2026.7.24| コラム
子供のマウスピース矯正は寝るときだけで効果ある?装置別の装着時間と注意点を矯正認定医が解説

「学校ではつけなくていい」「寝ている間だけで歯並びが整う」
お子さまの矯正について調べていると、こうした説明を目にすることがあります。同時に「本当にそれだけで効果が出るのだろうか」という気持ちも浮かんでくるのではないでしょうか。
結論から申し上げると、寝るときだけの装着で効果が期待できる装置と、それでは足りない装置があります。両者を分けているのは、その装置が何を目的につくられているかという一点です。目的が違えば必要な装着時間も変わり、治療で目指せるゴールも変わります。
本記事では、大阪府豊中市のなおき矯正歯科・小児矯正歯科の院長で、日本矯正歯科学会認定医・歯学博士の吉田尚起が、装置ごとの装着時間の目安、寝るときだけで整えられる範囲とそうでない範囲、費用や保険の扱い、そしてお子さまが装置を続けられるようになるご家庭での工夫までご説明いたします。
目次
子供のマウスピース矯正は「寝るときだけ」で効果が出るものと出ないものがあります

子どものマウスピース矯正と呼ばれる装置には、いくつもの種類があります。名前だけを並べると違いが見えにくいのですが、目的で分けると2つのグループになります。
ひとつは、舌の位置やお口まわりの筋肉の使い方を整えるための装置です。もうひとつは、歯を1本ずつ動かして並べるための装置です。前者は就寝中の装着を前提に設計されており、後者は1日の大半を装着して過ごすことを前提に治療計画が組まれています。
「うちの子が勧められたのは、どちらなのだろう」
まずはその点を確かめていただくところから始まります。それぞれのグループについて、順にご説明いたします。
なお、この2つはどちらも「子どものマウスピース矯正」と呼ばれます。同じ言葉で説明されるため、寝るときだけでよいという情報と、1日20時間以上必要だという情報が同時に目に入り、どちらが正しいのか分からなくなってしまいます。どちらの情報も、それぞれの装置については正しいということになります。
寝るときだけで効果が期待できるのは、お口まわりの筋肉と舌の位置を整えるタイプの装置
プレオルソ、T4K、マイオブレース、ムーシールドといった装置は、筋機能矯正装置と呼ばれます。これらは歯を直接押して動かす装置ではありません。
装置をお口に入れると、舌が持ち上がる位置に導かれ、唇が閉じた状態を保ちやすくなります。この状態を毎晩続けることで、舌やお口まわりの筋肉の使い方が変わり、歯が並ぶ環境そのものに働きかけていく、という考え方の装置です。
眠っている間は、装置を外してしまうことがなく、飲食もしません。筋肉の使い方に働きかけるうえで都合のよい時間帯であるため、これらの装置は就寝中の装着を前提に設計されています。日中は1〜2時間の装着を加えることが一般的で、学校や園に持っていく必要はありません。
歯を1本ずつ動かすタイプの装置は、寝るときだけでは装着時間が足りません
一方、インビザライン・ファーストに代表される装置は、透明なマウスピースを1〜2週間ごとに交換しながら、歯を計画された位置へ少しずつ移動させていきます。この場合、必要な装着時間は1日20時間以上とされています。
ここで、睡眠時間と比べてみます。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生に9〜12時間、中学・高校生に8〜10時間の睡眠時間を確保することが推奨されています。仮に9時間眠ることができたとしても、20時間には11時間足りません。
つまり、寝るときだけの装着では、治療計画が想定している時間の半分にも届かないということになります。これはお子さまの努力の量の問題ではなく、1日の時間配分の問題です。
装着時間の目安は、装置によって1日8時間から22時間まで幅があります
代表的な装置の装着時間の目安を並べると、次のようになります。
プレオルソ・T4K・マイオブレース:就寝中と日中1〜2時間(1日合計8時間前後)
ムーシールド(ムーシールド・CLIII):主に就寝中
床矯正・拡大床:1日12〜14時間
インビザライン・ファースト:1日20時間以上
こうして並べてみると、判断の軸がはっきりしてきます。目的がお口まわりの筋肉と舌の位置を整えることであれば8時間前後、歯をきれいに並べることであれば20時間以上、という考え方です。
ただし、これはあくまで一般的な目安です。同じ装置でも、お子さまの歯並びの状態や成長の段階によって、担当の歯科医師から異なる指示が出ることがあります。実際の装着時間は、必ず治療を受けている歯科医院の指示に従ってください。
寝るときだけの装着で使える子供の矯正装置の種類

ここからは、就寝中の装着を中心に使う装置を一つずつ見ていきます。それぞれ対象となる時期、装着時間、目指すゴールが異なりますので、お子さまの状況と照らし合わせながらお読みください。
プレオルソ(現在の製品名はプレオルソX)
装着時間の目安
プレオルソは、日本の歯科医師が開発した既製品のマウスピース型装置です。メーカーの説明では「家にいる時間に使用します」とされており、国内の歯科医院では就寝中と日中1〜2時間、1日合計8時間前後という運用が一般的です。学校や園に持っていく必要がないため、お子さまが友だちの目を気にすることはありません。
3つのタイプがあり、歯並びの状態で使い分けます
プレオルソには3つのタイプがあります。タイプIは、上の前歯が前に出ている状態、歯が重なってガタガタしている状態、噛み合わせが深い状態、そして治療後の保定に用いられます。タイプIIは前歯が閉じない開咬に、タイプIIIは受け口(反対咬合)に用いられます。さらに、それぞれソフトとハードの2種類の硬さが用意されています。
「同じプレオルソなら、どの子にも同じものを使うのでは」と思われるかもしれませんが、実際には歯並びの状態を診てタイプと硬さを選びます。なお、現在はプレオルソXという製品にリニューアルされており、装置の高さが低くなったことで痛みの訴えが少なくなり、お口に収まりやすくなっています。
素材と装着感
やわらかいポリウレタン製で、歯に強い力をかけて動かす装置ではないため、装着したときの痛みはほとんど出ないとされています。装置を温めることで、お口に合わせて形を調整することもできます。
ひとつ知っておいていただきたいのは、装置には使用できる期間があるという点です。毎晩使い続けると表面に細かな傷がつき、素材も少しずつ劣化していきます。そのため、1年ごとに新しい装置へ交換する方針をとっている歯科医院もあります。追加の費用がかかるかどうかは医院によって異なりますので、始める前に確認しておくと安心です。
T4K・マイオブレース(混合歯列期・6〜12歳頃)
装着時間と目的
T4Kは、オーストラリアのメーカーが開発した筋機能矯正装置です。メーカーの説明では、昼間1〜2時間と就寝中に使用するとされています。舌の位置、指しゃぶり、口が開いたままになる状態といったお口のクセに働きかけ、永久歯が正しい位置に生えてくるよう導くことを目的としています。
対象となるのは、乳歯と永久歯が混在している混合歯列期のお子さまです。メーカーの製品表記では6〜12歳が目安とされています。素材は、やわらかいシリコン製のソフトタイプから使い始め、半年から8か月ほどでポリウレタン製のハードタイプへ移行するという使い方が一般的です。
使用する期間は、一般的に1年から2年程度が目安とされています。その後、お子さまの状態に応じて、歯を並べる治療へ移ることもあれば、この段階で一度終えることもあります。
マイオブレースとの関係
マイオブレースは、T4Kと同じメーカーの装置です。対象年齢は3〜15歳とされ、1日1時間と夜間の就寝中に装着します。装置を使うだけでなく、筋機能のトレーニングを組み合わせて進めていく点が特徴です。名前が似ているため混同されやすいのですが、どちらを使うかは歯科医院の方針とお子さまの状態によって決まります。
使えないケースがあります
ここは、必ず知っておいていただきたい点です。メーカーは、この装置が使えないケースとして、骨格性の受け口(骨格性クラスIII)、慢性的な鼻の障害があって装置を装着できない場合、そしてお子さまの協力が得られない場合を挙げています。
つまり、受け口であればどのお子さまにも使えるというわけではありません。下あごの骨そのものが前に出ているタイプの受け口には、別の装置を検討することになります。「受け口だから筋機能矯正装置で」と単純に決められるものではない、ということです。
ムーシールド(現在の製品名はムーシールド・CLIII)
受け口のお子さま向けに、主に夜間装着します
ムーシールドは、受け口(反対咬合)の早期初期治療に用いる装置です。お口に入れると舌が持ち上がる構造になっており、唇からの圧力が歯にかからないように設計されています。主に夜間に装着しますが、就寝中は無意識の状態ですので、日中に正しい使い方を練習しておくことが勧められています。
現在は後継品に切り替わっています
情報を調べる際に、注意していただきたい点があります。従来のムーシールドは、Sサイズが2024年7月、Mサイズが2025年3月をもって販売を終了しました。現在は後継品のムーシールド・CLIIIが用いられています。素材も従来のポリメタクリル酸メチルからポリアミド樹脂に変更され、ヒビや破損に対する強度が高まっています。インターネット上には旧製品を前提とした情報も残っていますので、実際に使用する装置については歯科医院でご確認ください。
サイズによって対象時期が変わります
「ムーシールドは3歳から5歳の装置」と説明されていることがありますが、これは一部のサイズの話です。メーカーの推奨では、Sサイズが3〜5歳頃の乳歯列期、Mサイズが6〜11歳頃の第一大臼歯が生えた時期以降とされています。さらにサイズ違いの製品も加わっており、対象となる年齢の幅は広がっています。
なお、素材はやわらかいものではありません。唇からの圧力を適切に排除するために、しっかりとした硬さのある素材が採用されています。「やわらかいマウスピースだから痛くない」という説明とは、前提が異なる装置です。
必ず改善するとは限りません
この装置を使えば受け口が必ず治る、というものではありません。現状より改善することが多い一方で、乳歯の犬歯まで噛み合わせが逆になっている場合は、この装置だけでの改善が難しいことがあります。改善しきらなかった場合は、生え変わりの時期を待って別の治療を検討することになります。始める前に、どこまでを目指す治療なのかを確認しておいてください。
床矯正・拡大床(6〜11歳頃)
広げているのは「顎の骨」ではなく「歯列の幅」です
ここは、説明が曖昧になりやすい部分です。取り外し式の拡大床は、緩徐拡大装置と呼ばれるグループに入ります。中央のネジを少しずつ回すことで装置が広がり、歯を外側に傾けながら歯列の幅を広げていきます。
つまり、広がっているのは主に歯が並んでいる部分であって、上あごの骨そのものが大きく広がるわけではありません。「顎を広げる装置」と一括りに説明されることが多いのですが、実際に起きていることは歯の傾きの変化が中心です。この違いを知っておくと、治療の説明を受けたときに理解しやすくなります。
上あごの骨を広げる場合は固定式の急速拡大装置を使います
上あごの骨は、左右2つの骨が正中口蓋縫合というつなぎ目でつながっています。このつなぎ目に働きかけて骨の幅を広げるのが、急速拡大装置です。こちらは歯に固定する装置で、お子さま自身が取り外すことはできません。
つなぎ目が閉じる前の時期にしか使えない装置であるため、開始できる時期が限られます。「寝るときだけ」という選択肢とは、そもそも別のカテゴリの治療になります。
就寝中だけでは装着時間が不足しやすい理由
拡大床の装着時間の目安は、1日12〜14時間程度とされています。仮に9時間眠ったとしても、3〜5時間足りません。
そこで、帰宅後の時間を加えることになります。たとえば夕方5時に帰宅して装置をつけ、翌朝7時に外すことができれば14時間になります。食事と歯みがきのときには外しますので、その分を差し引いても目安に近づきます。「寝るときだけ」ではなく「家にいる間はつけておく」と考えていただくほうが、実際の運用に近くなります。
広げたあとには、安定させる期間が必要です
拡大床による治療は、歯列を広げる期間だけで終わりではありません。広げた状態を安定させる期間が続きます。この期間を確保しないと、広げた分が戻ってしまうことがあります。「ネジを回し終えたら終了」ではないという点も、あわせて知っておいていただければと思います。
リテーナー(保定装置)は、治療後期に夜だけの装着へ移ることがあります
「寝るときだけのマウスピース」を調べている方の中には、治療そのものではなく、治療が終わったあとの装置を探している方もいらっしゃいます。それがリテーナー(保定装置)です。
歯を動かし終えた直後は、歯を支える組織がまだ落ち着いていません。そのため、食事と歯みがきの時間を除いて、ほぼ一日中装着していただくことから始まります。その後、歯並びの安定を確認しながら段階的に時間を減らしていき、最終的に就寝中のみの装着へ移っていくという流れが一般的です。
ここで大切なのは、この切り替えの時期を自己判断で決めないことです。見た目には安定しているように見えても、歯を支える組織の作り替えが終わっていないことがあります。時期を早めた結果、数週間から数か月で歯並びが戻ってしまうこともあります。装着時間を減らすタイミングは、必ず担当の歯科医師にご確認ください。
装置を始める時期は、年齢よりも歯の生え変わりで判断します
「何歳から始めればよいですか」というご質問を多くいただきます。ただ、実際の判断は年齢そのものよりも、歯の生え変わりがどこまで進んでいるかによって変わります。
3〜5歳頃:受け口が気になる場合の相談時期
乳歯が生え揃った頃に、下の前歯が上の前歯より前に出ている状態が続いている場合は、この時期から相談していただく意味があります。受け口は、ほかの歯並びの状態よりも早い時期に対応を検討することが多いためです。
6〜8歳頃:前歯が生え変わり、選択肢が広がる時期
上の前歯が永久歯に生え変わってくると、歯並びの傾向がはっきり見えてきます。筋機能矯正装置も、拡大床も、この時期が主な対象になります。
9歳以降:歯を並べる治療へ切り替える判断が必要になる時期
永久歯が増えてくると、筋肉や舌の位置に働きかけるだけでは対応しきれない部分が出てきます。歯を直接動かす治療を組み合わせるかどうかを判断する時期です。あわせて、あごの成長が残っている期間も短くなっていきますので、成長を利用する治療を選べる時間には限りがあります。
なお、プレオルソについては、メーカーが適応年齢を明示していません。「何歳だからこの装置」ではなく、生え変わりの段階と歯並びの状態を診たうえで選ぶ、という考え方が実態に近いといえます。当院では、レントゲンで永久歯の位置とあごの成長段階を確認したうえで、装置と開始時期をご提案しています。
寝るときだけでは効果が出にくい装置と、その理由

インビザライン・ファーストなど、本格的なマウスピース矯正
1日20時間以上の装着を前提に治療計画が組まれています
インビザライン・ファーストは、お子さま向けに用意された透明なマウスピース型の装置です。1〜2週間ごとにマウスピースを交換しながら、歯を計画された位置へ移動させていきます。
このとき、1枚のマウスピースで動かせる量はごくわずかです。その動きは、1日20時間以上装着していることを前提に計算されています。装着時間が短いと、次のマウスピースに交換する時期になっても歯が想定の位置まで動いておらず、新しいマウスピースが入らなくなることがあります。
装着時間のほかに、開始できる条件も定められています
見落とされがちな点ですが、この装置には開始できる条件が定められています。第一大臼歯が生えていること、前歯が一定以上生えていること、そして乳歯または未萌出の永久歯が一定数残っていることなどです。
つまり「装着時間さえ守れば、どのお子さまでも始められる」というわけではありません。生え変わりの進み具合によっては、そもそも対象にならないことがあります。
歯の位置を大きく変えたい場合
前歯が大きく前に出ている、歯の重なりが強いといった状態では、そもそも歯が並ぶスペースが足りていないことが少なくありません。この場合、就寝中のみ使う装置だけでは対応しきれず、スペースを確保する治療を組み合わせることになります。
歯が動くのは、弱い力がかかり続けている間だからです
なぜ装着時間がこれほど重視されるのか。歯が動く仕組みを知っていただくと、理由がはっきりします。
歯と、歯を支えている骨との間には、歯根膜という組織があります。装置で歯に力を加えると、押される側の歯根膜には骨を吸収する細胞が現れ、引っ張られる側には骨をつくるもとになる細胞が現れます。この2つが同時に働くことで、歯は骨の中をゆっくり移動していきます。
ここで重要なのは、必要なのが強い力ではなく、弱い力が続いている状態だという点です。強すぎる力をかけると歯根膜の中の血流が止まってしまい、かえって歯は動かなくなります。矯正治療で「弱い力を長時間」といわれるのは、このためです。
そして、力がかかっていない時間が長くなると、動かした歯は元の位置に戻ろうとします。装着できない日が続くと、進んだ分と戻った分が相殺され、治療が足踏みする状態になります。装着時間の話は、この仕組みから来ているものです。
また、この仕組みは「長くつければつけるほど早く終わる」という意味ではありません。歯を動かす速さには限りがあり、無理に急ごうとすると歯の根や周囲の組織に負担がかかります。装着時間の目安が装置ごとに決まっているのは、その速さに合わせた設計になっているためです。
「寝るときだけで治ります」と説明されたときに確認しておきたいこと
ここまでお読みいただくと、「寝るときだけで治ります」という説明が、装置によって意味の変わるものだとお分かりいただけるかと思います。説明を受けた際には、次の4点を確認しておくと、後から迷いにくくなります。
ひとつめは、使う装置の名前です。プレオルソなのか、T4Kなのか、拡大床なのかによって、期待できることが変わります。
ふたつめは、その装置の目的です。舌の位置と筋肉の使い方を整えることが目的なのか、歯を並べることが目的なのかを確認してください。
みっつめは、治療のゴールです。「どこまで整った状態を目指すのか」を、始める前に共有しておくことが大切です。
よっつめは、そのあとにII期治療が必要になるかどうかです。必要になる可能性があるのであれば、費用の総額も含めて確認しておくと安心です。
説明を聞いても納得しきれない部分が残るようでしたら、矯正を専門とする歯科医院で改めて診てもらうという選択肢もあります。当院にも「他院で勧められた装置が本当に合っているのか確認したい」というご相談が多く寄せられています。
寝るときだけの子供の矯正で得られること・得られないこと

寝るときだけの装着で得られること
学校や習い事の時間に装置を気にせず過ごせます
就寝中を中心に使う装置は、朝には外して出かけられます。給食の時間に外す必要もなく、体育や習い事の際に装置が気になることもありません。「友だちに気づかれたくない」というお子さまの気持ちに配慮しやすい点は、この方法の大きな利点です。
痛みが出にくく、お子さまが受け入れやすい
筋機能矯正装置は、歯を1本ずつ強い力で動かす装置ではありません。そのため、装着したときの痛みはほとんど出ないとされています。初めての矯正治療で、お子さまが装置そのものに抵抗を感じている場合には、始めやすい選択肢になります。
ただし、装着し始めの時期には違和感や軽い痛みが出ることがあります。メーカーも、痛みが強いときは装着時間を一度短くし、慣れてから元に戻すよう案内しています。「痛がるからやめる」と判断される前に、歯科医院にご相談いただければ調整できることが多くあります。
鼻呼吸や舌の位置を意識する練習の機会になります
これらの装置は、お口に入れると舌が持ち上がる位置に導かれ、唇を閉じた状態を保ちやすい構造になっています。装置を入れて口を閉じ、鼻で呼吸するという動作を毎日繰り返すことで、その状態がお子さまにとって自然なものになっていくことを目指します。
ここは正確にお伝えしておきたい部分です。装置を入れれば口呼吸が必ず治る、というものではありません。鼻づまりなど、鼻そのものに原因がある場合は、耳鼻咽喉科での対応が先になることもあります。装置は、正しい状態を練習する手がかりとして働くもの、とお考えください。
通院の間隔があけやすい
歯を1本ずつ動かす治療と比べると、装置の調整のために毎月通う必要がない場合があります。通院の間隔は歯科医院の方針とお子さまの状態によりますが、ご家庭の負担という点では続けやすい方法です。
食事と歯みがきのときに外せるため、むし歯のリスクを抑えやすい
取り外しができる装置ですので、食事の際は外していただきます。歯みがきもこれまでどおり行えますので、装置が邪魔をして磨き残しが増えるということがありません。固定式の装置と比べたときの利点です。
寝るときだけの装着では得られないこと
奥歯の噛み合わせまでは整いにくい
就寝中を中心に使う装置は、前歯の見た目や、お口まわりの機能に働きかけることを主眼としています。奥歯まで含めた噛み合わせを細かく合わせていくには、歯を1本ずつ動かせる装置が必要になります。
特定の1本を狙って動かすことはできません
就寝中を中心に使う装置は、お口全体の環境に働きかけるものです。「この歯だけを内側に入れたい」というように、特定の1本を狙って動かすことはできません。気になっている歯が決まっている場合は、その歯を動かせる装置が必要になります。
永久歯が並ぶスペース不足は解消しきれないことがあります
歯が重なっている原因が、歯の並ぶスペースそのものの不足である場合、筋肉や舌の位置に働きかけるだけでは足りないことがあります。この場合は、拡大床や急速拡大装置でスペースを確保する治療を組み合わせることになります。
骨格のずれが大きい受け口・出っ歯には、別の装置が必要になります
下あごが前に出ている、上あごの成長が前方に強く進んでいるといった、骨格そのものにずれがある場合には、成長の方向に働きかける装置が必要になります。ヘッドギアやフェイスマスクといった装置がこれにあたります。
先ほどお伝えしたとおり、T4Kのメーカーも骨格性の受け口には使えないことを明記しています。就寝中の装置だけで対応しようとして時間が過ぎてしまうと、成長を利用できる期間を逃してしまうこともありますので、診断の段階で見極めることが大切になります。
「プレオルソは効果がなかった」と言われるのは、なぜ?

インターネットで装置名を検索すると、「効果がなかった」「失敗した」という言葉が目に入ることがあります。「うちの子も同じことになるのでは」と不安になられるかと思います。
これらの背景には、多くの場合3つの理由のいずれかがあります。装置そのものが役に立たないという話ではなく、使い方や前提が噛み合っていなかったというケースがほとんどです。
理由1:1日の装着時間が確保できていなかった
プレオルソやT4Kは、1日8時間前後の装着を前提にしています。ところが、朝起きたときにお口から外れている日が続くと、実際の装着時間は目安の半分以下になっていることがあります。
保護者の方から見ると「毎晩つけて寝ている」ように見えていても、実際に装置がお口に入っていた時間は短かった、ということが起こり得ます。朝、装置がどこにあったかを確認する習慣をつけていただくと、この差に気づきやすくなります。
理由2:装置の目的と、保護者が期待していた結果が違っていた
これが、もっとも多い理由です。プレオルソもT4Kも、舌の位置とお口まわりの筋肉の使い方を整えるための装置です。歯を1本ずつ動かして並べる装置ではありません。
にもかかわらず「前歯がまっすぐ並ぶ」ことを期待して始めると、1年経っても期待していた変化が見えず、「効果がなかった」という受け止めになります。装置は目的どおりに働いていても、目指していたゴールが違っていた、ということです。
当院では、装置をお選びする前に「この治療でどこまで整った状態を目指すのか」を保護者の方と共有するようにしています。始める前にゴールが一致していれば、途中で「思っていたのと違う」と感じることは大きく減ります。
理由3:装置のタイプや開始時期が歯並びの状態に合っていなかった
プレオルソには3つのタイプがあり、それぞれ対象とする歯並びが異なります。開咬に用いるタイプを出っ歯のお子さまに使っても、想定した働きは得られません。
また、あごの成長が終わりに近づく時期に始めた場合も、成長を利用する装置の効果は得にくくなります。装置の選択と開始時期は、レントゲンなどで状態を確認したうえで判断されるべきものです。
就寝時の矯正装置の装着を続けるために、ご家庭でできること

嫌がるとき・寝れないとき・朝には外れているときの対応
装置を用意しても、お子さまが装着を嫌がる、途中で外してしまう、ということは珍しくありません。次の対応をお試しください。
最初の1週間は装着する時間を短めに設定します
慣れないうちは違和感があり、そのまま眠るのが難しいことがあります。メーカーも、痛みが強いときは装着時間を短くし、慣れてから元に戻すよう案内しています。最初から目安の時間を目指すのではなく、10分、30分と少しずつ延ばしていくほうが続きやすくなります。
装着する時間帯を毎日そろえて、習慣にします
「今日はいいか」と装置を使わない日を作らないためには、装着する場面を固定していただくのが有効です。たとえば「夜の歯みがきが終わったら装置をつけて寝室に行く」というように、動作の順番を毎日同じにします。装置の置き場所も、洗面所など歯みがきの動線上に決めておくと忘れにくくなります。
日中に、装置を入れて口を閉じる練習をします
就寝中は無意識の状態ですので、正しく装置が働くかどうかは、日中にその状態を身につけられているかに左右されます。ムーシールドのメーカーも、日中に使い方を練習しておくよう案内しています。舌を装置の所定の位置に置き、唇を閉じて鼻で呼吸する。この状態を日中に数分間つくる時間をとっていただくと、夜の装着も安定してきます。
朝、外れている日が続くときは歯科医院で装置を調整します
装置の形が合っていないために外れている、という場合もあります。プレオルソは温めることで形を調整でき、ムーシールドもサイズの選び直しができます。合わない装置を使い続けても状況は変わりませんので、外れる日が続くようでしたら早めにご相談ください。
装着できない日があったときの考え方と、装置のお手入れ
装着できない日があっても、そこで治療が失敗するわけではありません
体調を崩した日、旅行で持ち出せなかった日など、装着できない日はどうしても出てきます。1日装着できなかったことで、それまでの経過が無駄になるということはありません。
ただし、装着しない日が何日も続くと、治療にかかる期間は延びていきます。「昨日できなかったから今日も諦める」ではなく、翌日から再開していただくことが結果につながります。装着できない日が続いてしまった場合は、次回の通院時にそのままお伝えください。装着状況に合わせて計画を調整できます。
装置のお手入れと保管
装置は、お口から出したら毎回、温かい流水で洗ってください。専用のブラシを使うと汚れが落ちやすくなります。
いくつか注意点があります。熱湯につけると装置が変形することがあります。また、アルコールを含む洗浄剤を使うと、素材によってはヒビが入って破損することがあります。ムーシールドのメーカーも、アルコールを含むものを使わないよう案内しています。使用する洗浄剤については、歯科医院でご確認ください。
保管は、必ず専用のケースに入れてください。ティッシュに包んで置いておくと、そのまま捨ててしまう紛失が起こりやすくなります。外食先での紛失も多いため、外したらすぐケースに入れるという習慣をつくっていただくと安心です。
子供のマウスピース矯正の費用と、保険・医療費控除

装置ごとの費用の目安と、当院の費用
一般的な費用の目安
費用は歯科医院によって差が大きいのが実情です。プレオルソやT4Kといった既製品の筋機能矯正装置は、おおむね3万円台から20万円程度と幅があります。床矯正やI期治療一式となると、30万円から50万円程度が目安です。
同じ装置でも金額に差が出るのは、装置代だけでなく、通院ごとの調整料、トレーニングの指導、装置の作り直しの扱いなどが含まれるかどうかが医院によって異なるためです。総額で比べていただくことをお勧めします。
なおき矯正歯科・小児矯正歯科の費用
当院の費用は次のとおりです。いずれも税込表示です。
初診相談料:0円
検査診断料:44,000円
プレオルソ:55,000円(調整料0円)
子どものマウスピース矯正:495,000円(調整料0円)
小児矯正(I期治療):440,000円(調整料5,500円/回)
I期治療からII期治療へ移行する場合は、差額のみのお支払いとなります。はじめからII期治療まで見込まれる場合でも、総額の見通しをお伝えしたうえで進めていきます。
デンタルローンをご利用いただくこともできます。たとえば495,000円を60回払いにした場合、月々のお支払いは9,500円程度です。
紛失や破損の際の費用も確認しておきます
取り外し式の装置では、紛失や破損が起こることがあります。作り直しに費用がかかるのか、何回までは含まれるのかは医院によって異なります。金額そのものは大きくないことが多いのですが、治療の途中で想定外の出費として感じられることがありますので、始める前に確認しておくとよい項目です。
保険が使える場合と、医療費控除の対象になる場合
健康保険が使えるのは3つの場合に限られます
矯正治療は、原則として保険適用外です。日本矯正歯科学会は、保険診療の対象となる場合として次の3つを示しています。
ひとつめは、厚生労働大臣が定める先天性疾患に起因する咬合異常に対する矯正治療です。ふたつめは、前歯と小臼歯の永久歯のうち3歯以上が生えてこないことに起因する咬合異常で、埋伏歯開窓術を必要とするものです。みっつめは、あごの手術を必要とする顎変形症の、手術前後の矯正治療です。
対象となる疾患は一覧で定められていますが、この一覧は診療報酬の改定にあわせて見直されています。該当するかどうかは、そのつど確認が必要です。
もうひとつ、大切な点があります。これらの保険治療を行えるのは、施設基準を満たして地方厚生局に届け出をした医療機関に限られます。届け出には「矯診」と「顎診」の2種類があり、どちらの届け出かによって対応できる内容が変わります。届け出をしている医療機関は、地方厚生局のウェブサイトで確認できます。
医療費控除の対象になる場合
一方、医療費控除については、お子さまの矯正治療は対象と認められやすい傾向があります。
国税庁は、発育段階にある子どもの成長を妨げないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、年齢や矯正の目的からみて必要と認められる場合の費用は医療費控除の対象になる、としています。一方で、見た目を美しくすることが目的の費用は対象になりません。
お子さまの矯正は、噛み合わせや成長への影響を理由に行われることが多いため、対象と判断されるケースが多くなります。確定申告に備えて、領収書と通院にかかった交通費の記録を保管しておいてください。判断に迷う場合は、税務署または担当の歯科医師にご確認ください。
子供の矯正に市販のマウスピースを使っても大丈夫?

インターネットで購入できるマウスピース型の製品を見かけて、「まずはこれで様子を見られないだろうか」と考えられる方もいらっしゃいます。ここについては、はっきりとお伝えしておく必要があります。
学会は、自己判断での使用を避けるよう明確に示しています
日本矯正歯科学会は、歯科医師が介在しない形で販売されているマウスピース型製品について、患者自身の判断でこれらを使用して歯を動かすことは歯科医学的に非常に危険であり、絶対に避けるべきであるとしています。
理由は、矯正治療が診察と検査、診断に基づいて行われるべき医療行為だからです。お口の状態を確認しないまま歯に力をかけると、噛み合わせが崩れる、歯の根に負担がかかるといった予期しない結果につながる可能性があります。一度誤った方向に歯が動いてしまうと、それを元に戻す治療には長い期間がかかり、難しさも増します。
医療機器として認められた装置かどうかを確認します
学会は、装置を選ぶ際に、医療機器として認められた機器を用いて作製されたものかどうかを確認するよう推奨しています。医療機器に該当しないものを用いた場合、歯の移動の結果は保証されません。
保護者の方が確認できることとしては、その装置が医療機器として認証を受けているか、歯科医院で診察と検査を受けたうえで装置が決まるか、治療の経過を定期的に確認してもらえるか、という3点があります。装置の説明を受ける際に、遠慮なくお尋ねください。
装置は、お口の状態を診てから選ぶものです
当院では、装置を決める前にレントゲンで永久歯の位置とあごの成長段階を確認します。同じ「前歯が重なっている」状態でも、原因がスペースの不足なのか、舌の位置や筋肉の使い方なのかによって、選ぶ装置は変わります。既製品の装置を使う場合でも、この確認は欠かせません。
寝るときだけの矯正装置と固定式のワイヤー矯正、どちらを選ぶとよい?

「できれば負担の少ない方法にしてあげたい」というお気持ちは、多くの保護者の方が持たれています。一方で、方法によって到達できるところが変わることも事実です。判断の軸をお伝えします。
マウスピース型の装置が向いているお子さま
歯列の幅や舌の位置に課題があり、歯を大きく動かす必要がない場合には、就寝中を中心に使う装置が適していることが多くあります。また、装着時間を自分で守れる年齢に達していること、装置を続けるうえでご家庭の協力を得られることも条件になります。見た目の面で装置に抵抗が強いお子さまにも、選びやすい方法です。
ワイヤー矯正のほうが適しているお子さま
前歯の重なりが強い場合、特定の歯を確実に動かしたい場合には、ワイヤー矯正のほうが結果につながりやすくなります。取り外しができない装置ですので、装着時間の管理が難しいお子さまにも向いています。
「マウスピースのほうが新しくて優れている」というものではありません。歯を確実に動かす力という点では、ワイヤー矯正が現在も広く用いられています。当院ではどちらにも対応しており、お子さまの状態に合わせて組み合わせてご提案しています。
当院がI期治療で前歯まで並べることにこだわる理由
当院では、I期治療の段階で前歯を並べるところまで行うことを、治療の開始時に必ずお伝えしています。
I期治療で前歯を並べない方針をとる医院もあります。最終的にII期治療を行うことが決まっているのであれば、歯に力がかかる期間は短いほうが歯への負担が少ない、という考え方があるためです。これは一つの合理的な判断です。
一方で当院は、I期治療の段階で、笑ったときに見える範囲の歯並びが整い、噛み合わせとして問題が出ない水準まで仕上げることを目標にしています。奥歯まで一本ずつ緻密に合わせた状態ではありませんが、「矯正をしなくてよい」と言われる方と同じくらいの状態までは持っていきます。
そのうえで、II期治療に進むかどうかはご家庭で選んでいただきます。これ以上を目指したいのであればII期治療という選択肢がありますし、I期治療で一度終えても差し支えない状態にはなっています。お子さまが中学生や大学生になったときに、ご本人の意思で続きを考えるという進め方をされるご家庭もあります。
I期治療で一定の水準まで整えておくと、後からII期治療を行う場合でも、大きく歯を動かさずに済み、治療期間を短くできる可能性があります。抜歯を避けられる可能性も高まります。
院長の吉田尚起は、大阪大学歯学部を卒業後、同大学院で歯学博士の学位を取得し、大阪大学歯学部附属病院の矯正科で7年間にわたって研鑽を積みました。口唇口蓋裂や骨格的な難症例を含めて300症例以上の矯正治療に携わっており、日本矯正歯科学会認定医の資格を持っています。どこまで整えられるか、どこから先は別の方法が必要かという見極めは、この経験に基づいて行っています。
子供の矯正治療についてよくある質問
寝るときだけで、本当に歯は動きますか
装置の目的によって答えが変わります。
舌の位置とお口まわりの筋肉の使い方を整える装置であれば、就寝中の装着を前提に設計されていますので、目的に沿った変化は期待できます。前歯の軽度な傾きが改善することもあります。
一方、歯を1本ずつ計画された位置へ動かす装置については、就寝中だけの装着では必要な時間に届きません。この場合、歯は計画どおりには動きません。
「歯が動くかどうか」ではなく「何を目指しているか」で考えていただくと、判断しやすくなります。
大人でも寝るときだけの矯正はできますか
大人の場合と子どもの場合では、前提が異なります。
子どもの筋機能矯正装置は、あごが成長している時期であることを利用しています。成長が終わった大人には、この考え方をそのまま当てはめることはできません。
また、大人のマウスピース矯正は1日20〜22時間の装着が前提です。就寝中のみでは、必要な時間の半分にも届きません。
なお、治療後に使用するリテーナーについては、歯並びが安定してきた段階で就寝中のみの装着に移っていくことがあります。これは歯を動かす治療ではなく、動かした歯並びを保つための装置ですので、目的が異なります。
どうしても続けられなかった場合、費用は無駄になりますか
装置が合わずに続けられなかった場合でも、そこまでの検査と診断で分かったことは残ります。永久歯の位置、あごの成長段階、歯並びの原因がどこにあるのかといった情報は、次に治療を検討する際にそのまま活かせます。
また、就寝中の装置が続かなかったからといって、矯正治療そのものができないわけではありません。取り外しの管理が難しいお子さまには、固定式の装置という選択肢があります。続けられなかった理由を歯科医師にお伝えいただければ、別の進め方をご提案できます。
治療期間はどのくらいで、途中でワイヤー矯正に変更できますか
就寝中を中心に使う装置による治療期間は、半年から2年程度が目安です。ただし、お子さまの成長のペース、歯並びの状態、実際の装着時間によって差が出ますので、あくまで目安としてお考えください。
途中で装置を変更することは可能です。むしろ、筋機能矯正装置で土台を整えてから歯を並べる装置に移る、という進め方は一般的です。永久歯が生え揃ってきた段階で、ワイヤー矯正やマウスピース矯正に切り替える判断をすることもあります。
大切なのは、始める前に「この装置だけで完了する見込みなのか、次の段階が想定されているのか」を確認しておくことです。想定されている場合は、その分の費用と期間も含めて計画を立てておくと、途中で迷わずに済みます。
まとめ:寝るときだけで効果が出るかどうかは、装置の目的で決まります

ここまで、子どものマウスピース矯正を「寝るときだけ」で行えるのかどうかについてご説明してまいりました。
答えを一言でまとめるなら、装置の目的によって変わる、ということになります。プレオルソやT4K、マイオブレース、ムーシールドといった、舌の位置とお口まわりの筋肉の使い方を整える装置は、そもそも就寝中の装着を前提に設計されています。これらは日中1〜2時間を加えた1日8時間前後が目安で、学校に持っていく必要もありません。
一方、拡大床は1日12〜14時間、インビザライン・ファーストのように歯を1本ずつ動かす装置は1日20時間以上が前提です。睡眠時間だけではこの時間に届きませんので、帰宅後の時間を含めて考えていただく必要があります。これはお子さまの努力の量の問題ではなく、歯が動く仕組みから来ているものです。
そして、就寝中を中心に使う装置には、得られることと得られないことの両方があります。学校生活への影響が少なく、痛みが出にくいという利点がある一方で、奥歯の噛み合わせまで整えることや、骨格のずれが大きいケースへの対応には、別の装置が必要になります。この線引きを始める前に知っておいていただくことが、「思っていたのと違った」を防ぐいちばんの方法です。
これから相談に行かれるのであれば、装置の名前、その装置の目的、治療のゴール、費用の総額、そしてII期治療が必要になるかどうか。この5点を確認してみてください。5点がはっきりしていれば、治療が始まってから迷うことは大きく減ります。
当院では初診相談を無料で行っており、レントゲンで永久歯の位置とあごの成長段階を確認したうえで、お子さまに合った装置と開始時期をご提案しています。「まだ早いのではないか」「もう遅いのではないか」と迷われている段階でも構いません。お子さまの歯並びについて気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。