| | 出っ歯の矯正相談集

「前歯が出ているのが気になる」とご相談いただいた  女性のケース 

「若い頃から気になっていたけれど、きっかけがなくて…」「この年齢からでも矯正できますか?」──
近年は、⼦育てやお仕事の区切りを機に矯正を始める40〜50代の方が増えています。

今回は、前歯の突出(出っ歯感)と下の前歯のガタつきを気にされて来院された女性との初診相談時のやり取りをご紹介します。
見た目だけでなく、噛み合わせの安定と将来の歯の健康まで見据えた当院の治療方針をお伝えします。

患者様情報

年齢非公開
性別女性

初診時の画像診断

下の歯並びにガタガタがあります。

出っ歯であり、普段もお口が開きやすいとのことでした。

ご相談のきっかけ

「いつかは歯並びを整えたい」と感じながらも機会がなく、今回、自宅の近くで矯正を専門にしている当院を知り来院されました。
「この年齢でも矯正治療ができるのか?」「どういった治療が必要になるのか」が気になるとのことでした。

患者様との実際のやり取り

はじめまして。まずは気になっている点を教えてください。

上の前歯が出て見えるのと、下の前歯のガタつきが気になります。年齢的に今からでも整えられますか?

はい、大丈夫ですよ。レントゲンと模型で拝見すると、骨格は軽度に上顎前突(出っ歯傾向)、加えて上の前歯の前方傾斜が目立つタイプです。
奥歯の関係は、理想の噛み合わせよりも左右ともに出っ歯傾向で、前後差は4〜5mm程度です。骨格のズレもありますが歯で補正可能な範囲です。

どのくらい治せますか? 抜歯は必要でしょうか。

矯正治療のゴール設定によります。
100点に近い噛み合わせを目指す(口元をしっかり引きたい):上顎の小臼歯抜歯を併用し、上の前歯を後方移動します。(状況により上下顎を検討します。)
70〜80点(自然に目立ちにくく):非抜歯+歯のやすりがけ(IPR)でスペース確保し、可能な範囲で後方へ。
年齢要因で骨がやや硬く、移動量に
制限があるため、確実な口元の後退を望むなら上顎のみ抜歯が有利です。下はIPRで十分と考えられます。

装置はワイヤーとマウスピース、どちらがいいでしょう?

どちらでも治療可能ですが、
抜歯でしっかり口元を引きたい:ワイヤー矯正が得意です
非抜歯で自然に改善:マウスピースが得意です(食事・歯磨きが楽、自己管理が必要です)。
抜歯を伴う大きめの後方移動や微細な噛み合わせの仕上げはワイヤーに分があります。見た目の配慮は可能です。

矯正期間はどれくらいですか?また、痛みや生活への影響はありますか?

動的治療は約2-3年が目安です。
痛みは装置装着後数日間の痛みが一般的です。お食事は数日やわらかめにするといいでしょう。
治療後はリテーナーを2年使用して安定を図ります。

詳しくありがとうございます。少し家に持ち帰って家族とも検討します。

まとめ

こちらの患者様のケースでは、

・上顎前突(口元の突出感)と下顎前歯の叢生に対して、上顎小臼歯の抜歯を含む矯正が有効であること
・歯槽骨の範囲内で安全に動かすため、非抜歯+IPR(やすりがけ)の選択肢も提示しつつ、口元の後退量と歯周組織の安定性のバランスを見極めて計画することが重要であること
がわかりました。

今回の診察では、見た目としての「前歯の突出」や「横顔(側貌)の印象」だけでなく、
抜歯の有無による後退量の違い、ワイヤー矯正/マウスピース矯正の適性、
年齢に伴う骨の硬さを踏まえた移動量の上限、治療後のリテーナーによる安定化まで、将来的な安定性と審美性を見据えた多角的なご説明を行いました。

成人矯正では、単に歯を整えるだけではなく、Eラインや口唇の位置、咬合の機能、歯周の健康を含めた全体を考慮した治療計画が重要です。
特に本ケースのように、骨格は歯で補正可能な範囲で、かつ口元の後退を希望される場合、
上顎の選択的抜歯や、非抜歯+IPRでの自然な改善など、
ご希望のゴールに合わせて無理のない計画を立てることで、自然で調和のとれた仕上がりを目指すことが可能です。

口元の印象や前歯の突出でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
シミュレーションも活用しながら、負担・期間・仕上がりのバランスを取りつつ、最適な治療法を一緒に考えていきましょう。

この記事の執筆・監修者

なおき矯正歯科・小児矯正歯科 院長

吉田 尚起 日本矯正歯科学会 認定医

大阪大学歯学部を卒業後、同大学院歯学研究科にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大阪大学歯学部附属病院 矯正科に7年間在籍し、小児矯正から成人矯正、外科矯正、口唇口蓋裂や骨格性の難症例まで、これまでに300症例以上の矯正治療に携わってきました。

自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。

歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会 認定医(2023年取得)として、豊中市宮山町で、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。

  • 日本矯正歯科学会 認定医(2023年取得)
  • 博士(歯学)/大阪大学大学院歯学研究科
  • 大阪大学歯学部附属病院 矯正科 元医員
なおき矯正歯科・小児矯正歯科 院長 吉田 尚起(日本矯正歯科学会 認定医)

本記事は、なおき矯正歯科・小児矯正歯科 院長・吉田 尚起(歯科医師/日本矯正歯科学会 認定医)が執筆・監修しています。記事の内容は診療ガイドラインや学会発表等をもとに作成していますが、歯並びや咬み合わせの状態、適切な治療開始時期には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず矯正歯科にご相談ください。

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