2025.11.10| 矯正相談集
「下の前歯が子供の歯の後ろから生えてきた」とご相談いただいた T.Iさん(6歳・女の子)のケース
「下の前歯が後ろから生えてきた」「このままで大丈夫?」──
乳歯が抜ける時期や生え変わり方について、不安を感じてご相談くださる親御さまは多くいらっしゃいます。
今回は、「下の歯が内側から生えてきた」と心配されて来院された6歳の女の子、T.Iさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。
永久歯への生え変わり期に大切な“歯と顎の成長バランス”を整えるための、当院の考え方についてお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 6歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



下の前歯が子供の歯の後ろから生えてきています。前後が二枚歯のような状態になっています。
上下の歯並びにガタガタがあります。
ご相談のきっかけ
T.Iさんは、下の前歯が後ろから生えてきて「二重歯列のようになっている」と心配され、ご家族で一緒にご来院されました。
矯正の相談は初めてとのことでした。
患者様との実際のやり取り
こんにちは。今気になっているのは、この下の前歯のところですか?
そうなんです。乳歯がまだ抜けていないのに、後ろから大人の歯が生えてきてびっくりしてしまって…。」
そうでしたか。実はこの生え方は6歳頃によく起きることです。下の前歯はもともと“少し内側(舌側)から”生えてくる傾向があります。
ただ、このまま放っておくと乳歯が抜けづらく、歯並びのガタガタがひどくなってしまうこともあるので、乳歯を少し早めに抜いてあげるのがおすすめです。
そうなんですね。やっぱり抜いた方がいいんですね。
はい。すでに永久歯がしっかり生えてきているので、乳歯は自然には抜けにくいと思います。
今日抜いてしまっても大丈夫ですし、歯を抜く処置自体は数秒で終わりますよ。
お願いします。本人も頑張れると思います。
わかりました。一緒に頑張りましょう!
また、この年齢では、顎の成長を正しい成長方向に整えることも大切です。
現在の乳歯(子供の歯)の歯列でもガタガタがあるため、永久歯(大人の歯)の歯列でも今後ガタガタが予想されます。夜だけ使う“プレオルソ”というマウスピース型の装置でお口周りの筋肉の状態を整えて、お口の環境を整えていくのもおすすめです。
聞いたことあります!それっていつから始めるのがいいんですか?
プレオルソは、6歳頃が目安です。
お口の環境を良くしておくことで、将来の選択肢を増やしておくことにつながります。
なるほど。今の時期にできることがあるのは安心です。一度、家族で検討します。
まとめ
T.Iさんのケースでは、
・「下の前歯が内側から生えてきた(二重歯列)」に対して、早期の乳歯抜歯でスペースを確保し、永久歯の自然な生え替わりを促すこと
・今後予測される歯列のガタガタに備えて、顎の成長と筋肉バランスを整えるプレオルソ装置による早期介入が有効であること
が確認されました。
今回の診察では、「下の歯が後ろから生えてきた」と驚かれていたお母さまに対して、
これはよくある生え替わりの過程であり、現時点での心配はいらないことをご説明しました。
また、乳歯の抜歯を行うことで永久歯が自然に前へ移動し、今後の歯並びが改善されやすくなること、
さらに顎の発育をサポートする装置(プレオルソ)の活用で、将来的な矯正が軽減できる可能性についてもお話ししました。
小児矯正では、歯を動かすことよりも、成長期に「正しい環境」を整えることが大切です。
特にT.Iさんのように、生え変わりが始まったばかりのお子さまは、
顎の発育やお口まわりの筋肉の使い方を整えてあげることで、自然な歯並びへ導くことが可能です。
お子さまの歯の生え替わりや歯並びが気になる方は、ぜひお早めにご相談ください。
将来の歯並びを守る第一歩として、無理のない最適な方法をご提案いたします。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
