2025.12.15| 矯正相談集
「前歯のすき間が気になって…」とご相談いただいた7歳・男の子のケース
「前歯の真ん中に大きなすき間がある」「前歯が前に出ている気がする」…
生え変わりの時期に、前歯のすき間や出っ歯で不安を感じてご相談に来られる親御様は少なくありません。
今回は、「前歯のすき間(スキッ歯)」と「出っ歯傾向」を気にされて来院された、7歳の男の子との初診相談時のやりとりをご紹介します。
ただ前歯の隙間を閉じるだけではない、“原因となっている余分な歯”や“骨格的な出っ歯”まで含めて考えた、当院の相談内容についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 7歳 |
| 性別 | 男性 |
初診時の画像診断



上の前歯の真ん中に隙間があります。
奥歯の噛み合わせが出っ歯の噛み合わせをしています。
ご相談のきっかけ
お子様は、かかりつけの一般歯科で
- 「前歯のすき間が大きい」
- 「少し出っ歯気味かもしれない」
と指摘されていたものの、矯正専門の相談にはまだ行ったことがありませんでした。
お母様は、
「このまま自然に閉じるのか、それともちゃんと矯正した方がいいのか分からない」
「痛みに弱い子なので、どんな治療になるのか心配」
というお気持ちから、今回初めて矯正専門歯科の相談に来院されました。
患者様との実際のやり取り
今、一番気になっているところを教えていただけますか?
前歯の真ん中のすき間と、全体的に前歯が出てきている感じが気になっています。矯正をした方がいいのか、まだ様子を見ていいのか分からなくて…。
生え変わりの時期に前歯のすき間ができるのはよくあることですが、今回のすき間は、少し大きめです。
CTを詳しく見てみると、前歯と前歯の間に“小さな余分な歯(過剰歯)”が1本隠れているのが分かりました。
この過剰歯が真ん中にあることが原因で、両側の前歯がこれ以上寄れず、すき間が残ってしまっている状態です。
だから、いつまでもすき間が閉じなかったんですね…。
そうなんです。この余分な歯は、幸いそれほど深い位置ではなく、前歯のすぐ裏側の浅いところにあるので、タイミングを見て抜いてあげれば、前歯同士を近づけていくことができます。すきっ歯を閉じるためには、この過剰歯の処置が大事なポイントになります。
出っ歯についてはどんな感じですか?
横から見ると前歯が少し前に出ていて、奥歯のかみ合わせも上の奥歯が本来の位置より前側にある出っ歯傾向のかみ合わせになっています。
さらに骨格をレントゲンで確認すると、上あごと下あごの位置関係はやや下あごが後ろ寄りで、軽度の骨格性の出っ歯傾向が見られます。しかし、重度ではなく軽めのタイプといった印象です。
骨からの問題も少しあるんですね。
はい。ただし、今はまだ7歳で、上あごも下あごもこれから成長していく時期です。
上あごの成長はだいたい10歳ごろまでで、その後も下あごはもう少し前に成長していくという成長パターンを利用することができます。
今の“出っ歯傾向”を、この先なるべく悪化させず、少しずつ整えていくことができます。
そうなんですね。どのような治療になりますか?
今回のケースでは、
前歯のすき間の原因である“過剰歯”を、適切なタイミングで抜くことと、成長が残っている今の時期に、上あごの前への成長をコントロールし、下あごの成長が追いつきやすいようにしていきます。ヘッドギアという装置を利用し、成長誘導していきます。その後、必要に応じて前歯を中心に歯並びを整えていくという流れが、もっとも理にかなった治療方針になります。
ヘッドギアと聞くと少し心配ですが、痛みはどうでしょうか?
ヘッドギアは基本的に夜寝ている間につける装置で、歯や骨に“後ろ向きの力”をかけるものです。
付け始めは少し違和感がありますが、強い痛みはほとんどありません。
見た目も寝るときだけなので、学校生活には影響しません。
過剰歯の抜歯も、むし歯の治療と同じようにその部分だけ麻酔をして行う処置ですので、処置中の痛みはきちんとコントロールできますよ。
それを聞いて少し安心しました。検査の予約をとって帰ります。
まとめ
7歳男の子のケースでは、
・「前歯の大きなすき間(正中離開)」の原因が、前歯の間に埋まっている過剰歯(余分な永久歯)であり、その過剰歯の抜歯と矯正によって前歯を寄せることが有効であること
・上顎前歯および奥歯に見られる出っ歯傾向に対して、成長期にヘッドギア等で上顎の前方成長をコントロールしつつ、かみ合わせ全体のバランスを整えていくことが重要であること
という相談結果になりました。
今回の診察では、見た目としての「前歯のすき間」や「前歯の前突(出っ歯)」といったお悩みだけでなく、CTで確認された過剰歯が将来の歯並びや噛み合わせに与える影響、その抜歯のタイミングと方法、さらに上顎の成長が止まる前(10歳ごろまで)に行うべき成長コントロールの必要性について、将来的な安定性と機能性を見据えた多角的なご説明を行いました。
小児矯正では、今見えているすき間や出っ歯をその場しのぎで整えるのではなく、
顎の成長・過剰歯の管理・将来の永久歯の並び方まで含めて、「大人の歯が正しく並ぶための土台づくり」を行うことが何より重要です。
特に今回のように、骨格や歯の配置が成長期の矯正に適しており、過剰歯の早期対応によって将来のリスクを減らせるケースでは、ヘッドギアやワイヤー・マウスピース矯正を適切に組み合わせることで、無理なく歯並び・かみ合わせの両方の改善を目指すことが可能です。
お子さまの「前歯のすき間」や「出っ歯傾向」でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
お子さまの性格や成長ペース、ご家庭のご希望も踏まえながら、無理のない最適な治療計画を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
