2026.5.27| 矯正相談集
「顎が痛く、歯ぎしりが気になる…」とご相談いただいたI.Yさん(20歳・男性)のケース
「顎が痛い」「歯ぎしりが気になる」「噛み合わせが浅い気がする」…見た目では大きな歯並びの乱れがなくても、噛み合わせや顎への負担をきっかけに矯正相談へ来られる方は少なくありません。
今回は、「顎の違和感や歯ぎしりが気になる」とご相談いただいた20歳男性、I.Yさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。見た目だけでは分かりにくい“噛み合わせのズレ”と、将来的な歯への負担まで見据えた当院の治療方針についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 20歳 |
| 性別 | 男性 |
初診時の画像診断



やや受け口の骨格と噛み合わせをしています。そのため、うまく噛み合っていない歯があります。
前歯の噛み合わせが浅いです。
ご相談のきっかけ
I.Yさんは、「顎がカクカク鳴る、朝起きた時に顎が痛い」「前の噛み合わせが悪い気がする」「歯ぎしりをしていると言われた」とのお悩みで来院されました。
以前からナイトガードを使用されていましたが、「最初は少し楽になったものの、最近また噛みしめが強くなってきた気がする」と感じていたそうです。
また、「歯並び自体はそこまで悪いと思っていなかったが、噛み合わせが関係しているのが気になった」と、一度専門的な相談を受けてみたいとのことでご相談くださいました。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?
顎が痛いというか、音が鳴ったり、朝起きた時にしんどい感じがあります。歯ぎしりもあるみたいで…。歯の噛み合わせも悪いです。
なるほど。実際に歯並びを見せていただくと、見た目としては大きなガタつきは少ないですね。
ただ、前歯の噛み合わせが少し浅い状態です。本来は上の前歯が下の前歯を2〜3mmほど覆うのが理想なんですが、I.Yさんの場合は前歯同士がほぼ先端で当たる“切端咬合”に近い状態になっています。
それって、顎の痛みとも関係あるんですか?
可能性はありますね。噛み合わせが浅いと、しっかり噛める歯の数が少なくなって、一部の歯や顎関節に負担が集中しやすくなるんです。
また、奥歯の噛み合わせにも少しズレがあって、下顎がやや前方に成長している傾向も見られます。
なるほど…。歯並びを治したら、歯ぎしりも治るんでしょうか?
そこは誤解されやすいところなんですが、歯ぎしりや顎関節症は“歯並びだけ”が原因とは限りません。
もちろん、噛み合わせを整えることで歯や顎への負担が減って、症状が楽になる方もいらっしゃいます。ただ、ストレスや睡眠の質などが関係しているケースもあるので、矯正だけで完全になくなるとは言い切れないんです。
もし治療するとしたら、どんな方法になりますか?
I.Yさんの場合、噛み合わせをしっかり整えて、上下の多くの歯が安定して当たる状態を目指す治療になります。
方法としてはワイヤー矯正でも可能ですが、奥歯のコントロールや噛み合わせの微調整を考えると、マウスピース矯正とも相性が良いケースですね。
マウスピース矯正でも、そこまで細かく治せるんですね。
はい。I.Yさんのように大きなガタつきが少ないケースでは、マウスピース矯正が得意とする動きも多いです。
特に、奥歯を少しコントロールしながら前歯の噛み合わせを整えることで、後戻りしにくい安定した噛み合わせを目指せる可能性があります。
なるほど、よく分かりました。検査をして帰ります!
まとめ
I.Yさんのケースでは、
・「浅い噛み合わせ(切端咬合傾向)」や「顎関節への負担」に対して、上下の咬み合わせを安定させる矯正治療が有効であること
・見た目だけではなく、歯ぎしりや噛みしめによる歯・顎への負担を長期的に軽減できるよう、咬合バランスを重視して治療計画を立てることが重要です
という相談結果になりました。
今回の相談では、「歯並び自体はそこまで悪くない」と感じられていたI.Yさんに対して、前歯の噛み合わせの浅さや奥歯の接触バランス、顎関節への負担などを詳しくご説明しました。
また、「歯ぎしり=歯並びだけが原因ではない」という点も踏まえた上で、矯正によって咬み合わせを安定させることで、歯や顎への負担軽減が期待できること、さらにマウスピース矯正による細かな咬合調整の可能性についてもご説明を行いました。
成人矯正では、単に歯をきれいに並べるだけではなく、「しっかり噛めること」「歯や顎関節に負担をかけにくいこと」まで含めて、総合的にバランスを整えることが重要です。
特にI.Yさんのように、大きな歯列不正は少なくても、咬み合わせや顎関節に問題を抱えているケースでは、機能面まで考慮した矯正治療によって、より安定した口腔環境を目指すことが可能です。
顎の違和感や歯ぎしり、噛み合わせでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。将来的な歯の健康まで見据えた最適な治療方法を、一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
