2026.3.9| 矯正相談集
「下の前歯がガタガタしてきた…」とご相談いただいた S.Kさん(5歳・男の子)のケース
「最近、下の前歯が少しガタガタしてきた気がする…」
小さなお子様の歯並びの変化に気づくと、「このままで大丈夫なのかな?」と心配になる親御様は少なくありません。
今回は、下の前歯の歯並びを気にされて来院された 5歳の男の子 の初診相談時のやり取りをご紹介します。
小児矯正は「すぐに装置を入れる」だけではなく、成長のタイミングを見極めることもとても重要です。当院ではその点も含めて丁寧にご説明しています。
患者様情報
| 年齢 | 5歳 |
| 性別 | 男性 |
初診時の画像診断



歯の生え変わりに伴い、下の歯並びにガタガタが出てきています。
ご相談のきっかけ
S.Kさんは、定期的に歯科医院で検診を受けており、その際に
「下の前歯が少しガタガタしてきているかもしれない」と指摘されたことをきっかけに来院されました。
「今のままで大丈夫なのか、それとも早めに矯正を考えた方がいいのか」を知りたいということで、矯正治療の専門的な相談を希望されました。
患者様との実際のやり取り
こんにちは。今日はよろしくお願いします。
今一番気になっているところはどこでしょうか?
下の前歯が少しガタガタしてきている気がして…。
これからもっと歯並びが悪くなるのかなと思って相談に来ました。
なるほど。確かにこの前歯の部分は、これから生えてくる永久歯は乳歯より大きいので、スペースが足りずにガタガタになりやすい場所なんです。
ただ、S.Kさんはまだ5歳なので、これから顎も大きく成長します。今の段階では今すぐ矯正装置を入れる必要がある状態ではないと思います。
そうなんですね。今は様子を見る感じですか?
はい。顎の成長が大きく進むのは、だいたい 8〜10歳くらいから のタイミングです。
その時期に顎を広げるような矯正治療をすると、効率よくスペースを作ることができます。今はまだ少し早い時期なんです。
じゃあ今は何もしない方がいいんでしょうか?
実は、この年齢でもできることはあります。
プレオルソという装置を使って、舌の位置や口周りの筋肉を整えるトレーニングをする方法です。
それは歯を動かす矯正とは違うんですか?
そうですね。歯を直接動かすというより、歯並びが悪くなりにくい口の環境を作る装置です。
寝ているときと日中1時間ほど装着して、舌や口の筋肉を正しい使い方に誘導します。
そんな装置があるんですね。
はい。今からお口の環境を整えておくと、将来本格的な矯正をする場合でも、歯並びが整いやすくなることが多いです。
わかりました。少し家族で検討してみます。
まとめ
S.K.さんのケースでは、
・「下の前歯の軽度のガタつき」に対して、今すぐ本格的な矯正治療を開始する必要はなく、まずは顎の成長を見守ることが大切であること
・そのうえで、将来の歯並びを整えやすくするために、舌の位置や口周りの筋肉の使い方を整える口腔機能トレーニング(プレオルソなど)を取り入れることが有効な可能性があること
という相談結果になりました。
今回の診察では、現在気になっている「下の前歯のガタつき」だけでなく、これから生えてくる永久歯の大きさや顎の成長のタイミング、奥歯の噛み合わせの状態なども含めて確認しました。
その結果、S.K.さんの歯並びは現時点で重度の不正咬合ではなく、顎の成長によって自然にスペースが確保される可能性もある段階であることが分かりました。
小児矯正では、単に歯を動かすだけでなく、顎の成長のタイミングを見極めることが非常に重要です。特に顎を広げるような治療は、小学校中学年頃(8〜10歳前後)の成長期に行うことで、より効率的にスペースを確保できる場合が多くあります。
そのため、S.K.さんのようにまだ年齢が低い場合は、無理に矯正装置を使用するのではなく、まずはお口の環境を整える準備段階の治療を検討することも一つの選択肢となります。
プレオルソのような装置を用いて、舌の位置や口呼吸の改善、口周りの筋肉のバランスを整えることで、将来の歯並びが整いやすい土台を作ることが期待できます。
お子様の歯並びは、成長とともに大きく変化します。
「今すぐ矯正が必要なのか」「どのタイミングで始めるのが良いのか」は、お口の状態や成長の段階によって異なります。
歯並びや噛み合わせが気になる場合は、ぜひ一度ご相談ください。
お子様の成長に合わせた無理のない治療計画を、一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
