2025.11.19| 矯正相談集
「前歯のすき間と出っ歯が気になる…」とご相談いただいた9歳・女の子のケース
「前歯の真ん中にすき間がある」「少し出っ歯っぽく見える」──
お子様の前歯の見た目について、不安や疑問を感じてご相談にいらっしゃる親御様は少なくありません。
今回は、「前歯のすき間」と「前歯の出っ張り」が気になるとのことで来院された9歳の女の子との初診相談時のやり取りをご紹介します。
ただ前歯をきれいに並べるだけではなく、顎の成長や骨格バランスも踏まえた当院の相談内容についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 9歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



上の前歯がすきっ歯になっています。
出っ歯傾向があり、上下の前歯に前後的なスペースがあります。
ご相談のきっかけ
お母様から「前歯のすき間」と「出っ歯気味に見えること」が気になるとご相談いただきました。
最近通っている歯科検診の場で、上の前歯の間にあるスジ(上唇小帯)の話が出たこともあり、
- 「このスジを切らないとすき間は閉じないのか」
- 「矯正をした方が良いのか、まだ様子を見ていいのか」
といった点について、きちんと説明を聞きたいとのことで来院されました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えてもらえますか?
前歯のすき間と、少し出っ歯っぽく見えるところです。
前に「ここを切るといいかも」と言われたこともあって、心配で…。
前歯の間のスジは「上唇小帯」といって、どなたにもある組織です。
お子さんの場合、このスジが原因で絶対に閉じない、というほど強く入り込んではいないので、現時点で切る必要はありませんし、矯正だけで十分閉じていきますよ。
一方で、レントゲンとスキャンを見てみると、上あご全体が前に位置していて、前歯も一緒に前に出ている(出っ歯傾向)ことが分かります。
前歯だけの問題じゃなくて、奥歯から上あご全体が前なんですね…。
そうなんです。ですので、前歯のすき間(正中離開)と上あご全体の前突(出っ歯傾向)この 2つをしっかりと矯正治療で治療していく必要があります。
方法としては、
ワイヤー矯正+ヘッドギアという装置を使います。ワイヤーで前歯を並べつつ、ヘッドギアで上あごの前方向の成長をコントロールして、全体を奥へ下げていく方法。
もう一つは、マウスピース矯正+顎外ゴムを使用します。マウスピースにゴムをかけて前歯を下げながら、すき間も同時に閉じていく方法です。
どちらでも出っ歯とすき間は改善できますが、よりしっかり上あごの位置をコントロールできるのはヘッドギア+ワイヤーの方かな、という印象です。
ヘッドギアはちょっと大がかりなイメージもあって…。マウスピースの方が楽そうにも聞こえますね。
そうですね。
マウスピースは取り外しができて見た目も自然ですが、
「自分で決めた時間きちんとつけられるか」という 自己管理がとても大事になります。ワイヤーは一度つけてしまえば、ご本人が外す心配がない、忘れてしまうことがないという意味で、治療の確実性は高いです。
どちらが向いているかは、ご本人の性格や生活スタイルも含めて一緒に考えていきましょう。
治療期間はどれくらいかかりますか?
いまの小児矯正治療(一期矯正)は、およそ 2年ほどで、前歯のすき間が閉じること、出っ歯傾向が改善する、顎の成長を正しい方向へ誘導できるところまで進みます。
そして12歳前後、大人の歯が全部そろった時点で、“二期治療(本格矯正)”をするかどうかを改めて判断します。
詳しくありがとうございます。切らなくていいこと、いくつか方法があることが分かってすごく安心しました。
一度、家族で話し合って、検査の予約をお願いしようと思います。
まとめ
患者様のケースでは、
・前歯のすき間(正中離開)と、上顎前突傾向による“出っ歯”が見られること
・上顎の成長方向を整えつつ、前歯と噛み合わせのバランスを改善する小児矯正が有効であること
が確認できました。
今回の診察では、見た目としての「すきっ歯」「前歯の前突」といったお悩みだけでなく、
上顎の成長の影響、噛み合わせのずれ、今後生えてくる永久歯のスペース不足など、
お子様の成長期特有のポイントを踏まえたご説明を行いました。
小児矯正では、単に歯をきれいに並べるだけでなく、
“顎の成長を適切な方向へ誘導すること”が非常に重要です。
患者様のように
・上顎がやや前に位置している
・永久歯の大きさに対して歯列のスペースが不足している
といったケースでは、早期に顎の幅を広げたり、成長を利用して前歯の傾きを整えたりすることで、
将来的なかみ合わせの安定につながり、抜歯の必要性を減らすことにも貢献します。
また、前歯のすき間に関しては、スジを切除せずとも矯正のみで閉じられるケースであり、
過度な処置は行わず、成長と歯の動きを見ながら負担の少ない方法をご提案しました。
お子様の歯並びで少しでも「気になる」「このままで良いのかな」と感じることがあれば、
ぜひ一度ご相談ください。
成長期の“今だからこそできる治療”を最大限に活かし、
将来の噛み合わせまで見据えた最適な治療法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
