らかい素材でできたマウスピースのような装置で、日中の1時間と就寝中に使用します。
主な目的は、舌の位置や唇の閉じ方、お口周りの筋肉の使い方を整えることです。

舌の位置は、歯並びにも関係するのですか?

はい。舌は、本来、上顎の内側にある正しい位置に置かれていることが理想です。舌が下がっていたり、お口が開いている時間が長かったりすると、歯や顎に加わる力のバランスが崩れ、歯並びに影響することがあります。
歯は、内側からは舌、外側からは唇や頬の力を受けています。そのバランスが整うことで、永久歯が生えやすいお口の環境につながります。

プレオルソを使えば、顎を広げる治療をしなくてもよくなりますか?

プレオルソには、永久歯が生える方向を整えたり、歯列をわずかに広げたりする効果が期待できます。ただし、顎をしっかり広げる専用の装置ほど強い拡大力があるわけではありません。
プレオルソだけで歯並びが整うお子様もいますが、永久歯が生えてきた段階でスペースが足りなければ、その後に本格的な小児矯正へ移行する可能性があります。

まずは、お口の使い方を整える治療ということですね。

そうですね。今の時期に舌や唇、お口周りの筋肉の使い方を整え、永久歯が生えやすい環境をつくることが目的です。
その後、永久歯の前歯が生えそろった時点で歯並びを再評価し、必要であれば歯列を広げる治療を検討します。

プレオルソを始める場合、どのくらいの頻度で通院しますか?

最初の半年ほどは、装置をきちんと使えているか、お口の状態に変化があるかを確認するため、月に1回程度の通院をお願いしています。
装置に慣れ、問題なく使用できるようになれば、2~3か月に1回程度へ通院間隔を延ばすことがあります。

分かりました。今通っている歯科医院でも相談してから考えたいと思います。

まとめ

I.Eさんのケースでは、
・「顎が小さく、永久歯が並ぶスペースが不足する可能性」に対して、まずはプレオルソを使用して舌の位置や唇の閉じ方、お口周りの筋肉のバランスを整えることが有効と考えられること
・永久歯の生え変わりを確認しながら、本格的に歯列を広げる治療を始める適切な時期を見極めることが重要

という相談結果になりました。

今回の相談では、現在の乳歯がきれいに並んでいるかどうかだけでなく、乳歯と永久歯の大きさの違いや、永久歯が生えるためのスペースについて詳しくご説明しました。また、6歳の今からできるプレオルソによる治療と、前歯の永久歯が生えそろった後に検討する本格的な小児矯正の違いについてもお話ししています。

小児矯正では、早く治療を始めれば必ずよいというわけではなく、永久歯の生え方や顎の成長、装置を無理なく使用できる年齢を見極めながら治療を進めることが重要です。特にI.Eさんのように、現在は目立ったガタつきがないものの、乳歯の間の隙間が少ないケースでは、まずお口の使い方を整えながら生え変わりを確認し、必要なタイミングで歯列を広げる治療へ移行することが考えられます。

プレオルソを使用することで、舌を正しい位置へ導き、唇を閉じる力やお口周りの筋肉のバランスを整え、永久歯が生えやすい環境をつくることを目指します。ただし、プレオルソだけで十分なスペースを確保できるとは限らないため、永久歯の生え変わりを継続して確認することが大切です。

お子様の顎の小ささや永久歯の生えるスペース、矯正治療を始める時期でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。成長や歯の生え変わり、ご家庭での装置の使いやすさも考慮しながら、お子様にとって無理のない最適な治療方法を一緒に考えていきましょう。

この記事の監修者情

吉田 尚起

日本矯正歯科学会認定医

院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。

自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。

歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。

〒560-0056 大阪府豊中市宮山町1丁目1−47

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