2026.2.5| 矯正相談集
「歯並びが将来どうなるか心配で…」とご相談いただいたT.Nさん(5歳・女の子)のケース
「下の歯には隙間があるけれど、上の歯は詰まっている気がする」
「口呼吸が多く、将来の歯並びが心配」
このようなお悩みを抱えて来院される親御様は、5〜6歳頃のお子様では決して少なくありません。
今回は、歯並びと口呼吸についてご相談いただいた、5歳の女の子・T.Nさんの初診相談時のやり取りをご紹介します。
“今すぐ矯正が必要なのか”、“今できることは何か”を整理しながら、将来を見据えた診断を行いました。
患者様情報
| 年齢 | 5歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



下の歯が生え変わりの途中です。
口呼吸の傾向がありました。
ご相談のきっかけ
T.Nさんの保護者様は、
「下の前歯には隙間があるが、上の前歯は詰まって見える」
「寝ているときに口が開いていることが多く、鼻炎や咳も気になる」
といった点から、歯並びとお口周りの成長について一度専門的に診てもらいたいと来院されました。
患者様との実際のやり取り
こんにちは。今日はどうされましたか?
はい。下の歯並びは隙間があるんですが、上の前歯が詰まっている気がして…。将来ガタガタにならないか心配で…。親がガタガタで歯を抜いて矯正治療をしているんです。
今はまだ全部乳歯の時期ですね。レントゲンを見ると、特に問題はありません。歯の本数が足りないとか、変な向きに埋まっている歯はありません。
下の前歯は隙間がしっかりありますし、これはむしろ良い状態です。
上の前歯は少し詰まって見えますが、後の歯を見てみるとちゃんとスペースがあります。
じゃあ、今の時点ではそこまで悪いわけではないんですか?
そうですね。今の歯並びはとてもいい状態です。
これから顎も大きくなりますし、顔全体の成長とのバランスでこれからの歯並びは決まっていきます。
じゃあ、矯正はまだ早いですか?
ワイヤーで歯を並べるような矯正は、今は全く必要ありません。
早くても8〜9歳以降だと思います。
そうなんですね。でも、寝ているときに口が開いていることが多くて…。
そこは気になるポイントですね。実際にお口を見ても、口呼吸の傾向があります。
鼻炎や咳で耳鼻科に通われていると伺いましたが、鼻の症状も口呼吸に影響していると考えられます。
口呼吸が続くと、舌が下がってしまって、将来歯並びが崩れることがあります。
今は歯並びが良くても、お口周りの筋肉の使い方次第で将来変わってしまうことがあるんです。
歯並びって、歯だけの問題じゃないんですね。
その通りです。
歯は舌と唇に挟まれて並んでいるので、そのバランスがとても大事なんです。
今、この年齢でできることってあるんですか?
歯を動かす矯正ではなく、お口周りの筋肉や舌の位置を整える装置があります。
将来ガタガタになりにくい環境を作るためのものです。
夜寝るときと、日中1時間ほど使うタイプで舌を正しい位置に誘導して、口を閉じる力を育てる目的があります。
今の段階では、それがちょうどいいですね。
はい。今は「歯並びを治す時期」ではなく、歯並びが悪くならない土台を作る時期ですね。
一度ご家族で相談していただいて、前向きであれば次のステップに進みましょう。
はい、家で話してみます。
まとめ
T.Nさんのケースでは、
・「上顎前歯の詰まり感」がある一方で、下顎には適度な隙間があり、
現時点では歯並びそのものに大きな問題は見られないこと
・ただし、口呼吸傾向や舌・口周りの筋機能が将来的な歯並びに影響する可能性があるため、
成長期に合わせた環境づくりが重要であること
という相談結果になりました。
今回の診察では、「歯がガタガタになるかどうか」という見た目の不安だけでなく、乳歯から永久歯への生え変わりの流れ、顎の成長バランス、さらに口呼吸や舌の位置といった歯並びの土台となる要素についてもご説明しました。
5歳という時期は、歯を動かす矯正を始める段階ではありませんが、将来的に歯並びが乱れにくい環境を整えていくにはとても大切な時期です。
T.Nさんのように、歯の本数や位置に問題がないケースでは、必要に応じて口腔周囲筋のトレーニングなどを取り入れながら、無理のない形で成長を見守っていくことが可能です。
お子様の歯並びや口元について少しでも気になることがあれば、「今すぐ矯正が必要かどうか」だけでなく、将来を見据えた選択肢を一緒に整理することが大切です。
ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
