2026.6.13| 叢生(ガタガタ)の矯正相談集
「永久歯が生えてこないのと八重歯になりそうで心配…」とご相談いただいたK.Fさん(8歳・女の子)のケース
「乳歯が早く抜けてしまった」「永久歯がなかなか生えてこない」「将来八重歯にならないか心配」…。
お子様の歯の生え変わりについてご相談をいただく中で、実は歯並びそのものだけでなく、乳歯が抜けるタイミングや永久歯が生えてくるスペースが大きく関係しているケースもあります。
今回は、左上の歯の隙間と将来的な八重歯を気にされて来院された8歳の女の子、K.Fさんとの初診相談時のやり取りをご紹介します。
単に歯を並べるだけではなく、永久歯が自然に生えてくる環境を整えながら将来的な歯並びまで考えた当院の小児矯正についてもお伝えします。
患者様情報
| 年齢 | 8歳 |
| 性別 | 女性 |
初診時の画像診断



左上の前から3番目の歯が生えるスペースが足りません。
ご相談のきっかけ
K.Fさんは、
「左上の歯が抜けたままなかなか永久歯が生えてこない」
「将来的に八重歯になりそうで心配」
とのことでご来院されました。
保護者の方としては、「この隙間に永久歯が生えてくれれば問題ないのでは?」と感じておられた一方で、スペースが足りないようにも見えたため、一度専門的な相談を受けたいと考えられたそうです。
患者様との実際のやり取り
はじめまして。今、一番気になっているところを教えていただけますか?
左上の歯が抜けたままで、なかなか永久歯が生えてこないのが気になっています。
そうですね。
レントゲンで確認したところ、永久歯自体はしっかり存在していますが、なかなか生えてこないようです。
ただ、本来であれば乳歯の真上から生えてくるはずの永久歯が、顎の骨の中で少し傾いた状態で位置しています。
また、その影響で乳歯の根が通常より早く吸収されてしまい、周囲よりも早いタイミングで抜けてしまった可能性があります。
永久歯はちゃんと生えてくるんですね。
はい。
ただ、問題は周囲の歯がその隙間に向かって少しずつ移動してしまうことなんです。
歯は空いたスペースがあると自然と寄っていく性質があります。
そのまま放置すると、本来永久歯が生えてくるためのスペースが減ってしまう可能性があります。
そうなると八重歯になってしまうんですか?
可能性はあります。
特に犬歯(糸切り歯)は最後の方に生えてくるため、スペース不足の影響を受けやすい歯なんです。
そのため、このままスペースが失われると、犬歯が外側から生えてきて八重歯のようになることがあります。
何か今できることはありますか?
はい。
まずは永久歯が正しい位置に生えてくるためのスペースを維持することが重要です。
具体的には、奥歯が前方へ移動しないように固定する装置を使用しながら、永久歯が自然に萌出してくるのを待つ方法があります。
今すぐ本格的な矯正をしないといけないのでしょうか?
必ずしもそうではありません。
K.Fさんの場合、現時点では大きな骨格的な問題は見られませんので、まずはスペースを確保しながら経過を観察する方法が現実的だと思います。
永久歯がある程度生え揃った段階で、必要に応じて前歯部分だけを部分的に整える治療も選択肢になります。。
なるほど。全部の矯正をしなくてもいい場合もあるんですね。
そうですね。
もちろん将来的に全体矯正が必要になる可能性はありますが、今の段階ではまず永久歯が自然に生えてくる環境を整えることが優先です。
その上で成長を見ながら最適な治療方法を判断していくのが良いと思います。
よく分かりました。一度家族で相談してみます。
まとめ
K.Fさんのケースでは、
・乳歯が早期に抜けたことで、永久歯が生えるスペースが失われるリスクがあること
・周囲の歯が空いたスペースへ移動しないように管理することで、将来的な八重歯や歯列不正を予防できる可能性があること
・現時点では本格的な全体矯正ではなく、永久歯が自然に生えてくるための環境づくりを優先することが重要であること
という相談結果になりました。
今回の診察では、「永久歯がなかなか生えてこない」「八重歯にならないか心配」といったお悩みだけでなく、CT画像を用いて永久歯の位置や傾き、乳歯が早く抜けた原因についても詳しくご説明しました。また、空いたスペースに周囲の歯が寄ってしまうことで、将来的に犬歯が正しい位置に生えにくくなる可能性についてもお話ししました。
小児矯正では、単に歯をきれいに並べるだけではなく、永久歯が正しい位置に生えてくるための環境を整えることも大切です。特にK.Fさんのように、乳歯が予定より早く抜けてしまったケースでは、スペースを維持しながら永久歯の萌出を見守ることで、将来的な矯正治療の負担を軽減できる可能性があります。
お子様の永久歯がなかなか生えてこない、八重歯になりそうで心配といったお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。成長や生え変わりのタイミングを見ながら、無理のない最適な治療方法を一緒に考えていきましょう。
この記事の監修者情報
吉田 尚起
日本矯正歯科学会認定医
院長である吉田なおきは、国立大阪大学歯学部、および同大学院にて矯正治療を専門に学び、博士号を取得。大学病院にて7年間にわたり研鑽を積み、300症例以上の矯正治療に携わってきました。
自身も歯並びのコンプレックスを克服した経験から、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや心身の健康を考えた治療を心がけています。
歯科医師全体の約3%しか取得していない日本矯正歯科学会認定医として、お子様から大人の方まで、未来の笑顔をサポートします。
