2026.4.2| 矯正相談集
「出っ歯と埋伏歯が気になる…」とご相談いただいたH.Wさん(11歳・女の子)のケース
「前歯が出ている気がする」「歯がちゃんと生えてこないところがある」…成長期のお子様の歯並びや生え変わりについて、不安を感じている親御様は少なくありません。
今回は、出っ歯と歯の生え方についてご相談いただいたH.Wさんの初診相談時のやり取りをご紹介します。見た目だけでなく、歯の根や将来的なリスクまで踏まえた当院の相談内容についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 11歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



出っ歯の歯並びをしています。
レントゲンで確認すると、上の前から3番目の歯が顎の骨の中で前から2番目の歯の根っこを吸収していました。
ご相談のきっかけ
H.Wさんは、「前歯の突出(出っ歯)」と「うまく生えてきていない歯があること」をご家族が気にされて来院されました。
これまで本格的な矯正相談は受けておらず、「このままで大丈夫なのか」「将来的に矯正が必要なのか」を知りたいということでご相談くださいました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?
出っ歯なのと、歯がちゃんと生えてきてないところが気になります。
そうですね、実際に拝見すると、前歯の突出(出っ歯傾向)に加えて、奥歯の位置関係も前方にずれている状態です。
また、レントゲンでは、本来生える位置に対して犬歯(3番目の歯)が前方に向かって進んでおり、隣の歯(前から2番目の歯)の根に影響を与えている可能性があります。
それって大丈夫なんですか?
このまま放置すると、前から2番目の歯の根っこがさらに短くなり、将来的に歯の寿命に影響が出る可能性が高いです。
そのため、単に「歯並びを整える」という目的だけでなく、歯を守るという意味でも早めの対応が重要なケースです。
治療はどういうことをするんですか?
まずは埋まっている歯を適切な位置へ誘導する処置(牽引)を行う必要があります。
その上で、出っ歯を改善するためにスペースを確保しながら歯を後方へ移動させていきます。
場合によっては、出っ歯を治すために一般的に抜く歯を抜歯するのか、健康な歯を残すためにすでにダメージを受けている歯を抜歯するのかといった重要な判断が必要になります。
治療期間はどれくらいですか?
埋伏歯の牽引に約半年〜1年、その後の全体矯正で約2年程度が目安になります。
わかりました。次回の診断の予約をお願いします。
まとめ
H.Wさんのケースでは、
・「上顎前突(出っ歯傾向)」に対して、歯を後方へ適切に移動させる矯正治療が必要であること
・「埋伏している犬歯(3番目の歯)」が隣の歯の根に影響を与えているため、早期に牽引(引き出し)を行い、歯のダメージを最小限に抑える必要があること
・限られた歯根の状態の中で、どの歯を残すか・どの歯を抜歯するかを慎重に見極めることが重要です
という相談結果になりました。
今回の相談では、見た目としての「出っ歯」や「歯並びのガタつき」といったお悩みだけでなく、レントゲン上で確認された歯根の短さや、埋伏歯による隣接歯への影響といった将来的なリスクについても詳しくご説明しました。さらに、抜歯の選択によるメリット・デメリットや、歯の寿命への影響など、長期的な視点での治療方針をご提案しています。
思春期の矯正では、単に歯を並べるだけでなく、「歯を守るための治療」という観点が非常に重要になります。特にH.Wさんのように、歯の位置や根の状態に注意が必要なケースでは、タイミングと治療計画の精度が仕上がりを大きく左右します。
歯並びだけでなく、「歯の生え方」や「将来的な歯の健康」に不安がある方も、ぜひ一度ご相談ください。ご本人の状態に合わせた、無理のない最適な治療方法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
