2026.4.20| 矯正相談集
「奥歯がうまく生えてこない…」とご相談いただいたR.Sさん(6歳・女の子)のケース
「奥歯の生え方がおかしいと言われた」「このまま歯並びが悪くならないか心配」…お子様の歯の生え変わりで不安を感じている親御様は少なくありません。
今回は、「奥歯の生え方」をきっかけに来院された6歳の女の子との初診相談時のやり取りをご紹介します。単に歯並びを見るだけでなく、将来の歯の生え変わりやかみ合わせを見据えた当院の考え方についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 6歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



上の前から6番目の永久歯(第一大臼歯)が手前に寄って生えてきたため、前から5番目の乳歯(第二乳臼歯)の根っこを食べてしまい(吸収してしまい)、前から5番目の乳歯が割れて抜けそうになっています。
ご相談のきっかけ
R.Sさんは、「奥歯がうまく生えておらず、かかりつけの歯科医院で矯正が必要かもしれないと指摘された」ことをきっかけに来院されました。
特に、奥歯(6歳臼歯)が手前の乳歯に引っかかり、正常に生えてこない状態が気になっていたとのことでした。また、「このまま放置すると歯並びが悪くなるのではないか」という点にも不安を感じられていました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?
奥歯がうまく生えていないと言われて、このままで大丈夫か心配で…
そうですね。今回の状態は、6歳臼歯が手前の乳歯に引っかかってしまい、正常な位置に生えてこれていない状態です。いわゆる「萌出障害」の一つで、一定数のお子様に見られるものです。
このままにしておくとどうなりますか?
そのままにしてしまうと、奥歯が前に倒れ込んでしまい、本来生えてくる永久歯のスペースがなくなってしまう可能性があります。その結果、将来的に歯並び全体が乱れてしまうことも考えられます。
どうやって治療するんですか?
方法としては、奥歯を後ろに誘導してあげる処置を行います。具体的には、手前の歯を支点にしてワイヤー装置を使い、奥歯が正しい位置に生えるようサポートしていきます。
早く始めた方がいいですか?
はい、できるだけ早い方が望ましいです。今の段階であれば、まだ乳歯を活かしながらコントロールできる可能性があります。ただし、数ヶ月遅れても治療自体は可能ですが、その分、乳歯が早く抜けてしまうリスクが上がります。
将来的に歯並びは大丈夫でしょうか?
今回の処置で奥歯の位置を整えておくことで、永久歯が生えるスペースを確保できます。その後、必要に応じて顎の幅を広げるなどの治療を行うことで、全体の歯並びを整えていく流れになります。
なるほど、段階的に進めるんですね。
そうですね。今は「将来きれいに並ぶための準備」の段階です。いきなりすべてを整えるのではなく、成長に合わせて必要な治療を行っていくことが大切です
よくわかりました。家族で相談してみます。
まとめ
R.Sさん(6歳・女性)のケースでは、
・「6歳臼歯(奥歯)が手前の乳歯に引っかかり、正常に生えてこない状態」に対して、奥歯を後方へ誘導する矯正的アプローチが有効であること
・乳歯の早期脱落や将来的な歯列不正を防ぐために、適切なタイミングで介入し、永久歯の萌出スペースを確保することが重要であること
という相談結果になりました。
今回の相談では、「奥歯の生え方がおかしい」「このまま歯並びが悪くなるのではないか」といったお悩みに対し、現在起きている状態(6歳臼歯の異所萌出)について分かりやすくご説明しました。また、放置した場合に起こり得る歯並びへの影響や、乳歯の役割、永久歯への影響についても丁寧にお伝えしています。
さらに、単に今の問題を改善するだけでなく、
・今後の歯の生え変わりの流れ
・顎の成長とのバランス
・将来的に必要となる可能性のある矯正治療
といった長期的な視点を踏まえた治療計画についても、多角的にご説明を行いました。
小児矯正では、「歯並びが悪くなってから治す」のではなく、「悪くならないようにコントロールする」ことが非常に重要です。特にR.Sさんのように、早期に対応することで将来的な大きな矯正を回避できる可能性があるケースでは、タイミングを見極めた適切な処置が大きな意味を持ちます。
お子様の歯の生え方や歯並びで少しでも気になることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。将来を見据えた無理のない最適な治療方法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
